第八十六話 ガイアスが頑張る!?②
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
◇◇東の街・孤児院の中◇◇
エンカとスイリューが孤児院の子供たちと戯れている間にクレアがリリスと初対面する。ガイアスも同席していた。
「初めまして。クレアよ。」
「あ、リリスです。」
リリスはクレアのボンキュッボンの体型に目が行ってた。どこか羨ましげだった。そしてクレアとガイアスを交互に見る。
「ガイアスさんと同じ角つきですね。蜥蜴族と人族のハーフの特徴と聞いてます!!ガイアスさんの・・・妻だったりします?」
「違うわよ。腐れ縁。それにこいつ、バツイチよ。」
クレアのバツイチ発言に「・・・・。」と腕を組んで苦い表情するガイアス。
「そ、そうなんですか!」
心なしかリリスはホッとした。クレアがそれを見逃さずににゃっと笑う。
「こいつはやめときなさいよぉ。全然働かないんだもの。甲斐性なしよ。」
「そんなことはないですよ。言えば手伝ってくれますよ!!ただ自分では考えて動くのが苦手っていうタイプですね。」
「あら?ガイアスのことよくわかってるわね。」
「多くの子供のお世話をしてますからね!!」
リリスの言葉にプッと笑うクレア。
「それはガイアスが子供って言いたいのかしら?」
「あ、全然違いますよ!?」
リリスがブンブンと手を振り、ガイアスの様子を伺う。ガイアスは困ったかのような表情していた。クレアがその光景を見て、和やかになる。
「懐かしく感じるわね。リリスが水竜みたいに感じるわ。全然違うのにねぇ~。」
「水竜?」
リリスが首を捻る。
「クレア。さっさと本題に入れ。」
ガイアスがクレアに急かした。
「はいはい。リリス。孤児院の助成金が打ち切られたと聞いたわ。それでこいつから金貸せと言われたのよねぇ。」
クレアがガイアスに向けて、苛立ちを込めた指を差す。
「ガイアスさんがそんなことを・・・。」
リリスが驚きの表情を見せた。
「私ね。西の街で魔性の館を出して、経営してるけれどね。」
「西の街・・・。」
リリスはそこに何かあるのかピンと来たのか顔を赤らめる。西の街はピンクカラフルな娼館が並んでいるのだ。
クレアはリリスの反応を気にせずに話を続ける。
「金を稼ぐのがまた難しいのよねぇ。金ヅルを増やすためにお客様の要求を出来るだけ応える。そうすればリピーターが増える。だけど、お客様が増えるとその分、労働力も増えちゃうから、めんどくさいのよねぇ。それをガイアスは知りもせずに金貸せって怒るわよそれ!!」
クレアがギロッとガイアスのほうを見やる。「・・・・。」とガイアスは額に汗をかいていた。
「そ、そうなんですか。」
リリスは話の方向性が見えずに戸惑う。
「だからね。金がないなら、稼げばいいのよ!子供たちにも協力してもらうわよ!!」
「え?何をするんですか?」
「ざっと孤児院を見て回ったけど、敷地は十分にあるし、温泉を出しましょう!!」
クレアが拳を握りしめて天に上げた。ガイアスがまさかという表情した。
「え?えぇー!!掘るんですか!?」
クレアの斜め方向の提案にリリスが驚いた。
「あ、それはガイアスにやってもらうわ。リリスと子供たちには店を開く準備をして欲しいの。」
「店・・・ですか?」
「東街の住人は井戸で体を洗うと聞いてるわ。温泉を開けば、繁盛間違いなしよぉ!!」
クレアの目が金になっていた。そこにガイアスがドラゴン語でクレアに話しかける。
『温泉を出すのはいいが・・・ドラゴン魔法はドラゴンにならなきゃ出来ないぞ。それにまた人間に変身するための人化魔法だって覚えてないんだぞ。』
『その点は大丈夫よ。私、やっと人化魔法覚えたから。』
『それならいいが・・・昼間はドラゴンは目立つぞ。』
『深夜にやるわ。協力者を求めるから安心なさい。』
