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正法眼蔵  作者: Eliphas1810
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正法眼蔵 生死

生死のなかに仏あれば、生死なし。

また、いわく、生死のなかに仏なければ、生死にまどわず。

こころは、夾山、定山といわれし、ふたりの禅師のことばなり。

得道の人のことばなれば、さだめて、むなしく、もうけじ。

生死をはなれん、とおもわん人、まさに、このむねをあきらむべし。

もし人、生死のほかに、ほとけをもとむれば、ながえをきたにして越にむかい、おもてをみなみにして北斗をみんとするがごとし。

いよいよ生死の因をあつめて、さらに、解脱のみちをうしなえり。

ただ生死、すなわち、涅槃、とこころえて、生死として、いとうべきもなく、涅槃として、ねがうべきもなし。

このとき、はじめて生死をはなるる分あり。

生より死にうつる、とこころうるは、これ、あやまりなり。

生は、ひとときのくらいにて、すでに、さきあり、のちあり。

かるがゆえに、仏法のなかには、生、すなわち、不生、という。

滅も、ひとときのくらいにて、また、さきあり、のちあり。

これによりて、滅、すなわち、不滅、という。

生というときには、生よりほかに、もの、なく、

滅というときは、滅のほかに、もの、なし。

かるがゆえに、

生、きたらば、ただ、これ、生、

滅、きたらば、これ、滅にむかいて、つかうべし。

いとうことなかれ。

ねがうことなかれ。

この生死は、すなわち、仏の御いのちなり。

これをいとい、すてんとすれば、すなわち、仏の御いのちをうしなわんとするなり。

これに、とどまりて、生死に著すれば、これも、仏の御いのちをうしなうなり。

仏のありさまをとどむるなり。

いとうことなく、したうことなき、このとき、はじめて仏のこころに、いる。

ただし、心をもって、はかることなかれ。

ことばをもって、いうことなかれ。

ただ、わが身をも、心をも、はなち、わすれて、仏のいえに、なげいれて、仏のかたより、おこなわれて、これに、したがいもってゆくとき、ちからをも、いれず、こころをも、ついやさずして、生死をはなれ、仏となる。

だれの人か、こころに、とどこおるべき?

仏となるに、いと、やすき、みちあり。

もろもろの悪をつくらず、生死に著するこころなく、一切衆生のために、あわれみぶかくして、かみをうやまい、しもをあわれみ、よろずをいとうこころなく、ねがうこころなくて、心におもうことなく、うれうることなき、これを仏となづく。

また、ほかに、たずぬることなかれ。


正法眼蔵 生死

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