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夢幻戦隊MSガールズ  作者: 硫化鉄
第九話 「迷路」

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シーン1 @常世の国

 神託の間。卑弥呼が主の言葉を聞き、そして配下の者に指令を下す、常世の国の中枢である。

 悟空が前回の顛末を報告するその中で、ディスペアーにある凶報がもたらされた。

 MSガールズの新しい技。

 その技は、闇の力による支配を切り離し、支配下に置かれた者を解放する力を有していたのである。

 それを聞いたアラジンの顔色が変わった。


「何!? あの小娘どもにそのような必殺技が……!?」


「あぁ。やばいことになって来たぜ、おっさん」


 卑弥呼は少し考えて、ゆっくり目を閉じた。


「闇の力を切り離す技……。たしかに、我らの力を根本的に破壊するものになりかねぬな……」


「早急に対策を立てねば……!」


 アラジンは焦燥感にかられて思考を巡らせた。ディスペアーにとって致命的な力を持つその技を、封じるか無力化するかしなければ、自分たちに勝ち目はないのだ。

 だが卑弥呼は目を閉じたまま、むしろ優しげな声で言う。


「アラジン、そう焦るな」

「しかし……!」


 アラジンはそう言って、何か違和感を感じた。

 意外なほどに柔らかい表情の卑弥呼。前回は苛立ち、拗ねてもいた卑弥呼に起きたその変化が、アラジンには理解できなかった。水泳大会にも参加できていなかったはずなのだ。

 目を閉じたまま、恍惚と言ってもいい表情を浮かべている卑弥呼は、ゆっくりとアラジンに問いかける。


「焦ったからと言って良い知恵が浮かぶわけでもあるまい?」


「そりゃそうだけどよ……」


 言葉を失ったアラジンに代わって悟空が口を挟むが、やはり悟空も卑弥呼に違和感を感じ、アラジンを肘でつついた。


「なぁおっさん、なんか卑弥呼様、今日機嫌よくね?」


 囁き声でそう言った悟空に、アラジンも顔を寄せて囁く。


「そうだな……。何かあったのだろうか……」


 二人のひそひそ話を気にも留めず、卑弥呼は目を閉じたまま、言葉を続けた。


「もちろん、我らもただ手をこまねいてるわけではない。

 現世界を闇に染める為に……主の御心に沿う為に……あらゆる手を尽くして、MSガールズを葬り去るのだ!

 ……ですよね? 主よ……っ」


 目を閉じたままうっとりしている卑弥呼。

 悟空とアラジンは納得してうなずきあった。二人のひそひそ話はさらに続く。


「なるほど……。そう言う事ね」


「主の声を、久方ぶりにキャッチされたか……」


 うんうんとうなずいた悟空が、今度は意味ありげに笑って、もう一度アラジンを肘でつついた。


「ところでおっさーん?

 なんかさ、チビ魔人使って、俺のペットたちの事調べてたんだってぇ~?」


 アラジンの表情が凍り付く。


「こ、小僧っ! な、何故それを!」


「まぁしょうがねえよなー、おっさんとこ、女っ気ねーもんなぁ」


「こ、小僧、その事は、卑弥呼様には内密に!」


「さー、どーすっかなー?」


「……頼むから」


 その時、卑弥呼が目を開いた。悟空とアラジンが顔を寄せているのを眺め、不思議そうに首を傾げる。


「悟空、アラジン。何を話している?」


「あぁいえ! 何でもございません!」


 直立不動になるアラジン。悟空は少し慌てて逃げだした。


「さ、さーて、んじゃ俺はあのねーちゃん達の攻略法でも考えてくるわ!

 それじゃーな!」


 飛び去る悟空の背中を見送って、アラジンもいそいそと退散する。


「私の方も、次の作戦を立て直さねばなりませぬ故、これにて失礼致します」


 二人の背中を卑弥呼は手を振って見送った。


「二人とも、しっかり頼むぞ!」


 そして卑弥呼は再び目を閉じた。深淵からの声にその身を晒すように。闇の全てを、その身体に受け止めおしいただくように。

 その至福の中で、卑弥呼は自分の力が満ちてくるのを感じていた。


「……主からのお声に伴って我の力も更に強くなっているのを感じる……。

 MSガールズ! お前達を必ず! 我が闇に葬ってくれる……!」

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