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打診

ふかふかのお布団。


気持ちいい。でも…何だか何時もの自分のお布団と違うような…?ああ、でも、何だか良い匂い。自分のお布団じゃないのにとても気持ちがいい。


…ああ、そうか。王様の匂いだ。抱き締められた時と同じ、甘いけど、少し大人な、そんな匂い。


…そう、王様の…へ?王様の匂い?………


ガバッと勢い良く起き上がる私。


「ここは、どこでしょう!?」


私がカッパニーニ邸でお借りしているお部屋もそりゃ、立派ですよ。でも、でも、ここはその比ではないのです!!とにかく、広い!


家具はブラウンで統一されていて、絨毯も派手すぎず、地味すぎずの、うーん、地球風ならトルコ絨毯のようなもので、センスが良い。


ただ、どれもきっと一級品ですよ!私、素人ですが、高級感、ひしひしと感じます。


そんな風に、お宅訪問のごとくベットの上から部屋の様子を観察していると、恐らくベットがあることからもここはどなたかの寝室なのでしょう。そして、この素敵なお部屋の主が此方に来た気配がします。


「ど、どうしよう!?私また不法侵入!?また地下牢!?」


トントン、とノックの音がする。


「は、入ってますぅ~!!」


焦りすぎてトイレよろしく返事をしてしまう。


ガチャ、と寝室と恐らくリビングのドアが開く。


「ハナコ、体調はどう…何をしてる?」


あれ?王様じゃないですか!もう、なら、こんなベットの下に頭隠して尻隠さずみたいなことしなくて良いですよね!?


「…っ!まさか、誰かに襲われたのか!?


物凄い勢いで王様が近付いて来て、抱きすくめられる。


「お、王様!?違います!誰にも襲われていませんが、また不法侵入しちゃったかと思って隠れようかと…」


てへ♪という感じで言ってみる。王様はほっとしたように少し腕の力を緩める。


「もしかして、このお部屋は王様のお部屋ですか?」


「ああ、そうだ。」


王様が私の首筋に顔をうずめながら、低い心地好い声で囁く。くすぐったくて、気恥ずかしくて、誤魔化すように続ける。


「あの、では、私は何故王様のお部屋にお邪魔しているのでしょう?確か、茶葉を………っ!?王様!厨房が!ば、爆発して…!け、怪我人が…」


「落ち着け、ハナコ。」


再びぎゅうっと、王様の私を抱く腕に力がこもる。


「ハナコのお陰で、ほぼ絶望的だったが生存者がいる。8名だ。その時厨房には13名がいて働いていたが、他の5名はほぼ即死だったようだ。」


「8名しか…」


「8名も、だ、ハナコ。おまえの治癒魔法のお陰で死ぬはずだった8名もの人間が今現在無傷でピンピンしておる。」


でも、何の罪もない5名の方が亡くなった。


一度目の爆発する直前、おそらく風の精達であろう声が聞こえました。だから私は私自身に防御魔法を施し、二度目の爆発する直前は何かが急激に膨らむ気配がしたため、それを抑え込むように防御魔法を使いました。


「わ、たし、一度目の爆発の時、自分しか守りませんでした!…っ、二、度目の、時のように、爆発その物を、抑え込んでいたら…!」


「ハナコ…」


悔しい。悔しくて涙が止まりません。爆破を仕掛けた犯人が憎い。自分自身の保身しか考えられなかった自分がおぞましい。


「ハナコ殿、自分を責めるでないぞ。責める必要もない。」


王様と一緒に来たのでしょう。グレンリードさんが寝室の入口に立っています。後ろにはグレースさんもいます。


「グレンリードさん…でも…。」


「本当に、8名も助かったのは奇跡なのですよ。むしろその奇跡をハナコ嬢が起こしたのです。」


グレースさんが優しく微笑みながらそう言う。


でも、喜ぶことは出来ません。5名の方々が亡くなったのですから。しかし悲観してれば良い訳でもありません。


「王様。犯人は捕まったのでしょうか?」


そう、あれは故意のものです。こちらの世界ではガスコンロなどは有りません。厨房で火を使う時は木炭が主流で、火の国のファイアンセカでは石炭を使うことがあります。だから、ガス爆発等ではないのです。


まず、王宮という特別な場所で、しかも厨房という明らかに火を使う場所に爆発誘発物、例えば火薬など置くわけがなく、何より、特に二度目の爆発の時はある気配のようなものが膨らむのを感じました。おそらく魔力の気配だと思うのです。


「まだだ。すまぬ。不振な人物の目撃はあったが既に姿をくらましていた。」


「いえ!王様、謝らないで下さい!あれから、一日くらい経ってしまいましたか?ではこれから犯人探しです!!王様、私に何か出来ることは有りませんか?」


そう、私が王様に息巻いていうと、答えたのはグレンリードさんでした。


「ふむ。ではハナコ殿、後宮に入ってはくれんかの?」


「…は?」


それって犯人探しに関係あるんでしょうか?

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