006:データ解析(警察署)
警察署の話を今回挟みます。
ネクロ補佐官視点です。
*西暦2万2070年 水星 β世界線 警察署/解析室 ネクロ補佐官 視点
カサキ殿の指令で“BTの誤作動のチェック解析”を私は任された。部屋の先頭には、大きいモニターが5つ並んでいる。そして、電波解析の専属の“鴨井 ミナ”、一人に解析をさせている状況だ。私は鴨井に指示を告げる。
「今日、西暦2万2070年8月6日のAM10:13、総合病院にいた患者の一部の人間が“BTの誤作動”をしたようだが……これは、“本当に誤作動なのか”を君には調べて欲しい。」
「……BTの誤作動が“自然発生したもの”か、ということですね?ネクロ補佐官。」
「ああ、その通りだ。頼む。鴨井。」
鴨井はテーブルに置かれた“監視カメラのチップ”を手元の再生機レコーダーにセットする。すると、1つの画面に、病院の待合室の患者たちが並んで座っている様子が映る。そして、反対側のモニターは、音声解析の画面でキャンパスノートの枠線のような細い線が引いてあり、現場で鳴った音が“株式の高低の表示線”のように、山と谷で表現される。鴨井は2つの表示画面の時刻を合わせて、AM10:12から同時再生した。すると、病院の監視カメラの映像で、患者たちがぐったりしている様子が表示される。その時刻と同じ時刻で、音声画面で、ちりじりに低音が混じっている。例えるなら、耳で聞こえ辛い“砂嵐の音”が病院内で流れていたことになる。これを見て、私は鴨井に尋ねた。
「……この砂嵐の音は“周波数”か?振動数でBT合金が無効化された?チャフグレネードみたいに?」
「…いいえ、チャフグレネードのように無効化してしまうと“被験者の素の状態に戻る”ので、意識が無くなるというのはあり得ないです。……この砂嵐の音は、実際に鳴っていた音ではなく、“音声測定器“自身の振動ではないですかね。つまり、記録器が操られているために、記録が乱れている。ハッキングにはよくあることです。」
「“ハッキング”……?そうなると、病院の患者たちは“強制的に意識を飛ばされていた”?」
「ええ、その可能性が高いです。そして、BT合金を強制的にハッキングするには“光ファイバー回線”か“Wi-Fi”に潜る必要があります。……特定は不可能かと。」
「……インターネット回線は、用途の複合体。1つ1つをバラして解析とはいかないか……」
鴨井は2つの画面をAM10:14で停止にした。私が悔し紛れに、2つの画面をまじまじと観察していると、病院内の様子の画面にあるモノを発見した。画面の右上の角に“異変”を発見した瞬間だった。
「……鴨井。病院の画面の一部を拡大表示にするのは出来るか?画面の右上の角を……受付前の人間たちを表示させてほしい。」
「受付前?……分かりました、拡大表示します。」
画面を拡大表示に、次に画像が粗いのをクリア処理をして、見やすく加工する作業をする鴨井。その彼女の横で、私はある人物を発見した。
「………こ、この服装見たことあるぞ。誰だ、誰なんだ……。」
私が脳の記憶を絞りに絞り切り、脳内に映像が浮かび上がる……確か、子供と女と2人の男で話し込んでいるのが習慣であったが……近年は全然見なくなった…はずだ。
「……ネクロ補佐官、心当たりあるのですか?」
「……そうだ…思い出したぞ……これは、“橘の私服”だ。じゃあ、この後ろにいるのは、“誰”だ?それに、この2人だけ、平然と“立っている状態”だ。」
「……橘のBT制御システムの記録特定をしますか?ネクロ補佐官。」
「……ああ、念のため、神経チップからの探知にし、隠密に解析してみてくれ。そうだな、時刻は10:14から……今の時刻11:45までの記録を調べてくれ。なんとなく、勘だが、この“後ろの黒パーカーの姿勢”が気になる。右手が見えないようになっているが……私たちは最悪を想定して動こう。」
私は鴨井に“慎重に行動するように”促す。そのため、鴨井は作業に取り掛かる前に、深呼吸を6回ほどした。そして、鴨井は息を整え終え、3つ目の画面をONにする。この画面は、神経チップの稼働コードの画面だった。現在の時刻11:45には異常がないのを確かめた後、鴨井は時刻をさかのぼって、コード画面を見直していく。すると、10:56の時点で、私と鴨井が知らない“稼働コードの組み合わせ”が見つかった。鴨井は私に解説する。
「……このコードの書き方は……フリーの個人に書かれた可能性が高いです。……そして、この10:56の時点のコードが“チグハグな原因”は……もしかすると、“BT合金”で橘氏を“自動操作した痕跡”なのかもしれません…………もしかすると、病院から出た“橘”氏は……」
私と鴨井の結論はおそらく同じであろう。
「……“橘”は……“拉致られている”……可能性が高い………」
水星の諜報部のBT合金は、一般市民のBT合金と性能が違う。諜報部のBT合金は“コードの書き替え”がとても難しい。………これらを難なくやり遂げる個人がいるとしたら、それはおそらく“金星の組織”の可能性が高い。
「……橘は、もう“金星の駒になってしまった”……?」
鴨井が私の独り言に異議を唱える。
「……まさか、仲間を見捨てるなんてしないですよね………現在の水星では、“BT合金の除去の技術”も存在している………一度、橘氏を奪還した後、除去の施術をして、新しいBT合金を施すか、それともBT合金自体をナシにするか…………」
「いや、もちろんやり方を模索すれば、対処法はいくらでもある…………だが、」
鴨井が私の返事の続きを聞きたそうにしているが、……ここから先は口外するわけにはいけない。私は鴨井に言った。
「…………今後の方針を決めるのに、上層部とやり取りをしてくる。私は、部屋を出るよ。解析、ご苦労だった。鴨井。」
「………はい、ネクロ補佐官。いってらっしゃいませ。」
私は部屋を出ると、ある人物に連絡を取ることを決めた。私は右耳のインカムに手をかざし、胸元のマイクに、割り当ての番号を言う。
「……♯3345……♯3345………緊急事態だ…………諜報員のBT乗っ取りが行われた……また、その諜報員は拉致られている可能性が高い……こちら、ネクロ。応答せよ。」
『♯3345……こちら、DAT防衛隊。……諜報員の名前を教えてください。』
「諜報員の名は“アデム・ペルティエ・橘”……彼には“注意事項”がある。アマネ・フランクリンの接触者で“例の事件の深掘りを橘にさせるのを拉致組織が企む”可能性もある………」
『…………“フランクリン一家の神経チップの回収”を優先に、……アデム・ペルティエ・橘の奪還をせよとの……指示内容で間違いないか?』
「……ああ、その解釈で合っている……健闘を祈る。」
いくら神経チップやBT合金があろうが、“素の本人の思想が恨みや憎悪に染まってしまっては、マリオネットにするか、辞職願を書かせるかの2択しかない”……優秀な諜報員の損失は避けたいのが本音だ。また、橘の場合、辞職させても、あいつには反骨精神と粘り強さがある。下手したら、闇社会で情報を集め、俺達との対立を人生で選ぶかもしれない。橘には、息子の“有”の存在があり、彼にとって縛りになっているが、果たして、どこまで稼働するか未知数だ。
「……なんとしても、あの事件の詳細を漏らしてはいけない………」
私は、カサキ殿の元へ向かった。
次回、墓地の探索の予定。
書ければ、DAT防衛隊との戦闘シーンを書きたいです。もしかすると、書けないかもしれないですが。
頑張ろうと思います。




