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オタ嫁が大好きすぎる夫!☆  作者:


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6/6

06 打ち上げ花火

 お盆休みの昼の三時過ぎ。


 水族館デートを終えてから、俺は誘えなかった花火大会の広告をネット上で眺めてる。


 タブレットの中の広告では浴衣姿のカップルが出店を楽しんでる。


 花火大会は今夜あるんだが、ミユさんは今は遠征先で夏の祭典の同人誌即売会で戦利品を抱えてホクホクしている事だろう。


 そうでなけりゃ、疲労困憊でホテルで休んでるか友だちとアフターとかしてるかも。


 俺もいけば良かったかなぁ。

 ファンネル(※代理購入で飛び回る役)になりますよ! とか言ってさ。


 でも水族館デートをしたばかりだから、あまり欲をかいてもなぁと、やめておいたのだ。


 そんなに風にアパートの自室であれこれ考えこんでると、


「ゆーじ、今日暇か? 夜に予定空いてるなら花火見に行かね?」



 と、地元の幼なじみの朝陽に電話で花火に誘われた。こいつの誘いが唐突なのはいつもの事だ。



「まぁ、どうせ暇だから行くかな」


 家にいても悶々としてるだけだし。



『せっかくの花火大会なのに今年も彼女なしかー。お前、顔悪くないのに』

「お前こそな。 俺は既に片思い中の人がいるから仕方ないんだ」


『オレは理想が高いんだ! てか、その片思い中の人を花火に誘えば良かったのに』


「彼女は年に2回しかないオタクの祭典に行ってるから邪魔できない」

『あーそっち系のガチ勢だったか、わざわざ遠征までしてるんだな』

「そう、遠征組。それで、夕方くらいにお前と落ち合えばいいのか?」


『うん、そう、駅で会おう。車だと駐車場混み合うし、飲めないだろうから電車と徒歩移動な』

「OK」


 駅で幼なじみと合流し、電車に乗って花火大会のある会場に向かう。

 電車の中も同じように花火大会に行くらしい浴衣姿の女の子達がいた。


 電車から降りると途端にむわっとする。

 暑い。

 俺はミユさんがくれた、折り畳める扇子で扇ぎつつ、花火大会会場へと、夕暮れの道を幼なじみの朝陽と向かう。


「それ、家紋付きの扇子だな、竹とスズメって事は伊達政宗か?」

「そう、昔から伊達政宗が好きで2つあるからって、ミユさんがくれた」

「伊達政宗かっこいいもんなー、あ、ついでにオレも扇いで」

「なんでやねん!」



 と、言いつつも、少しだけ扇いでやった。



「あー、風が気持いい、オレもうちわくらい持って来ればよかった」

「日本の夏は夕方でも夜でも暑いってわかってただろうに」


「あはは、そうだけども! 夜明けが来る度にオレを思い出せ!」

「急になんだよ、ふつーに嫌だが? 1日の初まりに浮かぶ顔が男とか、どんな罰ゲームだ、なんでお前の名前は朝陽なんだよ」


「夜があけると必ず来る美しい朝の光だよ」

「はいはい、お前もはよ誰かの太陽になりたまえ」

「うむ」


「そんで日本の夏が暑すぎなのをなんとかしてくれ」

「それは太陽神に言ってくれ、俺のせいじゃない」

「ち、役に立たないやつ」

「ひでーー!」



 などと、どうでもいい軽口をたたきつつ、笑い合う。



「まず、定番のたこ焼きと焼き鳥と焼きそばから攻めるか」

「あと、唐揚げな」

「間違いないな、あとビール」



 色気の代わりに食い気に走るのだ。

 今回はそばに女性がいないし、青のりも気にしなくていい、多分。


 出店で好きなものを買って満腹になりつつあったら、ヨーヨー釣りが目に入った。涼しげな模様が描かれてる、ゴム製の丸いヨーヨーが子供用プールみたいなのにぷかぷか浮いてる。



