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第五十一話 レア鉱石の鉱床

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!

 水竜の子ドラゴンを預かることになったリュウ。体長50センチで体表が水色の子ドラゴンはリュウを『おとーさん』と呼び、リュウの頭の上に乗る。


『おとーさんではない。リュウだ。』


『リュウリュウー!!』


 元気一杯にギャァギャァ叫ぶ子ドラゴン。リュウはやかましいなと思いながら、振り向くと長老ロウとウルス、部下二人がひざまずいていた。


「ど、どうした・・・?」


 その行為に戸惑うリュウに長老ロウが口を開く。


「守り神の水竜様をお救いいただきありがとうございますじゃ。ところでのぅ・・・。あなた様は同胞などではありやせんのでしょう?」


 リュウが「!?」と内心焦る。


「蜥蜴族と人族のハーフと言っていたが、蜥蜴族の形態にしては我らとは違うである。」


 ウルスがリュウの「人化魔法・竜人化」で変身した姿のことを指して言った。


「あなた様はもしや・・・もしやとは思いますがのぅ。水竜様と同じでは・・・?」


「ドラゴン語を使えるようであるな。」


 長老ロウもウルスも疑いの視線を送ってくる。


「(本物の蜥蜴族が俺を見たら、違和感を持つのは当然だが、ここでドラゴンなどと言ってしまえば、今後に影響が出る。ならば、しらを切ろう。)」


「違う。俺は人間だ!」


 そう無理矢理に押し通すリュウであった。


「しかしであるな・・・。」


「ウルス。良い。何か事情があるのじゃろうな。儂らの恩人につつくのは野暮じゃな。」


 ひざまずいていた長老ロウたちが立ち上がる。


「礼にささやかじゃが、恩人に料理を振る舞おうぞ。」


 リュウたちが蜥蜴族の住む洞穴に戻ると長老ロウの計らいで蜥蜴族のパーティーに参加することとなった。リュウたちは上座で次々と魚料理が並べられた。湖にいる魚が蜥蜴族の食料源になってるようだ。そんな魚料理に舌鼓を打ち、リュウと子ドラゴンが食べて食べて食べまくる姿に蜥蜴族全員が驚いていたのだった。


 長老ロウがリュウの隣に腰を下ろす。


「ウルスから聞いたのじゃが、亡国のルクテシア王国に行くんじゃってな。」


「あぁ。」


「あなた様の光魔法でアンデッド系魔物が浄化できれば安心して、外に出れるのを期待してるんじゃが・・・。」


 歯切れが悪くなる長老ロウが咳払いする。


「400年前に死者反魂の魔法を使った闇の魔法使いリッチがいたと言ったろう。今もいるのじゃ。」


「は!?生きてるのか!?」


「あれを生きてると言うべきかはわからんが・・・人を捨て骸骨と変わり果てても、なお暴竜を倒さんと執念深きアンデッド系魔物になっとる。気を付けるんじゃ。」


「(闇の魔法使いリッチか・・・。)」


 神妙な表情をするも腹一杯になると眠気に襲われ、寝てしまうリュウと子ドラゴンであった。


◇◇◇◇


 一晩明けるとリュウと子ドラゴンはリーゼたちのいる湖に通じる水路の手前に立っていた。蜥蜴族全員が見送る。


「これをやろう。」


 長老ロウが何やら鉱石を渡してくる。


「これは・・・・。」


 金色輝く大きな鉱石。リュウがこれは貴重なものだとすぐわかった。


「オリハルコンの鉱石じゃ。」


「こんな大きいサイズは珍しいぞ。」


「そうかい?ここはミスリルやオリハルコンの鉱石がたびたび出土されるんじゃ。」


 平然と言い放つ長老ロウに「!?」と驚くリュウ。


「(蜥蜴族の住む洞穴にはレアな鉱石が大量に眠っているんじゃ・・・。鉱床の可能性がある。蜥蜴族はその価値がわかってない?)」


 特にオリハルコンの鉱石から作られる武器や防具は非常に強力で高価。ただ希少なゆえに冒険者や騎士たちがこぞって欲しがるものである。それを大量生産出来るとなれば・・・。


「(ギルドマスターのフトッチョがこれを知ったら黙っていないだろうな。あいつはジャイアントスネークの件で欲深き人間なのはわかった。蜥蜴族を追い出そうと考えるに違いない。)」