『わかった。』
リリスが二人のギャァギャァとドラゴン語で言い合う様子に「(意思疎通できてるのかな・・・?)」と首を捻る。
「よし!」
クレアがパンっと手を合わせた。
「忙しくなるわぁ~。リリスは子供たちに今日の夜は一歩も外に出ないように伝えてね。怖い思いをするわよぉ。リリスも出ないでね。」
「え・・・は、はい。」
リリスが訝しげに返事した。
◇◇深夜・孤児院の敷地◇◇
孤児院周辺は暗くはあったが、魔道具による灯りで照らし、お互いの姿を認識していた。
「なんで僕たちが・・・。」
ソル、ポチ、シンの姿があった。
「見張りよぉ。私たちの正体を知ってるでしょぉ。」
クレア、ガイアス、エンカ、スイリューを前にソルたちが溜め息をつく。
「あぁ。」
ソルが投げやりに返事した。
「これから温泉出すからよろしくねぇ。」
「お、温泉ですか?!」
シンが驚きの表情を見せつつ、期待の目を輝かせた。
「シンは土魔法が使えるでしょ。ちょっと魔道具の配水管の設置を手伝ってね。」
「は、はい。」
クレアがテキパキに指揮する。ソル、ポチ、エンカ、スイリューを周囲の見張りとして立たせ、クレアとシンが設計について話し合う。
「男湯、女湯に分けて、さらにそれぞれ更衣室の二つの部屋が必要です。トイレはここに設置。入口に番台を設置する。間取りはこんな感じでいいんじゃないでしょうか。」
シンがわかりやすく土魔法で軽く線引きするように盛り上げて、説明した。
「ふんふーん。それで行きましょう。ガイアス。変身して温泉の源泉を引っ張って頂戴。」
クレアに言われた通りにガイアスは「人化魔法・人間解除!」と徐々に大きくなり、暴竜と呼ばれる灰色の巨大なドラゴンになる。
「ドラゴン魔法・大地操作、温泉源泉!!」
暴竜は地盤を操り、温泉の源泉を真下まで引っ張ってきた。
「どうする?源泉を出すか?」
「いや、いいわぁ。温泉の源泉は人間には死ぬレベルの熱さよ。私たちドラゴンならいい湯だけどね。」
見張りをしているソル、ポチが冷や汗をかく。
「沸騰するレベルの湯をいい湯か・・・。」
「さすがドラゴンだワン・・・。」
クレアが暴竜に次に指示する。
「地ならしして、石を敷き詰めて~。」
「ドラゴン魔法・大地操作、地ならし、そして石絨毯。」
クレアの指示通りにやっていくとだんだん風呂の基礎が出来上がっていった。
◇◇孤児院の中◇◇
深夜ゆえに子供たちが寝静まっている。その中に不審な音を聞きつけて、目が覚めるリリス。
「何か音が・・・。でもクレアさんが外に出ないようにと言われているけど・・・気になります。窓から覗けるかな・・・。」
リリスが窓から覗いてみた。すると巨大なドラゴンを目の当たりにし、バッと布団に潜った。
「(え?え?ドラゴン!?な、なんで??こ、これは夢!?夢よね!?)」
恐怖のあまりに現実逃避しようと再び寝るリリス。
◇◇◇◇
「最後に魔道具の配水管を設置したら、いよいよ温泉が出るわよ!!」
シンが魔道具の配水管を設置。温度を調整し、温泉を出してみた。
「うん。大丈夫ですね。」
シンが温泉の湯加減を確認した。クレアが満足気に頷いた。
「暴竜。お疲れ~。人化魔法・人間変化!!」
暴竜がガイアスと呼ばれる鬼のような巨体の人間に変身した。
「終わった・・・。」
仰向けに倒れるガイアス。気付くと太陽がかすかに照らし始めていた。夜明けのようだ。
「こんなに働いたのは初めてでしょ。」
クレアがガイアスを覗き込む。
「あぁ・・・。」
「まだまだ働いてもらうわよ!!」
クレアの言葉にぐったりするガイアスであった・・・。
◇◇◇◇◇
たった一晩で温泉が沸き、石造りの建物が建っていたことにリリス一同が驚いていた。
「こ、これは・・・。」
リリスが唖然としながら、クレアのほうを見る。
「温泉よ。中を見てごらんなさい。」
