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いじめっ子といじめられっ子

 今回は、4コマまんがの挿絵が入ります。

 挿絵が見えない仕様にされている方は、お手数ですが見えるようにしてやってください。

 よろしくお願いいたします。

 表紙をめくると、右のページに「もくじ」があり、左のページに2人の人物のキャラクター紹介があった。


「はい、ご覧の様にこの本は2人の登場人物が出てきます。


 右側の白い髪の人がいじめられっ子のA君で、左側の黒い髪の人が、いじめっ子のB君です。

 えー、別人なんですが、顔は同じです。


 この後にも出て来ますが、結婚相手とか就職した会社とか、この2人の条件を全部同じにすることで、いじめっ子といじめられっ子の人生を1ページの右と左で比較した漫画になっています。顔も同じ条件なので、髪の色で区別しているのです。


 では、このそれぞれのいじめの経験による性格の分析から見てみましょう。

 まず、いじめられっ子のいじめられたことによって手に入れたと考えられるもの。


【存在を否定され続けたことによる、自分は駄目な人間だと思う卑屈(謙虚)な性格。


 自分がやられて嫌な事は他人にしてはいけないという他人を思いやれる考え方。

 毎日のいじめに堪えた結果に得た、強い精神力。

 そして、本人の気づかないところで、どんな小さなことでも幸せを感じること、そして、人の優しさをたくさん感じられる才能を手に入れている】


 そして、いじめっ子のいじめの経験によって手に入れられたと考えられるものです。


【周囲の肯定による、自分は正しいのだという絶対的な自信。


 弱い者をいじめることによって自分の立場を盤石なものとする処世術。

 弱い人は強い人の言うことを聞くのが当たり前という考え方。

 そして、本人の気づかないところで、相手を最も効果的に傷つける言葉や態度、行動を考える才能を手に入れている】


 普通のまんがと違うのは、全部がこの2人を比較した内容になっているところです。1枚のページの右側と左側でそれぞれが同じ状態で話を展開します。


 先ほども言いましたが比較が分かりやすい様に、2人とも同じ会社に勤めていて、同じお嫁さんがいるという不思議な設定になっています。


『小学校1年生に結婚とか就職とか分かんないじゃん』という意見があるかと思いますが、それぞれの家庭でお父さんやお母さんやお祖父さんやお祖母さんがいるのですから、子供だっていろいろ知っています。


 もし、知らない部分や、分からないところがあったとしたら、そこから先は想像力を鍛える良い機会なのです。どんどん、想像してもらいましょう。


挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)


 こんな感じの比較が繰り返されます。どうでしょう? 理解していただけているでしょうか?


 つまり、同じ条件で同じ相手と生活をしていても、本人の受け取り方や考え方次第で、その生活は幸せにも不幸せにもなるという例です。


 また、何か話しかけられた時に返す何気ない一言で楽しくもなるし、簡単に喧嘩にもなるものなのです。


 おつきあいを始めたばかりとか、新婚さんだったりすると、まだラブラブで相手が何を言っても幸せベールに包まれているのでその期間は大丈夫だったりしますが、これが毎日の生活になって、相手が毎日いるのが当たり前となった時に、その人の本質が現われます。


 その時、どういう行動、対応をするかはその人のそれまでの行動の積み重ねが反映されます。何か話しかけられた時の、受け取り方や返事の仕方に、それらが如実に現れるのです。


 例えば、どんなに熱烈に愛し合った夫婦でも、必ず意見が行違う時が訪れ、ケンカになります。


 元いじめっ子の場合、その瞬間、ラブラブのスイートホームが、恐怖のいじめ教室に変わるのです。あんなに愛し合って一生を共にと誓い合った相手に対して、過去、いじめで磨き上げたテクニックを存分に発揮して、ありとあらゆる言葉や暴力で、相手をこれでもかと傷つけてしまうのです。


 幸せになるために必要なのは、相手を思いやる心と今の幸せに対する感謝の気持ち。と、私は考えています。


 つまり結論としてはですね、過去、いじめられて辛い思いをしてきた人ほど、幸せを感じることが出来る能力を沢山持っているということに、気づいて欲しいということです。


 そのことに、まず自信を持って欲しいと思います。


 だって、あのいじめられていた日々と比べたら、あの苦しみから解放されている今は何て幸せなのだろうって普通に、毎日のように感じていますよね?


 そして、もうひとつ。今現在、いじめられている子供たちに覚えておいて欲しいことがあります」


 水玉さんは、フリップを一枚持ち上げた。そこには横に長いグラフが描かれていて、80のメモリがついていた。そして、端っこの方の5~20の辺りだけ、赤い色がちょこっと塗られていた。


「『人生80年』という言葉があります。君たちはまだ、生まれて5年から12年程しか経っていないので、今はこの辺ですね。


 そして、これからの君たちの人生は、こんなに長いです! それに対して、今の学生時代という期間は、この赤く塗られたちょこっとだけの間なのです」


 水玉さんは、赤いちょこっとの部分と、横に長いグラフとの差をすごいオーバーアクションで表現しながら指し示した。


「よく考えてみてください。この、ほんの少しの学生時代にいじめられたとしても、残りのこの長い人生、君たちは幸せになれる素質を持っているのです。


 いじめられっ子の皆さんには、将来のこの長い人生における、自分自身の幸せをつかむために、これからの日々を、頑張って欲しいと、私は心から願っています。


 復讐をしようとか余計なことは考えずに、真面目に自分のやるべきことに取り組んで頑張れば、必ず誰かがそんな君たちの優しくて、思いやりのある姿を見ていてくれて、それが、君たちの幸せな生活につながっていくはずです。


 もちろん、幸せは掴んだ後も努力を怠ってはなりません。一緒にいる人たちのために、皆が幸せになれるように毎日を頑張るのです。それがそのまま、あなた自身の毎日の幸せに繋がるのですから」


 そういえば、確かオレが聞いていなかった話の時に、『いじめで自殺する子供を無くすことが最大の目的』と言っていたと、史也が言っていたのを思い出した。


 水玉さんとしては、たぶん今の話が、オレみたいないじめられっ子に伝えたかったことなのかと、改めて噛みしめた。


 でも本当に、そんなに水玉さんが言うほど良い素質を、オレは持っているのだろうか……? うーん。

 でもまあ確かに、今のオレはいじめられていない上に、みんなとも仲良くなれて、信じられないくらい幸せだ。


 そしてもちろん他のみんなも、学校改革で今までとは違う環境になっているはずだけど、オレはたぶんきっと、クラスの誰よりも今の状態を一番、最大級に幸せだと感じているという自信はある。


 つまりは、そういうことなのか。


 水玉さんは、大きなため息をひとつついて、コップの水をグイと飲み干した。






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