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正義の軍略家 ~自衛隊エリート、異世界で義勇軍を率いて腐敗を討つ~  作者: ローナ


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ルークの決意と、最初の村解放作戦

盾の牙要塞の朝は、訓練の声で満ちていた。

総勢280名を超えた『秩序の盾』は、要塞の広場を主な訓練場として活気づいていた。

前衛部隊の棍棒と盾の音、斥候隊の素早い動き、後方支援部の物資整理の声——すべてが軍団としてまとまり始めていた。

神崎蓮は屋上からその様子を眺めながら、静かに微笑んだ。

「順調だな……」

そこへ、ルークが息を切らして駆け上がってきた。

狼族の少年の耳がピクピク動き、尻尾が少し下がっている。

「蓮さん……ちょっと、話があるんだけど」

蓮は少年の表情を見て、すぐに察した。

「ルーク、どうした?」

ルークは少し迷った後、意を決して口を開いた。

「僕……もっと役に立ちたい。

今までは斥候として石を投げたり、走り回ったりしてたけど……

もっと前で戦いたい。

エリシアさんやガルムさんみたいに、みんなを守れる戦士になりたいんだ」

その言葉に、蓮は静かに頷いた。

「ルーク、お前はすでに十分に役立っている。

お前の敏捷性と勇敢さが、何度も作戦を成功させてきた。

だが……もっと前線で戦いたいという気持ちは尊重する。

今日から、お前の訓練メニューを変えよう。

前衛の基礎を、エリシアと一緒に叩き込む」

ルークの目が輝いた。

「本当!? ありがとう、蓮さん!」

その日の午後から、ルークの特訓が始まった。

エリシアが直接指導に当たり、狼族の力と敏捷性を活かした戦い方を教えた。

蓮も時折加わり、自衛隊の格闘技術を簡略化して伝授した。

「力任せに振るんじゃない。

自分の体重を乗せて、相手の隙を突け。

お前は小柄だが、速さとタイミングが武器だ」

ルークは汗だくになりながらも、必死に棍棒を振るった。

少年の瞳には、強い決意が宿っていた。

訓練の合間に、シオンが蓮に報告に来た。

「蓮、周辺の村から新しい情報が入りました。

要塞の南西にある『リル村』が、黒鉄商会の残党に襲われ、村人の何名かが捕らわれたそうです。

今も残党が村を占拠して、略奪を続けているらしい」

蓮の目が鋭くなった。

「すぐに動く。

これは良い機会だ。

ルークの初陣を兼ねて、リル村解放作戦を立てる」

即座に作戦会議が開かれた。

参加者は蓮、エリシア、シオン、ガルム、そして今回特別に前衛に参加するルーク。

「作戦はシンプルだ。

第一隊:エリシアとガルム率いる前衛30名が正面から圧力をかける。

第二隊:シオン率いる斥候15名が村の裏手から侵入し、捕虜の位置を確認。

第三隊:俺とルークの小隊10名が、隙を突いて残党のリーダーを狙う。

目的は村の解放と、捕虜の救出。

残党の数は約40名。油断するな」

ルークが緊張した面持ちで頷いた。

「僕……頑張るよ。 みんなを守る!」

作戦決行は翌朝。

リル村に到着すると、村は荒れ果てていた。

黒鉄商会の残党が家屋を占拠し、村人を脅して食料を奪っていた。

エリシアの第一隊が正面から堂々と現れ、敵の注意を引いた。

「黒鉄商会の残党ども! 『秩序の盾』が来た!

村を返せ!」

残党たちが慌てて武器を構える。

その隙に、シオンの斥候隊が裏手から静かに入り、捕虜の場所を特定した。

蓮とルークの小隊は、村の東側から回り込み、リーダーのテントを目指した。

テントの前で、残党のリーダー格の男が剣を抜いて待ち構えていた。

「貴様らが例の義勇軍か……!」

ルークが初めて前線で棍棒を構えた。

手が少し震えていたが、目には強い光があった。

「蓮さん……僕、行く!」

蓮は静かに頷いた。

「行け、ルーク。

お前の速さを信じろ」

ルークが地面を蹴った。

狼族の敏捷性が炸裂し、残党の間を素早く駆け抜ける。

棍棒の一撃が、敵の一人を正確に打ち倒した。

「やった……!」

興奮するルークを、蓮がフォローしながら進む。

エリシアの前衛も激しくぶつかり、村内は戦場と化した。

ルークは次第に調子を上げ、速さとタイミングを活かした攻撃で敵を次々と倒していった。

少年の成長が、戦場で目に見えて現れていた。

最終的に、リーダー格の男は蓮が直接制圧した。

「降伏しろ。

これ以上、無駄な抵抗はするな」

残党は次々と武器を捨て、捕虜となっていた村人たちが解放された。

村人たちは涙を流しながら『秩序の盾』に感謝した。

「ありがとう……本当にありがとう……」

リル村の村長が蓮の手を握り、震える声で言った。

「これから、どうかこの村も守ってくれませんか?

私たちは、あなた方の旗の下で生きていきたい」

蓮は静かに頷いた。

「受け入れよう。

リル村を『秩序の盾』の保護下に置く。

今後、定期的に巡回し、訓練と物資の支援を行う」

作戦終了後、要塞へ帰還した一行は勝利の報告をした。

ルークは疲れ果てながらも、誇らしげな顔で蓮の前に立った。

「蓮さん……僕、戦えたよ。

みんなを守るために、ちゃんと戦えた……」

蓮は少年の頭を優しく撫でた。

「ああ、よくやった、ルーク。

お前は立派に成長した。

これからも、お前の力が必要だ」

エリシアが微笑みながら言った。

「ルークはもう、立派な前衛の一員だ。

今後も一緒に鍛えよう」

その夜、盾の牙要塞では小さな祝宴が開かれた。

リル村から加わった新しい村人たちも混ざり、要塞はさらに活気づいていた。

蓮は司令室で一人、静かに考えていた。

【スキル『小隊指揮強化』 レベル1を取得しました】

【現在のレベル:35】

ルークの成長は、軍団全体の士気を上げていた。

しかし、蓮は新たな課題も感じていた。

「魔王軍の影はまだ遠いが、確実に近づいている。

黒鉄商会の残党も完全に掃討しきれていない。

これからは領地経営と軍事のバランスをさらに重視する必要がある」

遠くの森では、黒い霧を纏った魔物が、再び蠢き始めていた。

神崎蓮は拳を握り、静かに決意を新たにした。

「ルークが成長したように、軍団全体も成長する。

正義の旗を掲げ、この世界に秩序を築くために——

俺はさらに前へ進む」

『秩序の盾』の物語は、

一人の少年の決意とともに、

新たな段階へと踏み出そうとしていた。

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