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ロングソードから始まる物語  作者: Nexus
氷河の滝

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激突、氷と炎の滝

轟音を立てて流れ落ちる氷河の滝を背景に、冷え切った空気が一瞬にして沸騰するかのような殺気が弾けた。


「行くぞ…!」


デヴァイスが吐き捨てた瞬間、彼の大剣から吹き上がった猛烈な業炎が、周囲の雪を一瞬で融解させ、大量の蒸気を巻き上げる。その圧倒的な熱量は、氷点下の山岳地帯をもねじ伏せるほどの迫力だった。


「防壁展開!」


クローディアが瞬時に前へ出て魔力障壁を張るが、デヴァイスが放った第一撃の衝撃波だけで、分厚い障壁に亀裂が走る。並みの使い手ではない。一撃の重みと纏う魔力の質が、これまでの敵とは格段に違っていた。


「油断するなよ! 雑魚の相手とは訳が違う!」


ラインズが愛剣を構え、デヴァイスの猛烈な踏み込みを正面から受け止める。キィィンと激しい金属音が響き渡り、ラインズの足元の雪が衝撃で吹き飛んだ。しかし、デヴァイスの膂力と炎の熱量に押され、ラインズの身体がわずかに後退する。


「おっと、前衛の腕は悪くないが…それだけか?」


デヴァイスが不敵に笑い、追撃の炎を纏った回し蹴りを放つ。ラインズは咄嗟に盾で防いだものの、強烈な熱風に弾き飛ばされ、雪原に膝をついた。


「ラインズ!」


ソフィアが叫び、すかさず詠唱を完了させる。彼女の杖から放たれた氷の槍の群れが、デヴァイスの背後を襲う。しかし、デヴァイスの部下である『鷹の目』の精鋭たちが素早く盾を構えてそれを防ぎ、逆にカノンの狙撃へと反撃の隙を与えない。


「ちっ、守りが堅いな!」


カノンは舌打ちしながら銃口をずらし、部下の足元を正確に撃ち抜いて動きを封じる。

戦局は一瞬にして混戦の様相を呈した。数に勝る『鷹の目』の精鋭部隊がソフィアやクローディアの魔法を牽制し、その隙を突いてデヴァイス自身が圧倒的な暴力と炎で前衛を粉砕しようとする。まさに圧倒的な個の強さと組織力の噛み合った猛攻だった。

だが、『始まりの戦線』もただではやられない。


「クローディア、右翼の敵を頼む! ソフィア、俺たちでデヴァイスの動きを削るぞ!」


ロンの鋭い指示が、激しい滝の音の中でも仲間の耳に鮮明に届く。

ロン自身もデヴァイスの放つ灼熱の剣閃を紙一重でかわしつつ、その懐へと飛び込んでいた。彼の五感はデヴァイスの筋肉の微動や魔力の流れを完全に捉えている。


「ほう…俺の剣をかすめるとはな、小僧!」


デヴァイスの目が面白そうに細められ、大剣がまるで自身の腕の一部であるかのように凄まじい軌跡を描いてロンを襲う。炎を纏った刃が空気を切り裂き、触れるだけで肌が焦げるような熱波が襲いかかる。

ロンは息を詰め、一ノ型『魂閃』を抜いた。

刃と刃が真正面から激突する。火花と氷の溶けた水しぶきが激しく四散し、二人の間に迸る魔力の衝突が周囲の空間を歪ませた。ロンの内側で、『魂震』の光が激しく脈動し、デヴァイスの圧倒的な熱量を押し返そうと熱を帯びる。


「俺たちの進む道を、ここで断たせるわけにはいかないんだよ!」


ロンの叫びと共に、『魂震』の力が剣身に宿り、デヴァイスの業炎を切り裂くような鋭い光を放った。


「面白い…! ならばその魂ごと、この炎で焼き尽くしてくれるわ!」


氷河の滝の麓、極寒の大地で繰り広げられる氷と炎の激突。互いのプライドと信念をかけた死闘は、いよいよ最高潮へと突入していく。

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