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正義の軍略家 ~自衛隊エリート、異世界で義勇軍を率いて腐敗を討つ~  作者: ローナ


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黒の将軍の報復と、軍団の結束

盾の牙要塞は、魔王軍先遣隊を撃破した余韻と、新たな緊張の狭間で揺れていた。

総勢340名に達した『秩序の盾』は、要塞の防衛をさらに強化し、周辺村の保護を急ピッチで進めていた。

しかし、勝利からわずか四日後、予期せぬ報復が訪れた。

夜明け前、シオンが血相を変えて司令室に飛び込んできた。

「蓮! 緊急事態です!

北東の森から黒い霧が急激に広がっています。

魔物の数は前回の倍以上……400体を超えました!

しかも、中心に『黒の将軍』の本体らしき巨大な影が確認されました!」

蓮は即座に立ち上がった。

「報復が早いな……将軍分身を倒したのが、相当な痛手だったようだ。

全軍に伝達——最大戦闘態勢!」

要塞全体が一気に動き出した。

鐘が鳴り響き、兵士たちが武器を手に持ち、配置につく。

エリシア、ガルム、ルーク、シオン、ミアが司令室に集まった。

エリシアが剣の柄に手をかけ、低く言った。

「黒の将軍の本体……今度こそ本気で来ている。

正面から受け止めるしかない」

ルークの耳がピクピクと震えていたが、目は強く輝いていた。

「僕も前衛で戦う! みんなを守る!」

蓮は地図を素早く確認し、作戦を立てた。

「今回は要塞防衛戦だ。

第一に、要塞の堅固さを活かす。

第二に、魔王軍の霧を分散させるために、複数方向からの陽動を行う。

第三に、黒の将軍本体を早期に発見し、集中攻撃で仕留める。

王国軍の監視部隊には、使者を送って『魔王軍の大規模進攻』を知らせる。

利用できるものはすべて利用する」

ガルムが頷いた。

「了解。 前衛は死守する」

作戦開始からわずか二時間後、黒い霧が要塞の視界に入ってきた。

森の木々が黒い霧に飲み込まれ、赤い目が無数に光る。

中心に立つのは、黒い甲冑に覆われた巨大な魔物——黒の将軍の本体だった。

体長は5メートルを超え、両手に黒い大剣を持ち、霧を自在に操っていた。

黒の将軍が低く響く声で叫んだ。

「秩序の盾……我が分身を倒した愚か者どもよ。

この辺境を、魔王の名の下に蹂躙してやる!」

要塞の壁から、エリシアが大声で応じた。

「来るなら来い!

私たちがこの土地を守る!」

戦闘が始まった。

黒い霧が要塞の周囲を包み、魔物たちが一斉に襲いかかる。

エリシアとガルムの前衛部隊が要塞の門を守り、獣人の力で魔物を次々と押し返した。

ルークは壁の上から素早い動きで石を投げ、敵の注意を乱した。

蓮は要塞の中央塔から全体を指揮しながら、的確に指示を飛ばした。

「右翼の霧が濃い! 火矢で焼き払え!

左翼はルーク隊が撹乱!

黒の将軍本体はまだ近づくな! 距離を取って様子を見ろ!」

黒の将軍は霧を操り、触手のような攻撃を繰り出してきた。

要塞の石壁が削られ、兵士たちが次々と吹き飛ばされる。

しかし、『秩序の盾』の結束は強かった。

ミアの後方支援部が負傷者を迅速に運び、矢と投石を補給し続ける。

シオンの斥候隊が森の中を駆け回り、魔物の側面を突いた。

蓮は塔から飛び降り、前線に駆けつけた。

「黒の将軍を狙う!

エリシア、ガルム、俺と一緒に突撃する!

ルークは援護に回れ!」

四人が黒の将軍に向かって突進した。

黒の将軍の大剣が振り下ろされ、地面が大きく抉れる。

エリシアが横から飛びつき、狼族の爪で甲冑を切り裂いた。

ガルムが重い一撃を加え、蓮がその隙に急所を狙う。

激しい攻防が続いた。

黒の将軍が咆哮を上げ、霧を爆発的に広げた。

「愚かな人間ども……魔王の力の前に跪け!」

霧が触手となって蓮を襲う。

蓮は自衛隊の訓練で培った動きでかわし、ナイフを握りしめて反撃した。

「跪くのはお前だ!

この世界の弱い者を苦しめる者に、正義の鉄槌を!」

ルークが壁の上から全力で石を投げ、黒の将軍の目を一瞬くらませた。

その隙に、蓮が大きく跳び、将軍の首筋に深くナイフを突き刺した。

【スキル『大型魔物討伐』 レベル1を取得しました】

【現在のレベル:43】

黒の将軍が苦痛の叫びを上げ、黒い霧が急速に薄れ始めた。

魔物たちの動きが乱れ、討伐隊の反撃が一気に加速した。

戦いは朝から夕方まで続き、ついに黒の将軍の本体が崩れ落ちた。

残りの魔物は霧とともに散り散りになり、森の奥へ逃げていった。

要塞の広場は、勝利の歓声に包まれた。

しかし、蓮の顔はまだ厳しかった。

「黒の将軍は倒した。

だが、これは先遣隊に過ぎない。

魔王軍の本隊はまだ遠くにいる。

しかも、王国軍の反応が気になる……」

その夜、王国軍の監視部隊からカイル中尉が再び単身でやってきた。

カイルは蓮の前に立ち、複雑な表情で言った。

「黒の将軍を倒したという報告は本当だったようだ。

第三王子殿下は驚いている。

お前たちの戦力を、公式に認める気になったらしい。

当面の間、監視は緩め、共同で魔王軍対策を検討する……という提案だ」

蓮は静かに答えた。

「受け入れる。

ただし、条件は変わらない。

俺たちは独立した義勇軍として行動する。

王国が辺境の民を正しく守るなら、協力は惜しまない」

カイルは小さく頷いた。

「わかった。

殿下に伝える。

……お前は本当に厄介な男だ、神崎蓮」

カイルが去った後、エリシアが蓮の肩に手を置いた。

「よくやった。

王国軍との関係を悪化させずに、魔王軍に大きな打撃を与えた。

あなたの戦略は本当に見事だ」

ルークが疲れた顔で笑った。

「蓮さん……僕、今日も戦えたよ。

みんなと一緒に、強くなってる……」

蓮は皆の顔を見て、静かに微笑んだ。

「ありがとう。

お前たちのおかげで、ここまで来られた。

しかし、まだ道は長い。

王国との微妙な均衡を保ちつつ、魔王軍の本格侵攻に備える。

領地をさらに広げ、軍団を強くする。

正義の軍略家として、俺は絶対に諦めない」

その夜、蓮は要塞の屋上で星空を見上げ、静かに誓った。

「二つの脅威の間でバランスを取り、力を蓄える。

仲間たちとともに、この世界に真の秩序を築くまで——」

遠くの森では、新たな黒い霧がゆっくりと生まれ始めていた。

王都では、第三王子が『秩序の盾』の戦果を聞き、静かに考えを巡らせていた。

神崎蓮率いる正義の軍団は、

黒の将軍の報復を乗り越え、

さらなる大きな戦いへの準備を、着実に進めていた。

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