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05-12.元連隊長、転送門を開く

「来たぞっ! 遠くに飛竜が見えるっ!」

抜群に視力のいいヴィーツが敵影を最初に発見した。

「バルゴサが開戦を遅らせていたのは、飛竜を育てて爆槍を準備するためであったか。あれの開発にはおそらくカディールも噛んでおろう」

この場に魔導士の一人として加入しているギスリム国王が、他の面々と共に北の方角を見やりながらそう言った。

「王都を爆撃して一気に決戦するつもりだったのでしょう。トラホルンの穀倉地帯を手に入れるためには王都周辺を荒野にしても構わないという判断だと考えます」

まだ少し怯えを残しつつ、イルマがギスリム国王に応えた。


魔導士の戒律に抵触するのではないか、ということを恐れていたパバールも目の前で繰り広げられるかもしれない惨劇を未然に防ぐことが優先と思いなおしたらしく、屋上に集まった人員の中に加入していた。


ボルハン城の屋上、尖塔と尖塔の合間から見える空の彼方に、やがてタモツの視力でも捕らえることができる大きさになって敵影が見えてきた。

それはこちらの方角にめがけて徐々に迫ってくる。もうただの黒い点ではなく、翼をはためかせる大きな鳥のようなフォルムとしてとらえることができるようになっていた。

そして、見ているうちにそれはだんだん大きくなってくる。


「転送門、準備しますっ!」

タモツが叫び、高度な魔導のための複雑な術式を編み始めた。

脳の中だけでこの処理を行うのは高度なイメージ力を求められるため、多くの魔導士たちは呪文と手のしぐさを補助として複雑に魔力を編んでいく。


タモツの身体から魔素が浮き上がるように湧き出て、それは両掌から放出されるように上空へと放たれた。

(まさかとは思うが、狙いが王都じゃないなんてことはないよな?)

という不安にタモツは一瞬かられたが、もし万が一そうだったとしたら打てる手段はもう何もない。

(今は迷っている場合じゃないっ!)


「皆さん、転送門を拡大します! 転送門の術式を使える人は拡大させて、それ以外の人は僕に魔素を!」

事前に打ち合わせてあったことの確認ではあったが、タモツは叫んだ。

パバールと他2人の白魔導士がタモツの作った転送門に直接魔素を注ぎ込んでその大きさを膨らませ、中級以下の魔導士たちはタモツに自分たちの力を送り込んだ。


「飛竜が上空に来たぞっ!」

「あっ! 爆槍がっ!」

国王ギスリムと、上級魔導士パバールが叫んだのはほぼ同時だった。

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