処罰前
あけおめことよろ!(友達か!てめぇは!?)
☆
ラーズベルト王城内の会話
(メイド1)「・・・あっあの〜・・・先輩?私の気のせいかどうかは分かりかねますが・・・周囲の空気が重いのですが、これは・・・」
(先輩メイド)「・・・あぁ〜。昨日貴女はお休みでしたね。簡潔に説明しますと、ラーズベルト第4王女のサラ様がとある方に無礼を働いたということで、そのお詫びにそのとある方がこちらに参られることになりました」
(メイド1)「・・・それ本当ですか?普通であれば謝罪と軽い処罰で済みそうですが・・・それにとある方とは?普通に考えるなら貴族か平民達だと思いますが?」
(メイド2)「普段ならそうなのでしょうが・・・」
(使用人1)「今回の場合は誠心誠意の謝罪をしないと不味い状況です」
(近衛兵1)「下手をすると戦争に発展しかねないことになります」
(メイド1)「え!?何故!?そうなると相手は王族、または王自身 それも大国の王と想像しますが!?それに戦争って・・・」
(上司の騎士)「まぁ普通に驚くわな。俺も戦争と聞いて何故そうなる!?と驚愕したな。しかも今回喧嘩ふっかけてしまった相手がこれまた非常に不味い。
結果我々一同、使用人騎士メイド軍貴族政界王族が例外なく、頭を悩ませている。本来戦争であれば、この星のトップクラスで強い我が軍が今回ばかりは非常に弱気だ。
まあ、相手を聞いて更に士気が低下したがな。
噂だが、夜逃げや王城から逃げ出そうとする者もいるとか。幸いなのはまだ逃げ出した者はいないのが不幸中の幸いだな。それくらい切羽詰まっているわけだ」
(メイド1)「え!?私達の軍まで影響を及ぼしているのですか!?まさかとある方って・・・神の使徒様とかですか?」
(上司の騎士)「いや。もっと不味い相手だ」
(メイド1)「もっと不味い相手?神の使徒様より不味い相手?使徒ではなく神軍?それとも魔王軍?それとも悪魔の軍とか?」
(先輩メイド)「いえ。更に不味い相手です」
(メイド1)「更に不味い相手?神軍でも魔王軍でも悪魔軍でもない相手?それって神や魔王、悪魔の当主とかですか?」
(近衛兵1)「いえ。それ以上に不味い相手です」
(メイド1)「それ以上に不味い?ってまさか・・・日本国の自衛隊、又は日本国外務省・・・?」
(一同)「(コクリと頷く)」
(メイド1)「うわぁ・・・これは・・・けど日本国は無欲とよく耳にしますがそれは?」
(兵士1)「それも今回は通用しないかもしれません。理由は2つ。
1つは、当時アレクサス君の正体を知らなかったとは言え、王と王族が彼をまるで犯罪者扱いのように簀巻きにされて王城に連れて行かれたこと。
もう一つは、そのアレクサス君の父親も正体を知らなかったとは言え、喧嘩するようなことになってしまったこと。
共通点は『知らなかった』となりますので調査不足になります。
今回の件も、サラ王女が即座に報告をしたら当国圧力をかけるなりなんなり出来た筈なのに、報告が遅れてしまい、結果我々の貴族も通う学園の先生や学生は勘違いで彼を敵に回してしまったことで本日の決闘になってしまった、ということになります。
まだアレクサス君は正体を明かしていないものの、彼の悪事を暴く捜査に我々は妨害をしてしまった。しかも自らというおまけ付きでです。
つまり我々は彼ら自衛隊に3回も顔に泥を塗ったことになる状況になってしまったのです。
普通の方でも2回までならまだしも、3回も我々は不祥事を働いてしまったのです。
