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23話

 


 まるでリンゴが坂道を転がっているように見えました。


(一体、何が起きているんだ……?)


 目の前の状況を理解しようとするのが精いっぱいで、ただその光景を凝視していました。


 そして――「ドサッ」という、小さいけれど妙に耳に残る重い音が響きました。


 その瞬間、脳裏に『無能』というスキルの説明文が蘇ります。


『著しく不運になる』


 何が起きたのか、はっきりとは分かりませんでした。圭太の位置からは、バレルが崖から落ちる決定的な瞬間までは見えなかったのです。


 しかし――。


「大司教様ーーーーーーーー!!!!!」


 護衛の兵士が絶叫しながら、バレルがいた崖へと向かって走り出しました。どうやら彼もあの男が転落した光景を目撃したに違いないと圭太は考えました。


「大司教様! あああ……!」


 男は、バレルが転落した地点よりもかなり手前で立ち止まり、声を上げました。


 そしてそのまま回れ右をし、崖とは反対方向にある村へと猛然と走り去っていきました。おそらく、仲間を呼びに戻ったのでしょう。


(見たい)


 あいつが本当に崖から落ちて死んだのかどうか、この目で確かめたい。


 小さくなっていく男の後ろ姿を見ながら、圭太は強くそう思いました。そのためには、今すぐあの崖の縁まで近づかなければなりません。


 危険は十分に理解していました。もしあの兵士が不意に振り返れば、すべてが終わりです。


 しかし、それ以上に強烈な予感がありました。


(もし、バレルが生きていたら……)


 あいつは、きっと俺を疑う。


 指一本触れていない。姿も見られていない。それでもなお、バレルは理屈を超えた執念で自分を疑う――そんな確信に近い予感がありました。


(もし生きていたら、今度こそトドメを刺す)


 圭太は殺意を持って崖へと近づいていきました。





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