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夢幻戦隊MSガールズ  作者: 硫化鉄
第11話 「新生」

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シーン6 神の音楽

 ピアノの演奏は続いていた。

 舞踏会の後に開かれた、王子主催のピアノ演奏会。ステージ上には数種類のピアノが設置され、モーツァルトがその中の一台を弾いていた。


「モーツァルトさん」


 演奏を続けているモーツァルトに静かに近づいて、美佳はそっと声をかけた。


「あ、お嬢ちゃん……」


 モーツァルトが美佳に視線を移すと、その後ろにはウォルフが付き従っていた。


「ここは、私のステージですよ?」

「ごめん……」


 モーツァルトは素直に謝り、演奏の手を止めた。

 新しい音楽に命をつないでいく新しい芸術家。もともとこのステージは彼女のものだったのだ。

 だが、美佳は立ち上がろうとするモーツァルトに、笑顔を見せた。


「あ、座っていていいですよ、私、あっちのピアノで弾きますから」

「うん……」


 美佳は隣のピアノに歩きながら、振り向いた。


「ウォルフさんも、手伝ってね?」

「謹んで、共演させて頂きます……」


 ウォルフは恭しく頭を下げ、持っていた楽譜をモーツァルトのピアノに置いた。


「え? この楽譜……」


 見覚えのある楽譜。モーツァルトはウォルフを見上げた。


「ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト。……よろしく頼みます」

「あ……うん!」


 嬉しそうに笑うモーツァルトに一礼すると、ウォルフは美佳の隣の一台に座った。


 三人の演奏が始まる。その曲は、『3台のピアノ協奏曲 第7番 ヘ長調「ロードローン」』。

 一つに溶け合う三台の音色が、会場いっぱいに広がっていった。


「良い音楽ね……」

「うん……!」


 智恵とあかりが顔を見合わせる。


「これも滅多にきけるもんじゃねえな……!」


 ホーキングが珍しく音楽で感動していた。


「アキラや雷牙と同じく……闇に操られていたわけではなかったんだな……」


 弧次郎は納得したようにそう呟き、静かに目を閉じた。


 演奏が終わり、三人がステージ中央に出て来ると、会場は万雷の拍手で包まれた。

 モーツァルトは美佳達に歩み寄ると、ウォルフに頭を下げた。


「ウォルフ……だっけ? すまなかったね。君の演奏は……」


 そう言いかけて、モーツァルトは美佳を眩しそうに見る。


「ははっ、お嬢様の想像力も侮れないなぁ」


「ふふっ……。当たり前です」


 ウォルフが誇らし気に言った。


「夢想を表現すること……それが芸術! だもんね!」


 モーツァルトは美佳の姿を眩しそうに、そして少し寂しそうに見つめ、ゆっくりと言った。


「神の音楽……こんどは君たちが聞く番だよ」


「……はい!」


 美佳は尊敬する神の音楽家を見つめ、はっきりと答えた。

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