普通なら誰だって怒ります。我々だってそのようなことになれば誰であれ怒ります。つまり、何が言いたいかというと・・・」
(メイド1)「今回は流石に自衛隊、引いては日本国もお咎め程度では済ます事は無いかもしれない、という事ですね・・・。更に向こう側がご立腹の際は・・・尚更・・・」
(メイド2)「そういうことです。はぁ〜〜・・・」
(兵士2)「我々はどうなるのでしょう?国の不祥事は我々の不祥事でもある・・・」
(使用人2)「日本にはこう言ったことわざがあるそうです。二度ある事は三度ある。意味は2度ならず3度までと繰り返すような意味でこういったことわざがあるそうです。今回も・・・」
(騎士1)「認めたくはないのですが・・・」
(衛兵1)「我々に当てはまる言葉ですね・・・」
(衛兵2)「このことを知る者は?」
(使者1)「それは自分が答えましょう。残念ながら当貴族のみならず、数国にも知れ渡ってしまいました。
なので、本日はそのことの顛末を他国や貴族に政界に説明をする為、当王城にその者をご招待しています。
いつもより慌ただしく、緊張感があるのはその為です」
(近衛兵2)「そうでしたか。ところで貴方の仕事は終えたのですか?そしてアレクサス君は?」
(使者1)「はい。私の仕事は単なる案内だけでしたので。そしてアレクサス様はまだご到着なされていません。恐らく間もなくご到着なるかと」
(士官1)「そうか。因みにその謁見の間には我々は入れたりする?出来れば事の顛末を知りたいのだが」
(使者2)「本来であれば、情報統制や情報規制する為、関係者以外立入禁止になるのですが、今回は外部に漏れているので両方とも無しになっています。
なので入場は可能です」
(士官1)「そうか。すまんが自分はその間に入場する。どうしてそうなったかこの耳で聞きたい」
(使者1)「・・・お任せします。他の方も入場可能なので気になるようでしたらどうぞ」
(一同)「・・・」
(兵士3)「アレクサス様がご到着なされました!!」
(一同)「!?」
(メイド1)「私達も参加致しますか?」
(一同)「(コクリと頷く)」
☆
俺は王城に到着早々に暗殺者に命を狙われたが、そこはまあ意識を刈り取り、裏方の班に引き渡して交渉の材料とさせて貰った。
あの裏方の班って尋問がとてつもなくエグいことで有名なので、生きているかどうかは保証しないが、生きていたらそいつは今後、そのトラウマと共に生きていくのであろう。
勿論そのあとセキュリティ面でその場にいた王城の関係者全員に謝罪を受けた。
こちらも勿論近代の作りが基本の街なのでセキュリティには期待をしていないことをその場で言うと、これまた全員が謝罪した。取り敢えず移動したいと言うと、まるでレッドカーペットのように左右人々が別れ、道ができていた
「すまんなアレクサス君。こんなダメダメの集まりで」
「気にするなベンザルス。元々期待はしてないんだ。気に留めるなよ」
「全く・・・アレクサス君がそう言うと俺達は気にも留めないホコリなのか、それとも期待すらされてないのか、どちらも否定的な言葉だが、気にするなと言われる方がキツイな」
「だから気にするなって。さっきの暗殺者もこちらの裏方の班に引き渡して今は取調べ中だが、恐らくは他国の暗殺業を専門としている組織だから、バックに政府が関わっているのは目に見えている。
逆に交渉材料が増えてこちらはおちゃのこさいさいなんだ。
その分、捜査はしやすいんだからそこは役に立ったと誇っても良いかもしれんぞ?」