「よし、やるか」


 俺はヨーヨー釣りの為にサコッシュから財布を出した。えーと、1回300円だな。



「ゆーじ、お前ヨーヨー好きなのか?」

「お土産用」

「あー、噂のミユさんにか」

「うん、金魚みたいな生き物は困るだろうし」

「たしかに」



 彼女の好きなキャラのシルヴァンのイメージカラーは銀と赤なので。白と赤と銀のラメが入ったヨーヨーに決めて、挑んだ。

 コヨリの強度が持てば、1個くらいはなんとかなるだろう。




「よし、取れた!」

「おめっとさん、お前の勇姿も撮影しといてやったぞ」


 いつの間にか朝陽が俺のヨーヨー釣りの姿をスマホで撮影してくれてたようで、俺のLimeに短い動画を送ってくれた。


「サンキュ、あ、もうすぐ花火だな」

「そーだな、座れそうなところ探すか」



 俺たちは飲み物を買ってからなんとか座れる場所を見つけて座ったら、すぐ始まった。

 ドーンと大きな音が響いて夏の夜空に大輪の花が咲く。



「たーまやー!とか、言うべきかな」


 朝陽がそんな事を言う。

 これが乙女ゲームなら大切な選択肢だが、


「恥ずかしいから俺は言わないけど、言いたいなら止めはしない」

「やめた、ビール飲も」

「それが無難だ」


 と、言いつつ、花火の動画を撮る俺。

 そこへ、「あー! 朝陽君じゃん!」と、浴衣の女性が声をかけてきた。


「おー! 中学で同じクラスだった田村さんだよね!? 久しぶり! 偶然だね!」

「やだー! 覚えててくれたの、うれしー!」



 それは中学時代の同級生の女の子らしかった。あちらも同性の友達と来てるっぽい。

 俺は違うクラスだったからよくは知らないから、女性二人に軽く頭を下げてから、今撮った花火の動画をミユさんに送った。


 するとすぐにミユさんから既読がついて、今通話できる?と、反応があった。


 もちろんどうぞ、とら言うと電話がかかってきた。


「もしもしー」


 そして響く花火の音。


「わー、動画ありがとう、ほんとに花火の音が聞こえるねー」

「そうなんですよ」

「夏って感じだねー」

「今ミユさんはどちらに?」


「ホテルだよー、戦利品全部宅配で送ってしまって1冊くらい手元に置いて置けばと後悔してたとこー」

「ああ、全部送ってしまったんですね」

「そーなの」


 ドォン! ドォン!

 次々と、花火が上がる。今、彼女も俺と同じ音を聞いてる。


「あ、お土産、いるかいらないか分からないけど、釣っておきましたよ」

「え? 釣る? なに? 金魚?」


 彼女は酒でも入ってるのか、いつもより砕けた様子で話してくれて、それも嬉しい。


「ヨーヨーです」

「あー、良かった、生き物じゃなくて」


「あはは」

「釣ってるとこ、見たかったなぁ」

「ありますよ」

「え?」

「幼なじみと来てたんですが、撮ってくれてて」

「マジでー? 見たい」



 俺は朝陽の撮ってくれた動画とヨーヨーの写真をペロッとLimeで送った。



「わー、可愛い! 私の推しのカラーだ! わざわざありがとうこざいます!」

「ちょっとやってみたくなって」


 電話でミユさんと話してたら、いつの間にか朝陽が生暖かい目でこちらを見ていた。


「ところで、幼なじみって、もしや女の子?」


 と、ミユさんに訊かれ、


「違います! 男です! 朝陽! 顔面がうるせーぞ!」と、俺が叫ぶと、


「しっつれーだな!」と、笑いながらあきらかな男の声で返してくれた。


 しかし、彼女は何故、俺の幼なじみの性別を気にしたのだろうか? まさか……



「よかった、里中さんが女の子と花火デート中なら私、電話しちゃったのやばかったかなって」

「いえいえ、とんでもない! ただの幼なじみの男なんで!」



 なんだ、そっか。電話した後でその可能性に気がついたのか。それだけか。



「とにかく、祭り気分、私も味わえて良かったです! ではまた!」

「はい! ではまた!」



 そうして短い会話が終わった。

 今度は、ミユさんと一緒に花火が生で見れるといいなぁ。などと思う。


 ……思わずに、いられない。


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― 新着の感想 ―
花火、当然、下から見ますか、横から、、それとも上から(笑)爺やのマンションからは、横から見れますね、、まぁ、近くであるとドーンという音が大きくて、反響してくるんですよ。 あの音が耳に響くので、、ちょっ…
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