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05-10.ギスリム国王、決断する

謁見の間にいたギスリム国王のもとに、岡崎配下の黒魔導士から緊急の念話が届いた。

(バルゴサの飛竜兵と思わしき飛竜が、王都を目指して南下中。かごを吊るしており、その下には槍のようなものが見えます)

(槍? 王宮の上空にそれを落として、脅しでもしてみせるつもりなのか?)


ギスリムは思わず嘲笑ったが、恐ろしい可能性に気が付いてはるか北のカディールに向かって念話を放ってみた。

「ダメか。余の魔導力ではタモツの居場所まで届かぬ。おい近習! パバールを呼べ! 大至急だっ!!」


ちょうど王に報告の用事があって近くまで来ていた上級魔導士パバールが即座に事態を飲み込み、魔導の目を飛ばす間も惜しんでタモツがいそうな学院内の施設数か所に同時に念話を飛ばした。

タモツは錬金術師ライラスの研究室にいた。


(タモツ様! 緊急事態です!! バルゴサの飛竜が一騎、王都ボルハン目指して南下してきます。携えているのは、おそらくは<爆槍ばくそう>と呼ばれる魔導兵器です)

(爆槍!?)

それは古代魔法文明イムルが、敵を滅ぼす最終兵器として開発したものとされる。結果としては自らを滅ぼすことになったのだったが、領土に甚大な被害をもたらした破滅の槍であった。


「タモツ、ヴィーツ、イルマ! いますぐボルハンに自分たちを転送できるか?」

ギスリム王が珍しく顔に汗をにじませてパバールの耳元で言った。パバールはその通りにタモツに念じた。

「戻ります、とのことです」

パバールが王に伝達した。トラホルンから派遣されていた学生3人は即座にトゥーラン館の裏庭に自分たちを転送して、そこから走って王宮入りするとのことだった。王宮には外部からの侵入者を遮断するために白魔導士による結界が幾重にも張られていたからだった。

念話によって王に転送が終わったことを告げると、王は時間を惜しんで自らも王宮の入り口まで走って出向いた。パバールがその後を追ってついてきた。


「再会を喜ぶ暇もないが、ヴィーツの火炎弾で爆槍を破壊できぬか?」

「破壊はできるでしょうけれど、どういう被害が出るか分かりません、国王!」

イルマが横から異を唱えた。

「落下してきた爆槍に対して上空で転送門を開き、はるか上空に打ち上げてはどうでしょうか」

タモツが提案した。

「同じ場所にヴィーツの最大火力の火球を転送してぶつけて、天高い場所で破壊するのです」

「いっそのことバルゴサの首都ヌーン・バルグにでも転送してやりたいところだが……」

ギスリム国王は怒りに満ちた目をして言った。

「よし、それで行こう。爆槍を上空に転送してそこで破壊するのだ」

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