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第四話『これは夢?生きる術。』

 夜中に家を飛び出し空港近くのコンビニに行くと……そこはもぬけのからだった。

 それは、当たり前だ。

 なぜなら、僕は、思いっきり遅刻したからである。

 西植(なんだかんだでぶ)から電話がかかってくる。

「吉田!なにしてるんだな!?もうみんなとっくにむかったんだな!」

「すまん。思いっきり遅刻してしまった。」

「とりあえず、一人吉田のために待ってて貰ったんだな。感謝するんだな!僕らに!」

「ん?そんなことしないでいいのに。ってか、誰もいないぞ。」

「きっと、コンビニの中で待ってるんだな。感謝するんだな。」

 何を感謝しろと……ん!?

 目を疑った。

 コンビニの中にはジャージ姿の……井筒さん(女神)がいた!

「西植さん。感謝します。」

「うむ。当然なんだな!それじゃあ、空港の中に入るためのフェンスが壊れてるところは知ってるのかな?」

「ああ、確か四つぐらいあったよな。わかってるぜ!」

「それじゃあ、うまくやるんだな!また後でなんだな!」

 西植(神)に感謝する。こうやって、井筒さん(ヴィーナス)と二人で夜な夜な歩くなんて……。奇跡という言葉すら生易しい!

 ちなみに、この西植(ゴッド)のいかにも貼り絵とかが上手くてランニングに半パンな感じの喋り方は、別にキャラってわけじゃなくてトランプの罰ゲームで今年いっぱいあの喋り方でいかないといけないってだけってことを補足しておこう。

 井筒さん(愛の妖精)は僕に気づくとポテポテとコンビニから出てきた。

 緊張する。

「ああ〜、吉田くん、こんばんわぁ」

「あ、ああ……。こんばんわ。」

「吉田くんが遅刻なさったので、私がこうやって待つようにとの支持をいただきまして、その、吉田くんが無事にこれてよかったですぅ。」

「ん。んじゃ、行くぞ。」

「ああ、ああ、待ってくださいぃ」

 俺は、本当は抱きしめたい彼女を前にすると、こんな態度を取ってしまう。

 だって、仕方ないだろ!?思春期ってのはこういうことなんだよ!こんな僕を誰が責めれる?神様だって責められやしない。

 せめて井筒さん(恋の精霊)に、待たせてごめんねって心から言いたいのに……言えない。自分で自分をぶっ殺してやりたいぜ!

「そういえば、吉田くん。どこから入るのかわかってますかぁ?」

「ああ。」

 なぜだ。

 こうやって話をふってきてくれてるのに、何故こんなつっけんどんな返ししかできない! 

 俺の馬鹿!

「私、こんなの初めてなんですよぉ。だから、ちょっとドキドキしてるんですぅ」

 嬉しそうに話す井筒さん(満点の星空)。こんなの初めてって言葉に心も体も反応してしまう。

 本来、こんな態度を取っていたら嫌われてるとかって思われてもおかしくはないのだが……彼女はちょっぴり浮世離れしてるとこがあるから助かった。

「ところで……吉田くんに聞きたいことがあるんですがぁ……」

 ドキっとする。

 一体俺に何を聞こうと……?

「あのぉ……あれ……なんでしょうかぁ……」

 ふいっと指差す先には……目前まで着た飛行場。

 そして、一面に広がるパトカー。

 パトカー?

「これってぇ……もしかしてぇ……」

 ふむ。

 もしかしなくても、これは、答えは一つではないだろうか。

 これは……

『えー、飛行場に忍び込んだ者達につぐ! ただちに出てきなさい!』

 おうおう。いい感じに拡声器なんか使われて。夜中だぞ。

 っていうか……ここまでされるようなものなのか!

 もしかしてこの空港には自衛隊の機密的なアイテムがあったり……?

「どうしましょうかぁ……」

「どうしましょうかってもなぁ。。。確実に、みんなのことだもんな。」

「ううん……どうやったら中に入れますかねぇ」

 井筒さん(まるで薔薇)はこんな状況においてもまだ中に忍び込もうというのか。なんていうゴッド。

 一人なら迷わず即決で家に帰るところだけどあなたが行きたいなら……どこまでもついて行きますよ!

 しかし……このまま飛び込んでいってもすぐに捕まるだろうな……。ほぼ間違いなく。

 まだか田中たちもここまで警察が躍起になるとは思ってなかっただろう。僕だって、見つかっても厳重注意ぐらいですむと思ってた。

 まあ……不法侵入なんだから当たり前か。

「あぁ!何か忘れ物を取りに来たって言うのはいかがでしょうかぁ。」

 手をポンっと打ちながらそんな素晴らしい案を提案する井筒さん(八重歯)は何故だかとても楽しそうだ。

「無理だろ」

 いや、その案でいきたいんですよ!?でも、恐らく無理なんですよ……。怒らないでください僕のマイエンジェル。

「じゃあ、風に飛ばされてやむなく入ってしまったっていうのは」

「却下」

 なんですかそのプリティーな案は!それでいきたいのはやまやまなんですが、人間はなかなか風に飛ばされたりしないんです!