 蜥蜴族の住処にフトッチョのような金の亡者が群がってくるのは間違いないだろう。


「長老ロウ。これは非常に価値がある。これを狙わんとする人間がいる。蜥蜴族が400年前にルクテシア王国に襲われた理由はこれかもしれん。」


「なんと!?」


 鉱石の価値を知らない蜥蜴族全員が驚く。


「ジランド王国はゆくゆく亡国ルクテシア王国一帯の環境資源を手に入れたい意向がある。となると蜥蜴族の住処を追われる可能性さえ出てくる。だが、そうならないようにリーゼたちに話をしていいか?信頼できる人間だ。皆に悪いようにはしない。」


 長老ロウがやや考え込むが、「恩人の言うことを信用しよう。」と返事してくれた。


「ジランド王国への橋渡しにウルスを連れていってやってくれ。亡国ルクテシア王国の案内もでき、なおかつ腕は立つ。」


 長老ロウの言葉にウルスが前に立つ。


「我輩に任せるである!リュウたちと共に亡国ルクテシア王国のアンデッド巣窟を駆除してみせよう!そして蜥蜴族の未来のために橋渡しを務めるである!!」


 ウルスの燃えるかのような勢いに「あぁ、頼む。」と軽く引くリュウだった。ウルスは長年、目の上にこぶだったアンデッド系魔物が消えるとなれば嬉しいこの上ないことなため、燃えていたのだ。


 こうして蜥蜴族と別れを告げた。


「いくであーる!!」


 ウルスがジャンプし、リーゼたちのいる湖に繋がる水路に潜った。あとにリュウも子ドラゴンも潜った。子ドラゴンは水竜の子なだけあって、スーイスーイと泳ぐ。リュウは犬かきごとく下手に泳ぐが、前になかなか進まない。


「(最初に来たときはウルスの部下二人に引っ張られてたからなんとかなったが、一人で泳ぐとなると難しいな・・・。) 」


 必死に泳ぐリュウ。


「(息持つか・・・?)」


 溺死という危機感を募らせるリュウであった。


◇湖の前◇


「朝になってもリュウは戻らないわね。」


 リーゼたちが湖の前に立つ。


「泳ぎが得意な人は?」


 皆が一斉にポチを見る。


「俺かワン?」


「お願いね。」


 リーゼが頼むと「わかったワン。」と勢いよく飛び込むタイミングと同時にウルスが水面から上がって来た。出会い頭にゴチーンとお互いの頭がぶつかり合う。


「ぐはぁワン!」


「ぐあっ!!」


 ポチとウルスが気絶し、溺死ごとく湖の水面に浮いてしまう。


「大丈夫かニャ・・・。」


 メイファが棒を二人につつく。次に子ドラゴンが水面からビューッと上がって、「ギャァギャァ」とそのまま元気一杯に飛び回る。


「子ドラゴン!?」


 リーゼたちが一斉に見上げる。その間にゆっくりリュウが溺れてぷか~りと溺死体ごとく上がってきたのにリーゼたちは気付かないのであった・・・。


◇◇◇◇


「リュウはカナヅチだったのね・・・。」


  リーゼの言葉にグサッとくるリュウ。


「(溺れたから、言い訳のしようがないな・・・。)」


 リュウは溺れ、リーゼたちに救出されていたのだった。


「で、昨夜に起きた出来事を聞かせてくれる?」


リュウは昨夜に起きた出来事をリーゼたちに説明する。


「400年前に暴竜に滅ぼされたルクテシア王国の闇の魔法使いリッチがルクテシア国民たちに死者反魂の魔法をかけ、アンデット系魔物にしたなんて驚きね・・・。」


 リーゼの言葉にアイリンが補足する。


「人の身で相当数のルクテシア国民たちに死者反魂の魔法をかけるのは不可能。だけど、人を捨て魔物になるなら可能。魔法力がかなり上がるはず。」


「それはSランク魔物並に強いってことになりますよね・・・。」


 シンが魔竜の強力な広範囲重力魔法を思い出したのか、恐怖に震える。


「元凶はわかったわ。だけれど、闇の魔法使いリッチが未だに暴竜を攻めないところを見るとなにか問題があるわね。おそらくリッチだけでは倒せない。相当数のアンデッド系魔物を従わせるような技術がない。そんなところね。」


