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39. サクラサク

「新入生代表、黒澤奈津。」


「はいっ。」


今日は待ちに待った入学式…なっちゃんは予定通り首席で合格。草太もギリギリ合格した。


入学式が終わって新入生が体育館から沢山出てくる。あぁ、なんか初々しいなぁ。普通なら上級生が新入生を見に来るのはまぁ、あんまりないんだけど…今年は文化祭の時の噂もあってかどの子⁉︎どの子?と上級生(主に女子)が騒いで沢山見に来てる。


上級生が「きゃーっ!」と甲高い声をあげたから、あ、きっとなっちゃんだろうな…と思った。


なっちゃんの横で草太がワタワタとしながら上級生に囲まれていた。当の本人は軽く苦笑いしているだけだ。


ふとこっちを見たなっちゃんがニッコリと笑いかけた。


「ちいちゃんっ!」


なっちゃんが爽やかにこちらを向いて話しかけたから周りの人たちもこっちを向いた。一斉にこっちを見られるって…すごい体験…。


輪の中から抜け出して、なっちゃんがこっちに走ってきたかと思ったら満面の笑顔で抱きつかれた。


「なっ、なっちゃん!」


ぎゅーっと勢いよく抱きしめられて嬉しそうになっちゃんが言葉を続ける。


「ちいちゃん俺新入生代表になったよ?」


「う、うん…おめでとう?」


「あー、頑張って良かった。」


いっこうに腕を解こうとしないなっちゃんに、いや周りの視線に焦る。いや、人混みがすごいから皆んながみんな見てるわけじゃ無いけど…


「あっ、あのっ、こっち見てる人もいるしっ!」


となっちゃんに離れるよう促すとキョトンとした顔でこっちを見ている。


「?別に良いんじゃない?」


「えっ!」


「だって俺ってちさとの彼氏だよね?」


彼氏という響きにかぁあっと顔が赤くなる。そして周りも騒ぎ出す。


「ねぇ…ご褒美、今欲しいんだけど。」


「いっ、今?別に後からでも…」


昨晩なっちゃんから告げられたご褒美…わ、私からのキスだった。明日頂戴って言うからてっきりなっちゃんの部屋でとか…そう思ってたのに…今⁉︎が、学校ですよ、、ここ…あと皆んな見てるのにっ!


「うん、今…がいいな。」


「えっ、でも…。」


「…ねぇ、お願い…ダメ?」


そんな可愛いお願い断るなんてできる人間もこの世にいないんじゃ…そう、意を決して少し背伸びしてなっちゃんの顔を掴んだ。


チュッと軽い口づけを頬っぺたに落とす…


「お、おめでとう…」


その瞬間なっちゃんにまたぎゅーっと抱きしめられて、お姉さま方のざわめきも少し大きくなった。


「ありがとう、恥ずかしかった?」


「あ、当たり前っ!」


もう、どんな顔して顔を上げようかわからないくらい恥ずかしい…でもそう顔を伏せていたら顎をグイッと掴まれた。


「じゃあ俺からも…」


「へっ?…ん〜〜っ!…んっ、

ふ…ぁっ…!」


柔らかい唇に丁寧に優しく啄ばまれる初めての感覚にカクンとと膝の力が思わず抜ける…


「あれ?どうしたの?」


私の身体を支えながらとぼけた顔で笑うなっちゃんに対して精一杯抗議の視線を送った。


「さて、じゃあちいちゃんまた後でね?神田先輩、ちいちゃんの事宜しくね?草太行こうか。」


後ろを振り返ると呆れかえったサキがいた。っていうか最初から一緒に居たの忘れてた…!ってか草太もいたし…!


「〜〜〜っ!…なっちゃんのバカ〜!」


私の空へも届きそうな叫びに青年は嬉しそうに天使の様な笑顔を見せてくれた。




ーおしまいー


完結しました!サクサクっと最後まで終わらせる、そんな目標をもって書きました。最後までお付き合いありがとうございました。休載中の話も頑張りつつ、ちいちゃんとナツのこれからも描きたいような、また別の作品も描きたいような…フラフラしつつこれからも頑張ります。本当にありがとうございました!

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