第4話 誰も死ぬな!
捕まっている村人は三十人以上。
老幼を除けば、
動けるのは十五、六人はいる。
武装させられれば、数で押せる
俺は別の家に潜り込み、
袋を見つけ、棍棒や包丁をかき集めた。
布袋いっぱいの刃物と棒を、
じゃらじゃら鳴らしながら盗賊の背後を通る。
――盗賊は、俺を見ない。
村人たちの目が、警戒で曇る。
きっと俺を盗賊の仲間だと思っている。
例の娘と目が合った。
深い目。だが、敵意が混じっている。
俺は彼女の前にしゃがみ、
包丁を一振り差し出し――
背中側の手に押し込んだ。
縄を静かに断つ。
「反応するな。あいつら、
俺が見えてない。
何人かに武器を渡す。
合図したら、一斉にやれ」
俺は次の村人へ。
次の村人へ。
武器を配り終えると、
盗賊二人の背後に立ち、
腰のシャムシールをそっと抜いた。
……無反応。
無視の効果、想像以上だ。
石ころ帽子かよ……
さらに別の盗賊からも、
武器を抜き取る。
十一人のうち、
五人がシャムシールを手にしていなかった。
娘が呆然と、俺を見ている。
俺は二人の盗賊の間に立ち、
喉を鳴らし――唾を吐いた。
……戦闘にならない。
「てめえ、何のつもりだ?」
唾を浴びた盗賊が、隣の男を睨む。
「は? 何がだよ」
「俺に唾吐いたろ!」
「吐いてねえ!」
「じゃあこれは何だ!」
顔を拭った盗賊が、
怒りに任せて拳を振るった。
「……ふざけんな!」
殴られた男も蹴り返し、
二人はあっという間に取っ組み合いになった。
残りの盗賊たちが野次馬みたいに集まる。
そこへ、
頭目が怒りを剥き出しにして割って入った。
あいつは鎧着てる。狙うなら――頭だ
俺は頭目の背後へ回り、
麺棒を振り上げる。
ガラクタ戦士!
コンー!
半禿の大髭が、
白目を剥いて前のめりに倒れた。
『攻撃成功3回:筋力+1』
『弱点命中3回:視力+1』
……え、成長? 今?
――と、その瞬間。
盗賊たちの視線が、一斉に俺へ向いた。
シャムシールを抜こうとした男が、
手に何もないことに気づく。
別の男が、
シャムシールを持ったまま左から突っ込んできた。
俺は鍋蓋で受けた。
蓋が大きく凹み、次は持たないとわかる。
背後からも刃が落ちてきた。
鍋が裂け、シャムシールが食い込み、頭皮が切れる。
『警告:弱点が攻撃されました』
『生命力-80%』
視界が揺れた。血が頬を伝う。
そのとき、熱砂ゴーレムが跳ね上がり、
盗賊の顔へ――張り付いた。
まるで焼き鏝だ。男が絶叫する。
失明か、気道の火傷は免れない。
娘が縄を振りほどき、シャムシールを掴んだ。
最も近い盗賊の太腿へ、
躊躇なく突き立てる。
――強い。
女だてらに、じゃない。
普通に強い。
村人たちも動いた。
頭目は倒れ、
盗賊の半分は武装を失っている。
恐怖が、怒りへ変わる。
刃が、群れとなって盗賊へ襲いかかった。
だが――まだ、
シャムシールを持つ盗賊がいる。
彼らは村人へ向き直り、反撃を始めた。
……頼む。死ぬな。誰も――死ぬな!
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章末附錄
ガラクタ戦士 東方安遠
HP: 20/108
MP: 20/20
筋力: 4 / 視力: 4 / 魔力: 2 / スタミナ: 3
頭:鉄の鍋
斬、打、突+2、雷、冷、熱 -1
胸:木製の椅子の座面
斬+2、打+1
腕:布を巻いた椅子の脚
斬+2、打+1
脚:布を巻いた椅子の脚
斬+2、打+1
足:エアクッション・スニーカー
打+1 スタミナ+1
武器:麺棒
打+2
盾:鉄の鍋蓋
斬、打、突+2 雷、冷、熱 -1