「烏合の衆ということだね。それならばリュウの光魔法で簡単に減らしていける。」


 リーゼとソルによって亡国ルクテシア王国のアンデッド系魔物の巣窟に対する方針が定まる。


「(何か見落としているような・・・。そんな感じさえするな。)」


 リュウはそう感じたのだが、その場にいる全員誰もがダークの存在に気付かないのだった。


「それにしても水竜の子供のドラゴンがあなたに懐いてるのね。」


 リュウの頭にいる子ドラゴンが「ギャー」と返事した。子ドラゴンの愛くるしい瞳にリーゼ、メイファ、アイリンが「可愛い・・・。」と発した。


「こっちにきてニャ。」


 メイファが両手を広げてアピールする。子ドラゴンがパタパタ翼を動かし、メイファの胸に飛び込む。


「可愛いニャァー。」


 ギューッと抱き締める。アイリンが子ドラゴンを撫でる。


「名前は付けてるニャ?」


「(そういえばバタバタしてたから、つけてないな。)」


「まだだ。良ければつけてやってくれ。ちなみに雄だ。」


 リーゼ、メイファ、アイリンが三人姦しく話し合い、最終的にスイリューと名付けた。子ドラゴンことスイリューは「ギャァギャァ」と喜んでいた。


「それとリーゼ。これを見て欲しい。」


 リュウがオリハルコンの鉱石を出す。リーゼたちがサイズの大きさに目を見開く。


「これは大きいわね・・・。」


「蜥蜴族の住み処はミスリル、オリハルコンといったレア鉱石の鉱床の可能性がある。ギルドマスターのフトッチョに知られたら、まずい事態を引き起こすと思う。あいにく俺にはどうしたら良いかわからん。」


 リーゼが「そうね・・・。」と考え込む。そしてウルスのほうに振り向く。


「ウルスと言ったわね。私たちジランド王国は亡国ルクテシア王国のアンデッド系魔物の巣窟を浄化したら、すぐに環境資源とやら開発とやら色々手を入れることになると思う。」


 亡国ルクテシア王国のアンデッド系魔物の巣窟が解決したら、ジランド王国は領土拡大に動く方針である旨を告げる。


「そしてこの鉱石は非常に価値があるものなのよ。これが原因で生活の場を追われる可能性があると思うわ。」


「それは困るである!400年前にルクテシア王国に滅ぼされた蜥蜴族の悪夢の再現はやめてほしいである!」


 ウルスたち蜥蜴族の事情を理解しているリーゼが話を続ける。


「生活の場を保障するには土地契約を取り交わして、蜥蜴族が所有権を持つことにあるけれど時間がかかるわね・・・。それならば鉱床の独占契約を私のお父様に取り交わし、貴族としての威光をちらつかせて、生活の場を保障したほうが早いわね。」


「よくわからないが、生活の場を保障してくれるならばありがたい話である!」


「えぇ。亡国ルクテシア王国の浄化が終わってから、煮詰めて話しましょう。協力お願いするわ。」


「よろしくお願いするである!」


「では亡国ルクテシア王国まで案内お願いね。」


 話がまとまり、リュウたちはウルスの案内で亡国のルクテシア王国を目指す。



◇◇亡国ルクテシアの跡地◇◇


「ハハハ!準備ハ整ッタ!西ノ山ニイル憎キ暴竜ヲ成敗シテクレル!!」


 宙に浮く古びたローブを着込む骸骨。この骸骨が闇の魔法使いリッチのようだ。くぼんだ両目の部分が紅く光る。


「ルクテシア国民タチノ不死軍団!!サァ行クガイイ!!」


 ルクテシア国民たちことゾンビ、悪霊、スケルトンボーンといったアンデット系魔物がリッチの言うことを聞き、ルクテシア王国の跡地より西の方角の山を目指す。


「リッチ。やるのかい。」


 ダークが認識阻害の魔法である黒いもやを身に纏い、宙に浮くリッチを見上げた。


「ダーク。手ヲ出スナ。オ前ノ魔物ヲ従ワセル技術ニハ感謝シテイルガ、コレハルクテシア国民、ソシテ我ノ復讐ダ!!」


「あぁわかってる。」


 リッチがアンデット系不死軍団を率いて、西の山に向かう。その様子にダークは怪しく笑う。


「(上手く暴竜を弱らせたら、すべてを奪い取る。リッチよ、お前は魔物だ。簡単に私の手駒にすることも出来る。)」


 ダークは何やら試験菅のようなものを出す。その中は粘着性のあるような黒い塊が入ってた。


「ブラックスライム・・・。これで暴竜が私の手駒になればジランド王国は終わりを告げるだろう。クックックッ・・・。」


 ダークは不気味な笑みを浮かべ、西の山に消えていったのだった。

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