王様の場合 2
「どういう、ことだ?」
訳が分からず、不覚にも声が上ずる。
「そのままですよ。王、先程一人の少女を地下牢に投獄したとか。」
「あ、ああ。王の庭を珍妙な格好でうろついていたのを捕らえたな。」
「渡り人だったそうですよ、その少女。」
「な!?」
渡り人はその稀少さ故に国で保護することが定められている。
「だか!魔力が感じられなかった!!」
渡り人は必ず魔力を有している。だからこそ保護対象なのだ。
「詳しいことは父に聞いて下さい。王宮に呼びましょうか?」
「王は間違えないと!神々は過ちを犯さないと!!」
凛とした声が謁見の間に響く。
王の庭で会った時、魔力が感じられなかったのは腹が減っていたからだと言う。確かに、渡り人はもともと内にある魔力が、こちらへ来て、こちらの食物を食し初めて器が満たされる。
しかし、この娘には魔力など感じられなかったのだ、その時は!どれだけ腹が減っていればそうなるのだ!!
今はどうだ。なんなんだ!この魔力の巨大さは!
確かに渡り人は魔力を有するが、しかしそれはさほどのものではない。
魔力を有する者が少ないこの世界にとって、そんな些細な魔力でも、有る、と言うことは、それだけで価値がある。
だから俺はこんな娘は知らぬと言った。
頭に血が上る。
この娘は俺に謝罪を求めた。
王であるこの俺に、だ。
それだけでは飽きたらず、神々さえも愚弄する!
俺が睨めば、鍛え上げた武官ですら青ざめるというのに、射殺す程に睨み付けても怯まず、それどころか睨み返してくる。
怒りで身体が震えると言うのは久しぶりだ。
身体が勝手に動く。
気が付くと娘に剣を突き付けていた。
怒りで身体が熱い。
「どうぞ?煩い口に戸を立てて下さい?」
俺の中で何かが切れた。




