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東京陥落  作者: シロップ漬け
序章 災害の始まり編

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序章 1話 進化という悲劇

2050年問題。それは日本にとって深刻な問題であり、解決しなければならない課題でもある。

特に日本においては超高齢社会が始まってしまう時期でもあり、労働力不足や貧困などが問題視されている。


西暦2045年、鈴木原貴史すずきはらたかし博士による人類進化計画が始まる。具体的に人類の肉体の限界を伸ばすというものだった。鈴木原博士の人間進化の条件は

『筋力の増強、人間の治癒能力の速度上昇、老化速度の遅延と若返り』

この3つを引き延ばせば、肉体的な苦痛が減り、超高齢社会を先延ばしにできるのではないかと考えた。

しかし、これだけでは進化した人類の精神的な苦痛は減らないと考え、4つ目の進化条件として新たに

『感情の制限』

が人間の進化には必要だと考えた。博士が目指すのは、怒りや憎しみ、悲しみなどのマイナスな感情をなくすことだと考えた。


そして2047年3月17日、人類の進化が始まった日。博士は人類を進化させる薬の開発に成功した。

「テレビ、ネット中継、配信をご覧の国民の皆様!!

私は2年の実験を経て、遂に人間を進化させることのできる薬の開発に成功しました!!

この薬を1錠服薬するだけで筋力の向上、怪我をしてもすぐに再生することができ、老化の防止と若返り、そして!!

毎日が楽しく幸せな感情に、満たされるそんな体が手に入れられる薬です!!そんな・・・」

そこからは博士の研究が日本政府公認であること、すでに政府関係者のほとんどが服用していること、自衛隊にも人間にも配られたことなどさまざまな話が続いた。


そしてこの薬は東京都民から試験的に服用されることが発表された。まずは3年間で副作用が出ないかを確認し、副作用が出なければ全国的に使用される計画だった。もちろん最初は否定的な意見しか出てこなかった。しかし、芸能人が若返り、病気で入院してる子の病気が治りすぐ退院するなど、薬の効果が徐々に認められていき、1年後には東京在住のすべての人間がこの薬を服用した。この情報はすぐ全国に広まり、薬の全国展開を早める声もどんどん上がっていった。




2050年1月1日、すべてが始まった。




薬の副作用がないと信じられ始めた頃だった。

この薬は万能薬で人類を進化させる秘薬だという人間も出てきた。

筋力の向上、治癒速度の上昇、老化速度の遅延と若返り、負の感情の抹消・・・それらを一度の服用で満たせるこの薬は確かにすごいものだった。超高齢社会に対する対策としては有効的だった。日本における大問題の解決に繋がったと思われていた。



負の感情の抹消?それが本当に可能なのだろうか?

なぜ人間には負の感情があるのだろうか・・・

感情の抹消とは本当に抹消しているのだろうか?


感情の抹消とは実際に消えてるわけではない。簡単には負の感情を『無理矢理』正の感情に変換しているだけなのである。この感情の変換は主に脳で行われてるわけなのだが、脳の処理はどれくらいの負荷まで耐えれるのだろうか。


その限界が超えてしまった日、つまり、『全東京都民が廃人』になった日が2050年1月1日である。


2050年問題は超高齢社会だけではない。災害の増加なども問題として取り上げられている。

そして3つの災害が東京に集中して重なった。1つ目は東京が中心の直下型地震だった。それは日が変わってすぐに起こった。2つ目はその影響による津波の被害。東京湾から高さ50メートルほどの津波が東京を襲った。3つ目は夜明けに起こった。夜明け前で明るくなったと思っていた。地震に津波、かなりの被害が起きたが死者は出なかった。薬の筋力向上と治癒能力の上昇により、人間は人間を超えた体になっていた。


本能では死ぬと思っていても、どれだけの痛みが体を襲っても、彼らは喜び、笑い、幸せな感情に包まれていた。

というより無理矢理そのような感情に包まれてしまう。痛くても辛くても助けを求めようとしても同情を求めようとしても、彼らは悲観的になれない。人間のままの感情でいられない。脳では笑ってる場合ではないとわかってるのに、痛みで泣きたいのに、怒りたいのに、それができない。無理矢理喜び、笑い、幸せな感情になってしまうこと。


そんなのが人間なのだろうか?


彼らは人間ではないと気づいた怒り、悲しみ、ショック、ストレス、それらを発散できないことに気づいた。

いや、3年分の負の感情が蓄積されてることに気づいてしまった。


人として壊れてしまったことに気づいた。


3つ目の災害。


宇宙からの衝撃。


隕石の落下。


予報も何も情報もなかった。


2050年1月1日5時19分頃。

東京は赤の衝撃に染まった。

そこにいた人間は、何度も焼かれ、何度も再生し、何度も体が潰れ、耐えることのない痛みと熱さを永遠とも思えるような時間を過ごした。いや、永遠ではなく一瞬のことなのだが意識をシャットダウンできないことの辛さを体験してしまった。


3年ぶりに味わった辛さ。3年という歳月は人々を変えてしまった。薬の力で進化したはずの脳でも変換できない辛さを感じてしまった。




彼らはまた進化した。

3年前までは完璧とも思われる人類に。

今ではただ旧人類を殺すだけの生物へと進化した。

他の地域に住む人間に憎悪するだけの怪物になってしまった。


この災害は後に東京陥落と呼ばれるようになる。

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