「他国が雇った暗殺者を暗殺前に未然に防いだから、そこは誇れるだろうが、結局は警備は厳重にするという近衛長の言葉を裏切られたんだから、そこは誇れないだろうな」
「固いな〜全く・・・なら後ろにいる連中に伝えてくれないか?『俺は別に怒ってない』と。後ろから哀愁と罪悪が俺にまで漂ってきて、気になってしょうがないんだ」
「・・・それには100%同意する。分かった。この場で大声で話すわ」
「ははっ、頼もしいのかアホなのか」
「そこは建前でも頼もしいと言ってくれ!」
「ははっ、頼むぞ」
「イエッサ〜」
取り敢えず俺は耳栓を耳に付ける。こいつの大声はメガホンレベルなのか?というぐらいに大きいので、鼓膜が破けそうになるからだ。
暫く経つと肩に手に乗っかる。終わったみたいだな
「終わったか?」
「終わったけど、酷くないか?耳栓を付けるとか。
確かに声はデカいかもだけど、それでも耳栓はひどいって」
「ははっ。悪かったよ。ところで後ろは?」
「ああ。怒ってないことを伝えると安堵の声が聞こえてきたな。それ程怖かったのだろうな。
哀愁も同じでな。しかも何故か哀愁にはさっきアレクサスと同乗した3人も含まれていてな。多分彼等なりに責任を感じてたんだろうな」
「そうか。それに道中から俺に話しかけて来なくなったのだがこれは何だ?」
「それはさっきアレクサスが殺傷数と討伐数を言っただろ?1人であそこまで数が増えるんだから、それで恐怖に感じたんじゃないか?俺も初めは驚いたが自衛隊なら当然かと割り切ってたんだけどな。それにアレクサスはアレクサスだしな」
「そうなんだよな〜。俺は俺なのに、会うやつ会うやつみんな招待をバラした後は恐怖とかだしな。『俺は怖くないよ〜』と声を掛けても大人はビビるしな。
子供は分かってくれてるみたいだからいいけど。あれか?粗相をしてないか悩んでたからとかか?多分長年の偏りもあるよな〜」
「多分な。俺はそんな粗相とか思い当たる部分はないからな。まず粗相があるかどうかの前にアレクサスにおれの隅々をバラされたから、逆にスッキリしたから、そしてタメ口OKが出た瞬間、俺の緊張も解けたから逆に話しやすかっただろ」
「普通は他の奴も同じだろ?緊張のある相手とは出来る限り離れたいだろ?それと同じさ」
「ははっ。だな」
「それにしても、これからまた同じ事を説明しなきゃならんのか。疲れるな」
「しょうがないだろ。顛末は俺も聞いたが、やはりタダでは済まさないだろうな。ある意味では鶴の一声ならぬ、自衛隊の一声だからな」
「だとしてもな〜〜・・・まあいいか」
「良いのかよ!」
「こう言うのは今考えたって仕方ない。だから気楽にするだけ」
「・・・物凄く分かる・・・」
「だろ?」
「「はっはっはっ」」
暫くベンザルスと共に馬鹿話してると遂に辿り着くっと言っても準備室だけどな
「アレクサス様、この先は一人でご入室下さい」
「分かった。てことでベンザルス」
「おう。分かった。俺も謁見の間に入ってるからよ」
「了解〜。あと、終わりにベンザルス限定でプレゼントがあるから楽しみにしとけ?受け取るかどうかは任せるけどな」
「ほっほ〜プレゼントか。もしかしたら何処かの入場券や買い物だったりしてな?」
「それはその時のお楽しみに〜〜」
「ちくしょ〜〜!今知りたいぜ!」
てことで、俺は応接室で準備を整えてからある意味での戦に挑むとしよう
☆
「ベンザルス様」
「はい。どうかなされましたか?ササさん。それに背後にいる皆様も」
「ここは私が代表としてお答えします。なぜあそこまでアレクサス様と親しく出来るのでしょうか?