 ここはどうするか……。とりあえずグルリと回ってみるか……。でもこんな夜中にうろうろしてるのが見つかるだけでも結構致命的な気がするな……。

 そもそも、中に入ってるのが高校生だってのもばれてるのかな?

 高校生だってばれてたらここまで大事にはならないか。もう、頭がパニックになってくる。

 そんな折、ふと井筒さん(基本的には髪はくくらない)を見るとなにやら紙やらダンボールやらをどこかから拾ってきて集めている。

 一体何を?

 あ!携帯でとりあえず中と連絡してみよう!そうすれば……パチパチパチ。

 なにやらパチパチといい音がする。拍手でもしてくれてるのか?

 音のするほうを見ると。

 井筒さん(英語が得意)が拾ってたものを燃やしていた。

 ああ、なんだかキャンプファイヤーみたいだなぁ。



 って!

 おいおいおいおいおいおい!

 ちょっとちょっとちょっと!?

「あらららぁぁぁ〜警察のみなさぁぁん。大変ですぅ。火事ですぅ。」

 おいおいおいおいおいおいいおいおい!

 おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!

ガヤガヤと警察たちが騒ぎ始める。しかも、案外火は強く、そして範囲が広がってきた!井筒さん(髪はちょっと茶色)!?

「さぁ、よしだくん。いまですぅ。」

「え、あ、ちょ……」

 井筒さん(お弁当がやたら小さい)が僕の手をとって走り出す!

 そして、警察たちがやんやと騒いでるあいだにまんまと空港内に忍び込めたのであった。



「なんとかうまくいけましたねぇ」

「む、無茶するなよ!」

「ただの陽動作戦ですぅ」

 陽動。ゲームの中だけではなく実際に使うことになるとは。

 もうとにかく、好きな女の子がここまでやってんだから僕も覚悟を決めるしかない!なんの覚悟かよくわからないけど!

 それにしても……これからどうしたらいいんだろう。

「とりあえずぅ、皆さんを探しますかぁ?」

「そ、そうだな。」

 本来なら僕がリードしてあげないといけないようなシチュエーションだが、しっかりと手綱を持たれている感じ。こんなときは案外女子のほうが根性座ってるものなのか。

 とりあえず、コソコソと二人してコンテナの裏やらなにやら歩き回る。中には警察は入ってきてないみたいだ。

 治外法権とか?そんなわけないか。

 とりあえず、携帯で連絡してみるも、圏外もしくは電源を切ってるとのこと。なんでこの非常事態に。どこか地下にで入ったのか?

 井筒さん(紺のハイソックス)が何かに気づく。

「吉田くん、何か物音がしますよぉ?」

 んん?そうかな……?って!?

 向こうから一筋の光の線が見える。懐中電灯かなにかか?! 警察か!? いかん!見つかる!

 あせる僕を、冷静に、むしろおっとり、井筒さん(たまにポニーテール)がなだめるように言う。

「ここに隠れましょう☆」

 彼女の指したところには、頑丈そうな巨大な箱?のようなものが。ちょっとしたお風呂ぐらいの大きさだ。鉄ふたをゴゴゴゴと開ける井筒さん(実は怪力?)。

 こ、この中に……?

 ピョンっと彼女は迷いなく中に入る。

 光は近づいてくる!

 くそ!

「南無三!」

 俺も中に飛び込むと井筒さん(この鉄ふた何キロあるんだ……?)が天を閉じる。中から器用に。握力90キロぐらいないとできないんじゃないかしら……。

 っていうか、上手くやりすごせるだろうか。こんなところで捕まったら洒落にならない。とにかく、上手く彼女だけでも助けなくては。きっと、不安がってるに違いない。きっと、おそらく。多分。

「大丈夫ですぅ。吉田くんだけは必ず逃がしますからねぇ」

 とても心強い一言が飛び込んできた。うん。こんなに浮世離れしてたかな。この天使は。

 なんと返事すればいいものか迷ってると、とびっきりグルービーな音が聞こえてくる。


 キュン……ズガガガ……キュンキュン……


 ああ、これは……テレビなんかで聞いたことある音だなぁ。うん。銃撃戦の音だ。

 銃撃戦?

 警察が?誰と!?田中たちと!?

 ズガガガってマシンガンとかの音じゃないの!?

「えええ!?なんだなんだ!?」

「銃撃戦のようですねぇ」

 あくまで天使はクールだ。でも僕はクールなんかでいれない。

 ばっと立とうとして頭を打つ。思いっきり……。

「あ、吉田くん大丈夫ですか……」

 思いっきり強打した僕は、意識がなくなっていくのを感じる。ええ?俺……ダサくない……?




 目が覚めたらそこは、ジャングルだった。



 え?


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