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第43話


「さてと、まずはここ王都の地図から見るか」


「そうだね」


 地図は戦略上とても重要なものであり、通常は厳重に

保管し、一般の閲覧が認められていないものである


 ギルマスの好意でレンとティエラは早速テーブルの上に

地図を広げていく、


 ロチェスター王国の王都であるこの街は

大きな長方形の形に城壁があり、その中の広大な土地の

中心部に王城が、そこから東西南北方向に道路が伸びている。


 東西南北に門があり、大まかに言うと、王城の東側が

貴族地区、南側に商業区、西側に平民居住区、北側は

公園地区になっている。

レン達はこの東門から貴族街に入って来た様だ。


 王都の造りがわかったところで2人は王国の地図を広げていく


「見て、レン。辺境領の砦の南、既に私たちが報告した地図に

なってるわ」


 ティエラが指差すところを見ると、確かにこの前2人で砦の南、

魔人の国との境まで行った時にマッピングした情報がそのまま

アップデートされていた。


「流石に冒険者ギルドだ。仕事が早いな」


 地図は戦略的に最重要な書類故に常に最新版に更新されている

のだろうと理解した2人 視線は南から北のオムスク王国との

国境線の方に移動していく


「こっちも結構高い山だな。この渓谷がおそらくオムスク王国

に続く道だろう」


 王都から見て北東、山脈の切れ目の様なところに道が

走っていて、その先は山脈の向こう側にまで続いている。


「それで火山だが、おそらくこれだな」


 レンが地図の上の一点を指差す。そこは王都から見て北西の

方角で、火山のマークが1箇所だけ書かれている。


「そうね、北で他に火山のマークがないから、おそらくここね」


 ティエラも頷きながらその一点を見ている


「途中のこの村までは道がありそうだ。」


 火山に一番近い村はちょうど王都から目的地の火山までの

3分の2の距離の辺りにある。


「残り3分の1はおそらく橋の無い川を渡ったり、山越えと

なりそうね。距離は短いけど、時間は結構かかりそう」


 2人で地図を見ながらざっくりとした旅程を組んでいく


「テレポリングは往路では使用しないとして、歩いて

ここからこの村まで10日弱、火山まで10日間ってとこか」


「南と違ってこっちはしっかり魔獣がいそうね」


「ああ、多分いるだろうな。それとなく王都の北の

魔獣のレベルを調べておくか」


 地図を見て大体の旅程を組んだ2人は、ギルマスに地図を返し

更新したギルドカードを受け取った。



 そのまま応接を出てギルドカウンターに出ると


「レン!」


と呼びかけられる、振り返ると以前ベルグートで

模擬戦をしたシールが立っていた。


「おお、久しぶり。こっちに帰っていたのか」


レンとティエラを見ながら


「ああ。あんときは世話になったな。

おかげでちっとは人間的にも成長させてもらったぜ。

ところでせっかく王都のギルドで会ったんだし、

いっぱい奢らせてくれよ、いいだろう?」


 ティエラを見ると、問題ないって顔しているので


「じゃあ奢ってもらうか」


 ギルド横の酒場の奥のテーブルに行くと、

あの時のシール以外の2人も座っていて、

そのテーブルに腰掛けると、周囲にいた他の冒険者達も

椅子を持って集まってきた。


 挨拶を交わしながらエールを飲むと


「魔法剣士だって? また凄いことやっちまったよな」


「あまり実感ないんだけどね」


 ティエラが代わりに答えると、レン達の周りにいたテーブルから

他の冒険者が


「ランクAってのは聞いてるけど、レベルは?」


「60だよ」


「60になって即ランクAか、こっちは62でまだランクBだぜ」


 シールがエールのお代わりを頼みながら言う

実際はランクAより前に60になったのだが、

そこは黙っていると隣のティエラが、


「もうすぐ加護の元が咲いて転生できるんじゃない?」


「だといいがな。ところで王都へは護衛で来たって

聞いてるけどベルグードへの帰りまでクエストなのかい?」


「いや、往路だけだ。なのでここに着いた時点で俺たちの

クエストは終了だ」


 横を見るといつの間にかティエラは女冒険者に囲まれて

話しをしている。


「すぐにベルグードに帰るのか?」


シールの問いかけに


「せっかく王都まで来たからな、観光して、それから

王都周辺の魔獣でも退治してみようかと思ってる。

そうだ、シール、ちょっと教えてくれ。

この王都周辺の魔獣ってどのくらいのレベルなんだい?」


 ちょうどいい。王都に住んでいるシールに聞けば

ある程度の情報はわかるだろう。


