1人の朝
今日は日曜日、先程弟たちを見送った私は暇を持て余していた。
瞬は部活があって夕方まで帰ってこないし、怜と優は日曜日なのに学校に行かなければならないらしく仲良く登校していった。
双葉は今日も相変わらずお仕事だ。
みんな帰ってくるの遅そうだし、休日に弟たちと過ごせないのは少し寂しい。
さっきまで賑やかだった家が今では静まりかえっている。
ゆかはふと先程までのことを思い出し、くすっと笑った。
相変わらず自分に甘えてくる弟たちを見送ろうと今朝は早く起きた。
以前、怜とゲームをして負けた時に頼まれた、寝る前にぎゅーってしてほしいという習慣が続いていたのだが、それが他の弟たちにもバレてしまった。
「バレたら絶対に兄ちゃんや優にも姉ちゃんはしちゃうから独り占めできなくなる」
と怜は前々から言っていて、こそっと私の部屋に来ていたのだが、どうやら昨日の夜それが優に見られてしまったらしい。
起きてきた優はさっそく、ご飯を食べていた私のところにきて問い詰めてきたのだった。
もちろん瞬や双葉もその場にいたからバレてしまった。
「僕だけの特権だもん」
そう怜は私の後ろに隠れながら主張していたが、ほかの兄弟たちはずるいといって1歩も引かず結局押し負けてしまったのだった。
怜は昔から家族からの押しに弱い。
それを知っての弟たちの作戦だったのだろう。
私もそれなりに頑張って怜の味方をしていたが、子犬のような目で3人に見つめられて、折れるしか選択肢がなかったのだった。
「これからはみんなでぎゅーってしてもらいに行くからね」
そう嬉しそうに優が言っていた。
怜はむすっとほっぺを膨らませて拗ねていたが、なかなかそんな怜の姿は見られないので、ついついかわいいなんて思ってしまった。
まぁ私がよしよしと頭を撫でると一瞬でいつもの怜に戻ったのだけれど。
そしてみんなを見送ったのだった。
そんな朝の出来事を思い出しながら、私はテレビを見ることにした。
双葉がいる前では絶対双葉が出てる番組を見せてくれないから今日は絶好のチャンスなのだ。
双葉いわくテレビに出ている自分を見るのが恥ずかしいらしい。
(そういえばこの前バラエティ番組に出てたの録画したよね...?それ見るか!)
そう思ってさっそく見始める。
さっきまで近くにいた弟がこうして画面の向こうで話しているのは少し不思議だ。
「双葉くんは今中学2年生だよね!学校とかどう?気になる子とかいないの?」
そう司会の方が質問している。
「実は学校はお仕事が忙しくてあまり行けてないんです...でも好きな人ならいますよ!」
「「え!?」」
そうゆかはテレビの中の出演者と同じ反応をしてしまった。まさか弟に好きな人がいたとは...。
弟の成長に少し寂しさを感じる。
しかもこんなテレビで言っちゃっていいの?
「ちなみにどんな子なのか聞いてもいい?」
(それ!弟のことながら気になる〜)
「もちろんです。とにかくかわいくて優しくて僕にとってかけがえのない存在ですね」
双葉ー!
どうして今まで話してくれなかったのよ〜!
まぁ姉に恋バナはしにくいものか。
共演者の役者さんや芸人さんも驚いた様子で「きゃー」っと恋バナに花を咲かせている。
そして最後に双葉はあどけない笑顔でこう言ったのだった。
「まぁ、姉なんですけどね!」
「いや、やっぱり私かーい!!」
そうゆかはテレビの双葉に向かって叫んだのだった。
その子とのエピソードを話してる時、めちゃめちゃ私が体験したものと同じでなんとなく気づいちゃったよ。
まさかテレビで自分の話をされるとは...。
司会者の方も「お姉さん思いだね」なんて言って少しほっとした様子を浮かべている。
そりゃ突然こんな暴露されたらどうしようとか思うよね。
うちの弟がすみません...。
そんな感じで溜まっていた双葉が出演していた番組を見ていたらあっという間にお昼になっていた。
お昼ご飯を簡単に済ませ、次は何をしようかなと考えている時、
ピンポーン
とインターホンが鳴った。




