15話 ~無能とは~
真っ暗な河原に一人、大声を出している男がいました。
「鑑定!」
『名称:石』
『特徴:石』
「よしよし、これは石だな」
「鑑定!」
『名称:木』
『特徴:木』
「よしよし、これは木だ」
圭太は喜びのあまり、子供のように手当たり次第に周囲のものを鑑定していきました。
「魔法だ、魔法ってすげーな! 魔法があるのって嬉しいなー!」
スキップでもしそうな勢いで暗闇の河原を歩き回り、次は何を鑑定しようかと迷っている時でした。
「ああああ!」
圭太は動きを止めました。
「何で気付かなかったんだよ……」
表情が、すっと緊張を帯びたものに変わります。
「そうだよ、自分自身を鑑定してみよう。石や木でも鑑定できるんだったら、自分にもできるだろう。何が表示されるんだろう……けど、ちょっと怖いな」
司教から鑑定の魔法をかけられた時の事が頭をよぎります。あの『無能』の宣言から、すべてが変わりました。あの時の衝撃は一生忘れないはずです。
「損はないもんな、やるしかないよな……」
知ること――それが今の自分にとって重要だという事は理解していました。
「鑑定!」
勢い任せに声を発しました。
その瞬間、目の前に様々な文字が表示されました。石や木とは情報量が明らかに違います。
『名称:黒部圭太』『身長:172cm』『体重:65kg』『生年月日:2月22日』……。
「おいおい鑑定さん、嘘ついちゃいけないよ。俺の身長はもうちょっと高いだろ……」
圭太の自称では身長は174cmなので、そこだけは不満でしたが、他は知っている内容だったので、すらすらと読んでいきます。
そして――最後に記されていた文字に、圭太の視線は釘付けになりました。
『所持スキル:無能、鑑定』
「え……?」
――所持スキル:無能。
圭太は、自分が勘違いしていたことに気が付きました。無能とは、何のスキルも持っていない人間のことだと思っていたのです。
「無能って名前のスキルだったのかよ……」
最後まで読んでいただきありがとうございました。
「ブックマーク」と「いいね」を頂ければ大層喜びます。
評価を頂ければさらに喜びます。
☆5なら踊ります。




