王様の場合 1
一週間ほど前、王の庭で変な娘を捕らえた。
珍妙な格好、恥ずかしげもなく足を出した格好で、突っ立っていた。
美しい黒髪で、絶世の美女ではないが髪と同じ色の、黒曜石のような瞳は写すもの全てを吸い込みそうだった。
背格好やあどけない顔つきから子供だと思ったが、17だと騒ぎたてる。
確かに成人している年だか、とてもそうは見えない。
それが気に入らなかったのだが、俺の目を節穴だと言い出した。
王である俺に向かって、だ。
とんだ田舎者だ。俺のことをやたら王子と呼ぶが、この国に王子はいない。そんな事も知らない田舎者が、どうやって王の庭に忍び込んだのか。警備の見直しが必要だ。
このような田舎者、不敬罪でその場で切り捨てても良かったが、とるに足らない小娘の血で、この神聖な庭を汚すこともないと思い、とりあえず地下牢に放り込んだ。
それから一週間、煩い貴族共を黙らせるための後宮の準備に多忙を極めた。
あの無礼な娘の事など忘れていた。
その知らせは突然だった。
かつての俺の教育係で、現宰相は事も無げに言ってのけた。
「そうそう、そういえば、王。我が父か罪人を脱獄させたそうです。」
「………は?」




