第六話『ジャングルの中、食べたい最中』
色々考えた結果、僕の人生の選択肢。最大最悪の選択肢。このまま井筒さんを待つか移動するか。もちろん、移動することに決定。満場一致の採決です。
そもそも、よく考えてみると僕がこうやってここでぐっすり気絶してる間に井筒さんがふらふらとどこかに行ってしまって迷子になってるのかもしれない。
普通に考えたら女の子がこんなジャングルを一人で歩けるかと思うけど、あの子は浮世離れ具合がA+って感じだから問題ない。むしろ、ジャガーか何かに襲われて大変なことになってるかも!
……ジャガー?
僕はここで一度冷静になることにした。
ここはジャングル。
なんていうか、日本かどうかもわからないけど……いつか見たアマゾン川探検のテレビ番組の映像と似てる。
ここは、日本?それとも外国?日本なら……恐れるのは野犬とかいのししとか。熊もか?
外国なら……それこそジャガーやらなにから……モンスターだらけだ。
ここらを、適当に移動するのは非常に危険な匂いがプンプンする……。でも、井筒さんがいないんだからしょうがない。むしろ、危険だからこそ井筒さんを探さなくては!
とりあえず僕は付近をさがし、ほどよい大きさの木の棒をゲットする。
心底、心底サンダルとかで来てなくてよかったと思う。スニーカー万歳。
それにしても、装備してるのが木の棒かぁ……。ロールプレイングゲームなら最弱っぽい武器だな。こんなもので追い払えるのは、正直野犬(子犬ちゃん程度)ですよ。
まあ、ガタガタ言っても仕方ない。
僕は、とにもかくにもジャングルの中を井筒さんを探しに出発することにした。
どのぐらい歩いただろうか。恐らく、2分ぐらい。
ここで、一つ結論が出た。
ここは日本じゃない。
だって、見たことないサルとか生き物がそこらへんにいる。
アマゾン探検のテレビでは、こういう動物を発見するのは苦労してたがな……
もしかして、それだけジャングルの奥地に来てしまったってことか!?
いや、まだ……あるいはこういうサファリパーク的なとこなのかも。生き物多いし。
とにかく、歩く。
どのくらい歩いただろうか。恐らく合わせて5分ぐらい。
心が折れそうになる。
ふと右を見たらめちゃめちゃでかい蛇がいたからだ。
これは噂のアナコンダ先生ではないでしょうか。
アナコンダ先生は幸運にもそっぽをむいていらっしゃる。僕は、ゆっくりと。だけど確実にその場を離れることにする。
どのくらい歩いたか。多分、8分ぐらい。
思いのほか果物とかがある。見たことない果実だがおもむろにむしってかぶりつく。思いのほか甘くないし、思いのほかジューシーじゃないが……食料の確保はサバイバルの鉄則!こういうサバイバルはゲームの知識しかないが……ゲームの知識でなんとかなるってことを思い知らせてやるぜ!
どのぐらい歩いたか。14分ぐらいか。
奇跡が起こる。お腹がめっちゃめちゃに痛い。さっき食べた果実か……それとも昨日食べたしめ鯖が腐ってたのか……。
しめ鯖といえば……親たちは、心配してるだろうな。
こんなの、ただの行方不明だもんな……。
しかし、不安にもなる。うちの家はこうみえて、驚くぐらいのゆるい家なのだ。息子の自主性に任せてるらしい。
昔、一度家出したことがあった。それも、相当な覚悟を決めての家出だ。2ヶ月間、友達の家で暮らした。結果、家に帰ったら何事もなかった感じだった。
おいおいおいおい。
今回ばかりは警察に言って捜索してもらわないと結構ピンチだぜぇ。
なんだかんだと歩いた。もう3時間は歩いたと思う。その間に、携帯がないことに気づいたりヘラクレスオオカブト(仮)を発見したりで、日本じゃないって自信が確信に変わったり携帯がないと時間もわかんないよってなことですよ。
ここがどこかわかんないけど……。とにかくあんなカブト虫は日本にはいない。でも、頭を強打したからって何十時間も気絶してないだろうしな……。いや、頭がずきずきする部分は一つじゃない、もしかしたら何回も頭を打ったのか?
とにかく、今自分はどこか外国のジャングルにいる。
なのに、なんだろう。この感じ。
もう、あまりの出来事すぎてちょっとおかしくなってるんだろう。まるで他人事のような感じだ。
はぁ……。大丈夫だろうか……。っていうか……やっぱりあそこでじっとしてたほうが良かった気がする。。。
しかし……道が舗装されてないとこんなにも歩きにくいものだったとはね。国土交通省の皆さん。本当に、ありがとう。あなた達の工事は無駄ばかりだと思ってたこの高2の馬鹿を許してください。
気が付くと、目の前に湖があった。池っていうよりは湖だ。そのぐらいでかい。
なんとなく、ネス湖だと思ってしまう。ジャングル、湖ときたら、ネッシーだろ。まあ、そんなわけないか……。
水はとても綺麗そうだ。飲んでも大丈夫かな……?変な雑菌がわいたりしないかなぁ……。不安にはなるが、仕方ない。飲む。
だって、ノドがからからなのだ。
ガブガブガブガブ……
うまい!なんていうか、軟水だね!?
とりあえず一休憩。ふぅ……。
湖はびっくりするぐらいにうららかで。思わず、こんなキャンプに来ていたと自分を惑わせる。
魚なんかも泳いでる。途中、色んな果実に手を出したせいかお腹の調子がよくないのであまり空腹感はないが……いざとなったらこいつらを食えばいいか。
井筒さんはどこにいるんだろう……。っていうか、どこをどうやったらあの箱の中からこんなジャングルへ?
推測してみた。
あの箱は、なんらかのものを外国に運ぶためのもので僕らはそれに入り込んでしまった。
それに気づかない馬鹿な飛行場の皆さんはそれを飛行機の中へ。そして、出発。
運び出される。僕ら。ジャングルの中へ。
中身を見たらああ、大変。人がいるではありませんか。
とりあえず、パニックになった原住民の人は気絶してる僕を気遣ってあそこに寝かし、医者か何かを呼びに行った。
うむ。
だとしたら……やはり移動したのは大間違いだったわけですな。
まあ、この推測にはいくつもの無理があるけどね。
だいたい、あんな夜中からフライトはしないでしょ。それとも、三日三晩ぐらいマジで気絶?さすがに、井筒さんがほっとかないでしょう……。
なんだかんだと考えをめぐらせてると、体中から嫌な汗が吹き出てることに気づく。真後ろに、気配がするのだ。
えっと……
まさか……
猛獣さんですか……?
恐る恐る後ろを振り返ると……
ガチャリ。
!?
僕のおでこに、鉄砲を突きつける外人の女の人がいた。
ええええええええええええええええええええええ!?




