頼れる背中
「お、ゆか早いな。なにが予想通りなんだ?」
やっぱりそこには私の予想通り奏ちゃんがいた。
しおりを読んで何かを確認していたようだ。
「奏ちゃんなら絶対もういるだろうな〜と思って!」
昔から変わらない幼なじみの様子に胸の中に懐かしさがよぎる。
「なんだかこうやって毎日小学校とか行くために待ち合わせしてたのが懐かしいな。あの頃から奏ちゃんは絶対私より早く来てたよね」
「そういえばあの頃は一緒に登校してたんだったな〜」
本当に懐かしいな。
いつの間にか一緒に登校することはなくなってたけど、小学生の時は奏ちゃんと兄弟みんなで登校してたっけ。
双葉とか奏ちゃんに憧れて後ろを頑張ってついていっててかわいかったなー。
思い出すだけで自然と笑みがこぼれる。
その後も私たちは他愛のない話をした。今日の出来事とか昨日の弟たちのこととか。
いや〜ほんとに昨日の突然の会議は大変だった。
まぁ心配してくれるのは嬉しいのだけど...
「ふっ、ゆかが楽しそうでなによりだ」
私の話を聞いて奏ちゃんが微笑みながら頭に手を置く。
(ん〜やっぱり奏ちゃんといると落ち着く)
「あ...」
「ん?どうした?」
わたしはこの時ようやく大事なことを思い出した。
「今日1回も弟たちに連絡してない...てか全く携帯見てなかった」
あれほど連絡してって言われてたのにすっかり私は忘れてしまっていた。
私は恐る恐る携帯を開いてメッセージを確認する。
「すごい量だな」
奏ちゃんは横から呆然としている私の携帯を覗き込んで笑っている。
そこには大量のメッセージが来ていた。
まぁ兄弟によって件数はまちまちなのだが。
てかほとんど優だけど!あのこ携帯は常に持ってるタイプだもんなー
瞬と怜はあまり携帯を使わないタイプだし、双葉は今日はお仕事が忙しい日のはずだ。
それでもいつもより多くのメッセージが兄弟たちから来ていた。
「ははは、忘れてた私が悪いのよ...」
とりあえず約束の電話はしないと...!その時にちゃんと謝罪しよ。
そんなことをしている間に委員が集まってきて、会議が始まった。
会議と言っても今日の振り返りと明日の連絡事項ぐらいなのだが。
「えーと、明日の集合時間が変更になっちゃったのでそこだけクラスに伝言お願いします。じゃあ解散で!」
そう奏ちゃんが言って会議は終わった。
ぞろぞろと委員のみんなが席を立っていく。
ん?てかクラスに伝言?
「ゆか、ぼーっとしてどうした?」
終わってもなかなか立ち上がらない私に奏ちゃんが声をかけてくれた。
「えっと、クラスに伝言ってみんなのとこに伝えに行くってことだよね?」
「ああ、そうだ。委員が各部屋に回ってく感じだな。」
それはまずい。私に1番向いてない仕事じゃないか。
特に男の子はまだあまり話したことない人が多いのに、部屋に行くっていうのはなかなか勇気がいる...
「よし、俺がついてくよ」
頭の中でぐるぐると考えて沈黙していた私にそう奏ちゃんが声をかけてくれた。
やっぱり頼れる兄!奏ちゃんだいすき!
「それは助かる。ありがとう!」
こうして私たちは2人でクラスの人の部屋を回ることになった。
(確か男子は1部屋、女子は3部屋だっけ)
そんなことを考えながら先に奏ちゃんのクラスの人に伝えに行った。私は少し後ろで見守っていただけなんだけどやっぱり奏ちゃんはすごい。
すごくクラスのみんなに信頼されているのが伝わった。
(みんな奏ちゃんがきて嬉しそうだったな〜)
「さて、次はゆかのクラスか!先に男子から行くぞ」
「うん!」
こうして私は頼れる背中について行きながら男子の部屋へと向かった。




