壱
「……き…明…明、どうしたの?」
どこからか声がする。
「明?朝だよ〜起きないとご飯なしだよ?」
ゆさゆさと体を揺すられている。
あと、この声。どこかで聞いた事がある。
えっと、この声は…
「し、紫乃?」
ゆっくりと体を起こすと、そこには私の友人み水野紫乃がいた。
ただ、いつもの服ではなく、時代劇やドラマで見るような着物を着ている。
今劇をやっていたんだっけ?
ふと気が付くと私も寝間着なのか、薄い着物のような服を着ている。
いつの間に着替えたんだ?
「もぅ、遅いよ。また何か書き物でもしてたの?」
立ち上がろうとしていた私の手を紫乃は引っ張る。
書き物?なんの事だ?
立ってみると、変なところはそれだけではない事に気付く。
私は元々あまり身長が高いほうではなく、紫乃とも大体同じぐらいだ。
なのに、今の私は紫乃を見下ろしているのだ。
髪だってかなり長くなっているし、なんで…
「明、顔色悪いけど大丈夫?」
紫乃が私を見上げて聞いてくる。
「い、いや大丈夫だ」
こんないつもと違う事だらけで大丈夫なわけがない。
でもとりあえずそう言うしかない。
「ん?いつもなら『大丈夫です紫乃様』って言うんだけどなぁ」
え?紫乃様?
それに敬語?
一体ここは…
まぁとりあえず
「いえ、
大丈夫です紫乃様。少し夢見が悪くて混乱してただけですので」
微笑みながら言うと紫乃も笑った。
「そっか。じゃあ着替えたら来てね」
そう言うと紫乃は襖を閉めて部屋を去った。




