第二十二歩!
俺は今、拡張に拡張を重ねた城塞の最深部の天守閣と言うべき天守閣の最上部。
五階建ての天守から見下ろしている。
松○城の天守閣を模したような城郭の上から遙か下にいる敵軍を見下ろしていた・・・。
視線を変えれば、天守閣に通じる浮き橋回廊の先に小さい曲輪を二つ付けた石垣の上に御殿があり、その下には本丸曲輪というべき櫓門や櫓、狭間に鹿砦を有した中庭がある。
その下に三つの曲輪と二つの板を抜ける橋が架かり、敵と相対する大手門の前には馬出しがある。
曲輪にたどり着く回廊も曲がりくねり、狭間や櫓・鹿砦などで妨害する為の設備が多くある。 進撃も退却も大変な日本の城塞を元にした城の出来に・・・惚れ惚れしていた。
「良いねぇ・・・。 この城郭は・・・。」
「自画自賛か?主よ。」
「建物だけでは戦えませんよ?」
「・・・。 少しぐらいいいじゃない・・・。」
「まあ、良いがの。」
「・・・。」
二人に揶揄われながらも、眼下に集結した敵軍は残存兵力を立て直した事で、城門の前から一定の距離を取った状態で、伝令兵が飛び回っている。
こうして第二戦が始まろうとしていた・・・。
巨大な城郭を見上げていた侵攻軍の司令部は、目の前にあるそれをみて歯ぎしりをした。
体勢を見かけだけ整えた彼らからしたら、すでに修復と拡張を済んでいる相手の状態に苦々しく思っていたが、そろそろタイムテーブル的に厳しい・・・。
あちらの状況は伝令の報告では、順調とは行かないが、少し押し込んだそうだ。
こちらも成果を出さねば、自身を含めて処断されかねない。
彼らも徐々に後ろがなくなった。
「我らもこちらを押し込まねば、我らの軍人としての価値が疑われる!前に進むしかない!!」
「「「「「うおぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」」
雄叫びを上げる兵士の中には、軽傷や包帯を巻いている兵士もいたが、彼らもこの城郭を攻略をせねばどうにもならぬ現実がある。
指揮官は鞘から引き抜いた剣を倒す・・・。
「進めぇぇぇぇ!!!!」
その声を打ち消すほどの声が重なり、先鋒部隊が雄叫びを上げながら突き進んでくる。
そしてやっとの思いで間に合わせた攻城塔数基と破城槌が並び、扉だけではなく壁も破壊すべく、進む。
こちらも見ているだけではなく、櫓からは抱え筒で攻城塔に幾つもの風穴を開け、後方の曲輪などからバリスタから大矢が打ち出され、幾つもの枝を植え付けた。
下を見れば、破城槌の台車にも熱した油や穀物が降り注ぎ、押し出している兵の身体を焼いた。
「ぐぎゃあ!!あついぃぃぃぃ!!!」
「くそう!誰か変われっ!!」
「おう!」
大手門前ではすでに修羅場になっている・・・。
だが、彼らには後ろがない。
彼らは人員を入れ替えながら進んできた。
「取り付いたぞ!打ち壊せぇ!!」
「せぇのっ!せぇの!せぇの!」
ゴズン!ゴズン!と、叩き付けれる槌は頑なに行く手を阻む大門は、徐々に崩壊を迎えようとしていた。
だが、その間もその槌を操作する者や攻城塔内にいる兵士は、何度も変わり、その時を待った。
めきめきっ!!ずずん!!
とうとう大手門の扉が砕けたところが出来ると、待っていましたという勢いで軽装兵や傭兵が、斬り込んだ。 だがそこは死に間・・・。
だが、彼らはまえにいる仲間を盾にしてでも前に進み、九十九折りになっている回廊を進み、第二の門に取り付いた。
「鈎爪を投げよ!爆矢を打ち込め!!」
「おおおっーーー!!」
「そりゃぁーーー!!!」
幾状ものかぎ爪が門の上にある櫓や門扉に引っかけ、次々と兵士が登ってくる。
だが、こちらも寝ていたわけではない。
攻撃を受けていない背後の石垣の上や櫓、後方の曲輪から矢玉や油が降り注ぎ、彼らを突破させない。
侵攻側も積み重なる同輩、構わず鍵縄もに付けられた縄ばしごを登っていき、後続からの支援を受けて二の丸もなんとか攻略し、壱の丸を完全な橋頭堡にした。
前回の反省を踏まえ、反撃点を潰すか塞ぎ、一の門を押さえた。
二の門が幾状ものかぎ爪で、門の一部が引き倒したことで二の丸の中が次の死に間に。
「すすめぇ!!!進めぇぇぇぇ!!!!我らには後ろがない!!前だっ!前にイケェェェ!」
「おおおおっっっーーーー!!!!」
二の丸が多方向からの矢玉と、熱湯や油が降り注ぐ中で彼らの軍が突き進む。
一人が倒れれば、次の者が。 それを繰り返すことで、三の丸の門前まで攻め込んだ。
すでに数千の負傷兵を置き去りにし、傭兵だけではなく、徴用兵や奴隷。
僅かだが、正規軍の兵や私兵も混ざり始めた・・・。
こうして三の門も鋼鉄の門があるが、その付門を打ち壊し、三の門も進入した。
「あと・・・二つ・・・あと・・・。」
誰とも言えぬ声で、被害を顧みない特攻に錐のような攻撃を繰り返す・・・。
彼らの決死の攻撃でついに最深部の本丸曲輪の執務御殿と天守閣、角に建つ櫓やせり出した出丸が見えてきた・・・。
「ここまで・・・ここまできたぞぉぉぉぉ!!!!」
「さいごだぁぁ・・・!!ごぱぁ!」
「へっ?」
どしゃりと、倒れた隣を歩いていた男が・・・消えた・・・。
最後の曲輪には・・・多くの武器や門を破って入ってきた彼らに狙撃する・・・。
「さいごだぁぁ・・・!!おしきれぇぇぇ!!!」
誰かの声にその僅かな隙間を次々と入ってくる。
すでに歩いている兵士はすでに僅かである。 が、もはや彼らも引き返しは出来ない・・・。
死に態で入り込んでくる彼らを櫓や出丸や狭間から彼らの引導の渡す矢玉が、降り注いだ。
こうして、彼らの最後の反攻は・・・潰された。
彼らを指揮すべき男は、最後の門を越えた数メートル先で眉間に矢を生やした状態で息絶えた・・・。
「撤収だ・・・撤収する!」
後方の陣地に残っていた高級幹部が決断し、数百の負傷兵のみで撤収した・・・。
負傷兵の後送もない、遺体の回収も。
本当の意味での退却だった・・・。




