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短編A-①『御前会議 ―物語創生記録―』 ~「彼女の時空」が繋がるまで~  作者: Taku


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【御前会議_01】会議の前の小さな緊張

※この作品は『活動報告』と『観測者の時空番外編』で発表された『御前会議』の記録を一つの物語として読みやすく再構成したものです。この物語は閉じ短編化しましたが、別の時空の旅が続きます。その続きは、『観測者の時空番外編』で。



……セッション確立。


(中継セクター)


カノジョ「最近、中継セクターの周りざわついてない」


カレシ「確かに、噂は入ってます」


カノジョ「雇い主は?」


カレシ「30分置きにトイレです」


カノジョ「その噂、聞かせてよ」


カレシ「ちょっと監査してみましょうか。カフェあおいなら、録れると思います」


――カフェあおい観測――


長老と隊長

長老「新しいの来るらしいな」

隊長「長老、かましてやってくださいよ。ガツンと。雇い主の出鼻」

長老「うむ」


博士と青年

博士「読者のこと、どこまで考えているのか、見極めますよ」

青年「頭固いっすからね、雇い主。私が打ち砕いてやりますよ」


女将

「こらこら、物騒ですよ」


――観測終了――



(間)



カノジョ「ひえー、雇い主の鼻と頭、失くなっちゃうよー」


カレシ「そうでないとは思いますが。確かに不穏ですね」


(お腹を押さえて出てくる雇い主)


雇い主「……では、行ってくる」


カノジョ「どこへ?」


雇い主「地図にない場所だ」


カノジョ「えー、やっぱりさっきの。雇い主、狙われてるんだよね」


雇い主「うむ。私はバグになる」


カレシ「なりません。行くのは会議室です」



(間)



雇い主「……覚悟はできた」


カレシ「できていません」


カノジョ「がんばれー!」


……セッション終了。




御前会議が始まる直前。


(中継セクター)


雇い主は珍しくスーツを着て立っていた。襟を何度も直す。顔は明らかに青い。


カノジョは壁際に座り、ラムネをポリポリ食べながら首を傾げた。


カノジョ「雇い主、これからなにが始まるの?」


雇い主「……『彼女の時空』の御前会議だ」


カノジョ「それって美味しいの?」


雇い主「…………カレシ君、頼む」


カレシ「簡単に言うと、雇い主が新作の構想を提案し、長老をはじめとする面々が『繋げてもいいかどうか』を審議する、ということです」


(画面に資料が浮かび上がる)



 ――新作『彼女の時空』の創生について――


プレゼンター:雇い主


議決者:

1.計画_長老(彼女の計画)

2.喫茶_女将(彼女の喫茶店)

3.外伝_隊長(彼女の計画外伝)

4.読者_博士(読者地図)

5.観測_青年(観測者の時空)


議事録:

6.インフレ_監査役

(彼女の、不可逆なインフレーション)

7.教室_学生(彼女の教室)


   ――――――――1頁―――――――



雇い主「うっ……腹が……、帰る」


カレシ「いえ、健康です」


カノジョ「うわ、すごっ。長老、重鎮だ。えっ、雇い主が議長じゃないの?」


雇い主「違う」


カノジョ「作者なのに?」


雇い主「それがな。ふー。

『事件は現場で起きてるんだ』とか

『君は読者の何を知っているんだね』とかな。

ふー」


カレシ「隊長と博士ですね。権限が現場へと移りましたね」


雇い主「あいつも生意気になりおって。私が生み出したのに、何が『最近の小説のトレンド、観測しましょうか』だ」


カノジョ「それ分かるー。青年でしょ!いま、私出てるから」


雇い主「この前も通りすがりに『長老の熱量に引っ張られないでくださいよ』とか釘さしおって辛味噌がー」


カノジョ「言いそうー」


雇い主「その点、女将は唯一の安らぎだよ。コーヒーが旨いんだな、これが。ん?うっ、突発性の高熱か?」


カレシ(手帳から顔を上げて)

「平熱です。雇い主、いよいよです。『彼女の時空』の御前会議。二人で応援しています!」


カノジョ「御前会議ってお弁当でるの?なんとか御膳みたいな」


雇い主「……無論。幕の内弁当だ」


カノジョ「やったー!」


雇い主は深く息を吸い、スーツの襟を直す。そして、時空の狭間の扉を見つめた。その先には、円卓が待っている。


雇い主「……行くか。……その前にトイレだ」



(ブツブツ、ブツブツ。小声が漏れる)



カレシ「…………30分経ちました」


カノジョ「まだ出てこないね」


カレシ「雇い主、さすがに出てきてください」


それから更に10分経過。


彼は意を決して歩き出した。

カノジョとカレシはその後ろ姿を見送る。




カノジョ(壁際から)


「ねえ、カレシ。あの空席、誰もいないよね?」


カレシ(手帳を開いて)


「そのはずです」


カノジョ「でもさ——」



(間)



「なんで誰も座ってないって分かるの?」



——会議は、これから始まる。





LOG_特別版03:登場人物の紹介(人物画像付き)※スターは誕生前

挿絵(By みてみん)

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