05-11.元連隊長、作戦指揮をとる
「落下予測地点は王城の真上!」
タモツは走りながら言った。
「そうね、たぶんそうなると思う」
「トラホルン側に与えるダメージが一番でかいからな」
イルマとヴィーツも走りながら同意した。
「白魔導士たちを集めろ。タモツたちに協力するのだ!」
「お、恐れながら――」
「導士パバール! 王都に爆槍を落とすというのは、常の戦ではありません。これは戦争犯罪です」
タモツが足を止めて、パバールを振り返って言った。
「兵士同士が戦いによって勝敗を決めるところに魔導士が関わってはいけない、というのは考えとしては分かります。しかしこれは正々堂々とした戦いの手段じゃない。ボルハンの民を守るために協力してください」
「戒律を守って死にたいというのならお前自身は好きにするがいい。だが、白魔導士は集めろパバール!」
「申し訳ございません。火急の自体に道理のわからぬことを申しました」
パバールはややうなだれて、足早に魔導士の塔へと走っていった。
「転送門の術式をタモツが開き、そこに他の魔導士たちが息を合わせる。それでよいのだな?」
「はい。ヴィーツだけは僕らに合わせずに、火球を最大火力で同じ転送門に送り込んで爆槍を破壊します」
「おっしゃ! 俺の見せ場がとうとうやってきたな!!」
ヴィーツはこの非常事態にあっても、恐怖よりも先に、自分が活躍できることのほうが嬉しいらしかった。
一方で、イルマは明らかにおびえているように見えた。
「え? イルマねえさん、もしかして怖いの?」
「怖いわよ、そりゃあ」
負けず嫌いのイルマにしては珍しく、素直に認めた。
「本当にうまく行くのかとか、失敗したらどうしようとか、思うじゃない?」
「え? いや、俺はぜんぜん?」
ヴィーツはあっけらかんとして笑って見せた。
「大丈夫だって。タモツが考えてイルマが協力して、俺が最後に華麗に決める!」
「あんたのそういうところ、感心するわ」
イルマはまだ不安を残した表情ではあったが、そう言って笑って見せた。
魔導士の塔からかき集められてきた魔導士たちと、ギスリム国王自らも参加して、総勢15人の魔導士たちが城の屋上に集まった。
「槍の投下位置が正確にわかるわけではないので、とにかく大きな転送門を作ります。白魔導士の皆さんは僕の作った転送門の範囲を拡大するように魔力を送り込んでください」
タモツは全員に指示を出した。
「火球の火力はヴィーツ一人だけで十分だと思うけど、念のためイルマもヴィーツの補助について。ヴィーツの身体に魔素を送りこんでくれたらいい」
「わかった!」
イルマはうなずいた。




