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最高の人材を求めて  作者: 葉月 優奈
四話:最高の人材を求めて
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――2024年12月24日・箕面第四公園――

私……エウノミアは400年以上未来からやってきた。


藍色のロングカールに、カーキ色のセーラー服。

私の着ている未来の衣服が、この時代に合わせた衣装に自動で変っていた。

私の見た目であれば、この姿がこの時代では違和感ないようだ。


ここは、灰色の公園。

私が発動させた、透明な壁に覆われ世界。


そんな私の目の前には、黒いスーツの男が立っていた。

黒サングラスで、顔の表情は分からない。


「メタトロン、どうして止めた?」

「エウノミア様、彼はサンプルとして充分なデータをとれました。

彼をこのまま無色空間(ガイア)に封じておく理由はありません」

「彼は、失敗だ。最高の人材とほど遠い」

私は、メタトロンと呼ばれた黒スーツ男に声をかけた。

メタトロンは人間のように見えるが、人間では無い。


人間のように精密に作られたAIロボだ。

知能もあり、感情もある。

未来の技術を結集させたAIロボ、それがメタトロン。


だけど、彼は私の持つ電子端末を使えない。

私が持っている、この時代だと『スマホ』というモノに似せた道具(ツール)だ。

過去の歴史から、自動で姿を違和感なく変化させる。これも未来の技術だ。


「それで、月は滅んだのですか?」

「最先端の時代では、崩壊は月まで覆った。

人類は未来では、滅んだことになる。

ローラシアの計画は、いよいよ最終段階に入った」

「滅びる最後の時代まで、エウノミア様は残ったのですね。お疲れ様です」

ねぎらうメタトロンに、私は端末……スマホを見ていた。


「だが、解せないことがある」

「なにがですか?」

「なぜ、ローラシアには400年前の人類を選ぶ必要があるのだ?」

「今の未来だと、新時代の人間は不適格……だった。

研究では世界の理を知り始め、かつ人格形成がまだ壊れていない。

つまりは、400年前の人間が適していると所長達の研究で、明らかになりましたぞ」

「所長の研究は、過去の英知の積み重ね。

膨大な情報と歴史、そこから導き出された結果」

「分かった分かった、それで……」

「お久しぶりです、エウノミアちゃん」

そんな中、灰色の公園に一人の人間が突如ワープしてきた。


紺のセーラー服に、長い黒髪。前髪がそろった女性は、おっとりとしていた。

大きな背丈の女性は、私を見るなり抱きついてきた。

大きな女性の腕に、私はそのまま抱きつかれた。

私の背よりも一回りも大きく、大きな胸が当たって苦しい。


「苦しいです、エイレネーさん」

「ああ、そうでしたね。そうでしたね」

おっとりした顔の彼女は、エイレネー。


私と同じ未来人で、最高の人材を求めにこの時代にやって来た。

私よりも少し前に、この時代に来て……私の居場所は端末で分かってきた。


「エイレネーさんが来たって事で、そろそろ始めましょうか」

私は端末を使い、無色空間にさらに大きな壁を張っていた。

エイレネーもまた、端末を使って無色空間を強化していく。


「それじゃあ、始めましょう。最高の人材の選定を」

エイレネーは、穏やかな顔から冷めた顔に変っていた。



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