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『花よ、花、花』
花はこの宇宙が終わるときも
咲いているような
気がした
爛々(らんらん)とそれから
爛々と
花のなかには
この宇宙よりも多くの
おとぎの世界があるような
気がした
そこには瑠璃や琥珀のお城があり
幼子が自由に遊戯をし
的皪の太陽や聖なる生き物
水晶の泉がお話しをして
愛と夢の歌が歌われていたり
寛雅な舞いを舞ったり
花はいつも神様に
愛でられているような気がした
陽や雨
風や空や白い雲、天道虫
かわいい花
かわいい花よ
かわいい花
かわいい花よ
清らかで、清らかな
平和に満ちた花よ
時には
「摘まないで下さい」
と、言って
泣いてもいいのだよ
花は人間に
似ているような
気がした
色とりどり
季節があって
何ひとつ
同じ顔の花はなくて
何ひとつ
母なる土に繋がってない花はなくて
花は心のなかで
ときどき
おじぎをしたり、手をふって
光っているような
気がした
煌々とそれから
煌々と
花、花よ
花
花よ、花、花