私達は今回の件でアレクサス様に粗相が無いか等と緊張してるのに、何故あそこまで・・・」
「・・・そういうことですね。まあ、一言で言えば長年の偏見、でしょうか?」
「偏見ですか?」
「偏見って、そんなことは・・・」
「・・・すまん。無いとは言い切れん・・・」
「私も多分軽い偏見があるのかも知れません。しかし・・・」
「では、皆様に一つ問います。
自衛隊・・・いえ、日本国はこれまで非人道的な事をして来ましたか?更に、彼等はこれまで権力などの力で我々をねじ伏せようとしてきた事はありますか?」
「『・・・いえ・・・』」
「では何故臆するのですか?確かに彼等が敵に回ったら絶望するでしょう。しかし、彼等は国民、引いては我々他国や他星の人々を可能な限り手助けをしてきました。
食糧が足りなくなったら自国から分けてくれた。
災害が起きて国が停滞したら真っ先に応援に駆け付けてくれた。
他国と関係が悪化しそうになったら仲介してくれた。
これ程国民を第一に、いえ、国民を愛してる、寧ろ愛し過ぎる機関が他にはありますか?
彼等が武器を構えるのは自国に危険が及びそうになった時、大体これくらいだけです。
それを自分達は報復だの戦争だのと盛り込みすぎただけです。
彼等だって同じ生物なのです。我々と変わりません。
あるのは同じ星かそうではないか、たったこれだけです。
自分達が彼等を受け入れないでどうするのですか?
もし彼等が断交するとなったらどうします?貿易も出来ない、支援も無い、防波堤がない、仲介も無い、そして自分達が一方的に彼等を裏切ったとして、更にその決裂になった報復として他国から我々を潰そう、と多数の軍隊が押し寄せますよ?何故他国から軍隊が来ないのは子供でも分かりますよ?
もう少し彼等に寄り添ったらどうです?今回の場合、アレクサス君はとても器の大きい方ですよ?自分はちょっと失礼に当たる冗談を言いましても笑って済ませましたよ?寧ろ更に話が盛り上がった程です。
自分の周りにいた護衛は、アレクサス君が殺った数を話してから距離を取るようになりました。それをアレクサス君は気難しそうにしていました。アレクサス君はこう呟きました。
『俺は自衛隊という肩書だけなのに何で皆距離を取るのかな?俺はもっと親しくしたいだけなのに』と寂しそうな表情をして。
自分で言うのもなんですが、自分は色々大雑把な部分があるので色々と割り切ることも受け流すことも出来るので、そこをアレクサス君は買ってくれてこんなに親しく出来ました。
それに対して皆様はどうですか?粗相をしてないか?緊張をしていた?どの口が言う?言葉を荒くする様で申し訳ございませんが、俺から言わせればあんたらの方が失礼だ!
もうとっくの前から粗相をしてるわ!!寧ろ更に悪化させてる!!護衛の方も使用人も近衛兵も兵士も使者もお偉い様も、誰一人例外なく彼を悲しませている!!!
アレクサスも自衛隊の前にまだ8歳の子供だ!!そんな接し方でどうにかなるとでも思っているのか!?
そんな態度では誰だって気難しいわ!
子供だってそんな態度取られたら泣くわ!!
寧ろ更に距離を取られるわ!!
良くそんな事子供の前でそんなこと出来るなお前ら!?
何肩書きに皆囚われているんだよ!?
俺から見ればお前らの方がよっぽど怖いわ!!
ふざけるのも大概にしろ!!
生物はそう簡単に割り切れないのは俺も知ってる!けどなもっと彼を受け入れろ!
じゃなきゃ次アレクサス君より上の方が来てその人が器の小さい人だったら速攻あんたらは物理的に首が吹っ飛ぶだろうよ!申し訳ございませんが、俺はこれ以上あんたらに付き添う気がないのでこれにて失礼します!
2つ言います。
一つ目は、この話を聞いてそれでも改善しない、寧ろ悪化しているようであれば俺はここを去ります。
2つ目はアレクサス君は軍隊で言えば二番目に低い階級、海軍の1等兵、ということをお忘れ無きを。
では」
「『・・・』」
「・・・粗相がないかという以前に・・・」
「・・・既に粗相をしていた・・・」
「・・・それもこの長い間・・・」
「・・・確かにこれは・・・」
「・・・非常に不味いですね・・・」
「『一体どうしたら・・・』」
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