子供たちがわーいと建物の中に入る。続いてリリスが入ると番台にガイアスが座っていた。ガイアスは疲れて居眠りしていた。その側にスイリューも寝ていた。
「ガイアスさん、大丈夫ですか・・・?」
「夜通しにやってたからねぇ~。」
クレアが心配いらないとリリスの背中を押し、風呂場を見せた。床が石並びで岩造りの風呂場だった。注目する部分としては土で造形されたドラゴンの口から温泉が垂れ流していた。
「これをたった一晩で・・・。」
リリスが目を真ん丸にする。子供たちがはしゃいでいた。
「温泉入ってもいいの!?」
目を輝かせる子供たちにクレアがストップをかける。
「ちょっと一旦外に出ましょう。」
リリス一同はクレアの言う通りに外に出る。クレアがこの建物に指を差した。
「これで金を稼ぐのよ。そのために店を開く準備をしなければいけないわよ~。看板やお客様を集めるためのチラシ、その他色々ね。」
子供たちが「はーい。」と大きな声で返事した。
「最初にこの店の名前を決めましょう?」
クレアの言葉に子供たちが話し合い、悩む。リリスが子供たちに声をかけた。
「ガイアスさんが造ってくれたんですよ。」
「鬼が?そうなんだ!!」
子供たちはガイアスのことを鬼と呼んでいるようだ。
「ドラゴンの湯はどう!?風呂にドラゴンの口があるから、鬼はドラゴンが好きなんでしょ!?」
「え・・・ドラゴン?」
リリスが脳内に昨夜に暴竜ことドラゴンを見た記憶が蘇った。だが頭をフルフルと振り、吹き飛ばす。
「ドラゴンの湯。いいね!!」
リリスがにっこりと同意した。クレアがふふっと笑う。
「色々準備する前に一番風呂、浴びましょう!!」
クレアが掛け声を出すと子供たちがわーいと喜ぶ。傍目で眺めていたソル、ポチ、シンが苦笑いしていた。
「ドラゴンの湯とは言い得て妙だな。」
「実際にドラゴンがやったワン・・・。」
「番台に最強生物の暴竜がいるなんて夢に思わないでしょうね。」
ソルがクレアに近寄る。
「僕たちへの報酬を決めてなかったが、一番風呂でいいぞ。」
「あら?それでいいのかしら?」
「あぁ。」
ソル、ポチ、シンが男湯に入っていく。
「私たちも行きましょう。」
クレアとリリス、エンカ、子供たちが女湯に入っていく。各々、ゆったりした時間を過ごすのだった。
しばらく寝ていたガイアスが目を覚ました時、目の前に子供たちがいた。
「鬼!ありがとう!!」
「・・・・。」
寝起きで状況が掴めずに顔を上げるとリリスがくすっと笑っていた。
「お疲れ様です。一晩で建ててありがとうございます!!」
ありがとう合唱にガイアスがまたもや言いも知れない不思議な気分に見舞われる。
「(暖かな・・・それでいてふわふわする気分だ・・・。)」
ガイアスが返事に困り、「・・・あぁ。」とだけ答えた。
「外に出てみて!」
子供たちがガイアスを引っ張り、外に出てみると建物入り口の上に看板が付いてた。
「・・・なんて読むのだ?」
文字が読めなかったガイアスが子供たちに訊く。
「ドラゴンの湯だよ!!」
ガイアスが「・・・・。」と見上げる。クレアが声をかける。
「店を開く準備は終わってるわよ。あとはあなたが店主として皆を引っ張るのよ。」
「・・・オレが?」
寝耳に水とばかりの表情をしたガイアス。
「リリスとスイリューがフォローするから安心なさい。あとはあなた次第よ。」
「い、いや・・・。」
戸惑うガイアスの肩にクレアが手を置く。
「は・た・ら・き・な・さ・い!!」
恐い顔でギュゥーとガイアスの肩を握りしめる。
「わ、わかった・・・。」
覚悟を決めたガイアスはスイリューとリリス、子供たちと共にドラゴンの湯として温泉店を出し、繁盛するのであった・・・。
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