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第二十歩!

戦闘が落ち着いた壱の丸。

勢いで攻めてきた敵国兵の遺体が、転がっていた・・・。


「おい。 こんな死体の山に来て、どうするんだ?」


「俺は召喚術士なんだ。 彼らの死体がうちらの兵にするのさ。 では・・・。」


俺は魔力を込め、召喚兵に集めさせた侵入した兵に当てる。

すると死体は現れた召喚陣に吸い込まれていき、一旦は何もなくなる。 そして、召喚の呪文を唱えると、新たに現れた召喚陣から纏まった数の当代具足の兵が現れた。

装備している得物をそれぞれだが。


「召喚できた兵は最低でも下級兵・・・足軽より上か・・・。 それ以外にも弓兵や弩兵、槍兵と投石兵に数は少ないけど、騎兵5騎・・・。 まあ、それは収穫か・・・。 だが、まだ初戦・・・。 次に備える事にしよう。」


「あっ、ああ。 任せよ・・・。 万が一の際は我が出る!」


「ありがとう。 その時は俺も斬り込むよ。」


「私も!参ります!」


「ああ。 2人には感謝しきれないよ。 今後ともよろしくね。」


「「はい!」」


「さて、本丸に戻ろうか。」


「うむ!」「はい!」


俺らは壱の丸を後にして、本丸へ戻っていく。

その道すがらは、雑役兵や工兵連中が破壊された塀や櫓を直す姿があった。

そして、それを警備する兵もいる状態で、その横を3人で本丸への道を戻っていった。


<攻め手側>


指揮官は先の戦闘で負傷した将兵達のいる野戦病院の一つを見ると、石や油に塗られて火傷や大怪我を負った負傷兵達や鏃に塗られた毒で破傷風になった兵もおり、その野戦病院用テントがすでに10は建っている上に何かしらの負傷をした兵も多くおり、五体満足な兵は後方や本陣付近、後詰めの部隊の者で前線にいた者は大小はあるが、どこかしらに包帯を巻いている兵士がいる状態。


「ここまでとは・・・。」


「負傷兵は一万はおり、戦死者は千は越えております・・・。 その上、戦意も下がっておりまして・・・。 将官や貴族の中には、当主や跡継ぎが戦死している家や部隊があり、再編成もままならない部隊や貴族私兵があり、戦時特進等を使って無理矢理再編している所も・・・。」


「仕方があるまい・・・。 まさかこんな辺境で痛手になるとは・・・。 ベッドを離れることの出来ない将官や貴族家は?」


「・・・。 将官で40名。 貴族家は50家以上は・・・。 詳細はまだ・・・確認中です。」


「・・・。 そうか・・・。」


彼は小さくそれだけ言うと、下がっていった。

そんな彼の横を看護兵や医師が敬礼後、過ぎていった・・・。

彼らの仕事は終わらない。

今でも苦悶の表情をして苦しんでいるのだから。


<攻め手側・終>


攻め手の軍が退いた事で、破壊された城壁や鹿砦の修理を雑役兵と共に工兵が、活動している。

死体は召喚兵に変換したので、綺麗にいない。 その為、ただ俺自身は召喚兵の変換術式から来る副作用でじわじわと出てきた・・・。

 取り込んだことによる骨や死体に宿る残留思念と生への渇望から来る性欲の増大だ。

今回のように多くの兵士の死体を召喚兵に変換したことで、襲ってくる波に抗う事が困難になる程に。


「ぐっ!」


「!! 大丈夫か?!」


「主?!」


俺は2人に支えられながら、襲い来る波に抗っていた。

だが、結局は歩くことが大変になり、彼女らに支えられながら、本丸と言うべき最深部の本丸寝所にまで戻って来ることが出来た。

寝所につくと、倒れ込むように横になる。

その俺を見下ろすように見ていたが、明らかに2人は朱に染まった顔で立っていた・・・。


その後は3時間はその部屋から出て来る者はいなかった・・・。


夜が明け始めた頃に少しやつれた男が現れ、その後を妙に艶々した二人の女性が現れて男を支えた。

夜のひと時が過ぎた3人の冒険者が、増強した城郭の本丸御殿から出てきた。


「日の光が・・・赤い・・・。」


「何を言って居る?日の光は良い光だぞ?」


「それより大丈夫ですか?足が・・・覚束ないです。」


「誰のせいだと・・・。」


「「何か?」」


「・・・いえ、何も・・・。」


俺は昨夜のことを思い出し、声には出せなかった・・・。

二人によって俺は浪費され続けたのだから。

そして、その代わりに二人は大いに発散したのだから・・・。


だが、戦いは終わっていない。

大きく退いたとはいえ、いまだ万はいる将兵がこの城砦を突破せんと、虎視眈々と狙っているのだから。


 次に来たのは、大きな町の冒険者ギルドの職員で、凄まじい変化の辺境監視小屋の状況に絶句していたが、空き倉庫に山積みになっている隣国軍の国旗を描かれた鎧や盾、剣や槍を見るとそれらを馬車に積んでいく許可を求められ、それを了承するとそれを積めるだけ積んで手間賃や口止め料代わりに金貨が詰まった袋を無理矢理押しつけて去って行った。


「なんだ?あれ?」


「さあな。 てっきり叩き潰されている後だと思ってきたら、逆に返り討ちにしていた惨状に証拠物件を貰い、有り金全て置いてせめてもの償いと、思ったんだろう?」


「そんな簡単なものかなぁ? だが、今はそこを考える所ではないか・・・。」


「そうですよ!まだ戦闘中です!防備を急ぎませんと!」


「そうだな!参ろう!」


「そう・・・だね・・・。 急ごう!」


損壊している塀を復旧すべく、自らスコップを取って、修復作業に従事した。

そのまま一日、その作業をしたことで思っていたより復旧が進み、増員した雑役兵や工兵の活躍は大きかった。

攻勢で損傷した城壁や鹿砦は、再建することが出来た。

そうして当初の防衛体制を整えることが出来、城壁に新たにバリスタや大筒もどきを据え付ける事が出来た。 復旧した曲輪や城壁に兵の再配置をして防衛体制を整える。


「どうにか間に合ったかな?」


「ああ、間に合ったな。」


「はい!」


防衛のなった城塞には召喚兵が、雑役兵を含め万人兵を抱えており、城塞内を騎馬兵が走り回り、雑役兵の集団も投擲用の武器や矢玉を持って、走り回っていた。

その上で城塞に軍旗がはためいていた・・・。

それも『丸に隅立四つ目』が・・・。

白地に黒の家紋が映えて谷を合間を吹き抜ける風にはためいていた。


「軍旗まで出来ると、壮観だな・・・。」


「ああ!我らが一軍の将になった気分だ!」


「まあ、召喚兵の総員を考えたら・・・一軍だな・・・。」


「お姉様!敵の偵察兵の部隊が現れたそうです!」


「まずは迎え撃つ!深追いはしない!行こう!」


「「はい!」」


こうして防衛戦の第Ⅱ幕が始まろうとしていた。

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