 レンの質問を受けたシールはちょっと考えてから


「そうだな、王都の南側はお前らが通って来て

わかる様に強い魔獣はいない。せいぜいランクC程度だ。

東もだいたいそんなもんだな。西はダンジョンが

いくつかあってその中の魔獣はランクBクラスまでいるが、

それでもベルグードのダンジョンと比べりゃどれも

規模が一回りからふた回り小さいダンジョンばかりだ。


 西の海の方にも街や漁港があるが、その周辺の魔獣も

せいぜいランクB程度って聞いてる。

俺は行ったことはないがな。

ただ、北はちょっと違うぜ。」


 ここで一旦会話を切って、エールをグイッと飲み干してから、


「北って言っても北東、オムスク公国と通じている道沿いは

せいぜいランクC、稀にランクBがでるらしいが、まだ安心だ。

あの道は騎士や冒険者が定期的にグループを組んで道の

安全を確保するために魔獣退治をしているからな。

それと北の国がこっちにちょっかいを出さない様に

北との国境の近くの渓谷に国王軍の砦があって

兵隊達がわんさかいる。

そいつらも街道の魔獣退治をしてくれてるからな。


 問題は火山のある北西の山だ。

ここから北西に行く道をずっと行くと村があるんだが、

そこら辺りまではランクB,C程度。そこから火山のある

山脈に入っていくと、ランクAがゴロゴロいるって話しだ。


 中にはランクSのドラゴンもいるって聞いたことがある。

王都の冒険者も村より北はおいそれとは行けない場所だからな。

やばすぎる。ランクAがゴロゴロいるって話も

一年以上も前に騎士団が10人だか20人だかで行った時の話さ。

ちなみにその時は行った騎士団の半数近くが

魔獣にやられたって話だ」


 シールがそう言うと、テーブルに集まっていた他の冒険者が、


「俺はその北西の村の出身だが、村から出て北に4日ほど歩くと

山脈の裾野にはいるんだが、そこからはやばいくらいに

強い魔獣が出るっていうんで、村人は山裾には絶対に

近づかない。これは聞いた話しだが、以前その山に入った

奴は入ってすぐにオークエンペラーを見つけて、

慌てて逃げ出してきたそうだ」


 オークエンペラーはランクAの魔獣で知能も高く

また家臣とも言えるオークを多数引き連れていると

言われているやっかいな魔獣だ。


「山に入ってすぐにランクAが登場するのか、となると

奥にはいるとランクAがゴロゴロいてランクSまで

いそうだな。」


「ああ、それに山奥にはドラゴンがいるらしいって話だ。

俺は見たことがないが、他の場所で見たドラゴンと同じ

だとすると、あいつら口からブレス吐くし、皮は硬いし、

大規模な討伐団を組まないと倒せないランクSの魔獣だな」


 話しを聞きながら、ある程度しっかり準備していかないと

野営もままならなくなりそうだと思っていると、シールが

その村出身の冒険者に、


「ランクSやらAの魔獣はその山から出てこないのか?

出てきたら村なんてあっという間に壊滅だろう?」


「ああ、何故か奴らは山から出ない。村の噂だと

山の中が異常に魔素が濃いからだとか、

ランクSのドラゴンがランクAの魔獣の上に君臨していて、

ドラゴンが山から他の魔獣を出させないんだとか言われてる。

いずれにしてもいままでランクAの魔獣が

村を襲ってきたことはない」


「レン、お前らその北西の山にいくつもりだろう?」


 シールがレンの顔を見ながら話しかけてくる


「ここまで聞いたら挨拶したくなるよな」


「まぁ、お前達ならランクAでも普通に退治できるだろうが、

相手は数で押してくることがあるから、気をつけた方がいいぜ」


「確かに、大勢で来られたらちょっと面倒だな」


 その後はダンジョンの話しや、加護の話しで盛り上がって

周囲の冒険者達ともすっかり打ち解けたレンとティエラ



 ギルドの酒場を出るとギルマスに言われた通りの道を歩いて

”いぶき亭”を見つけた


 レンガ造りの高級そうな宿屋で、中に入って

ギルマスの名前を出して部屋を頼むと、

想像していた金額よりもかなり安い値段で

部屋を準備してくれた。


 部屋風呂がついている大きめの部屋に入ると


「どうだった?情報取れた?」


レンは酒場で聞いた話しをし、


「北西の村の先にある山に入るとそこらじゅうに

魔獣がいそうだから野営の場所を考えながら

進まないといけないな。ただしランクAが多いって

話だからレベル上げにはよさそうだよな」


「そうね、やっぱり強いのを倒してレベル上げたいよね」


 2人はそんな話しをしてから、久しぶりにベッドで

ゆっくり休んで疲れた身体を癒すことにした。


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