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第四十三話 騎士貴族学校⑤

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!

◇◇リュウVS Sランク冒険者◇◇


「ん?ん?ここは・・・。」


 リュウの恐怖心トラウマの相手はカインズに似た風貌を持つSランク冒険者の男性がキョロキョロする。その過程でジャン、ミランダ、カイル、リーゼの順に見回し、最後にリュウと目が合う。


「・・・なるほどな。俺は幻の存在ってわけか。召喚したのはお前だろ。」


 何やら事情を掴めたSランク冒険者は不敵な笑みを浮かべ、大剣を構える。同時にリュウもまた身構える。


「それじゃ・・・やるか!!」


 Sランク冒険者が大剣を振りかぶりながら大きくジャンプした。


「剣技・一刀両断!!」


「防御技・ドラゴンスキン(弱体化)!!」


 Sランク冒険者の重い一振りがリュウの纏うドラゴンの擬似鱗ごと押し込むように叩きつける。その際、お互いの技の衝撃の余波が周囲に響いた。


「なんか弱くなったな!?」


「言ってくれる!!」


 Sランク冒険者とリュウは馴染み深い感情を表に出し、そこから近接戦での攻防が始まる。


「ドラゴンクロー!!(弱体化)」


「隙がありすぎだ!」


 Sランク冒険者がリュウの魔力によって硬化された鉤爪を蹴っ飛ばし、バランスを崩すリュウの懐に入る。


「剣技・平打衝撃!!」


 バランスを崩したリュウに大剣の平で弾き飛ばした。


「わざとか!?」


 リュウは斬ろうと思えば斬れたところを大剣の平で弾き飛ばしたことに対してクレームを入れる。


「なぁに、戦いは始まったばかりだ。・・・それはお前の望んだ姿なのか?」


 覇竜が人間となった事情を知っているかのようにリュウに質問した。


「そうだ!」


 Sランク冒険者との間合いが取れたリュウは魔法によって出したファイアを飲み込む。


「ファイアブレス!」


「それは知っている!!」


 Sランク冒険者が大剣を振るうとファイアブレスが真っ二つにかき分けながら、一瞬のうちに間合いを詰めた。


「!?」


「剣技・剣突!!」


 リュウを串刺しするかのように大剣を正面に突き伸ばした。リュウはそれを防ぐために両手の伸ばした爪をクロスさせるかのように防御したが、衝撃によってまた弾き飛ばされる。


「ならば、人間の世界に溶け込めば溶け込むほど、魑魅魍魎の世界が見えてくるだろ!!」


「・・・・。」


 リュウはランドルフ王の謁見にて陰口を叩かれたことを思い出す。おまけに腹黒さを感じさせられる。あれが日常的だとしたら、人間の本質的なものが見えてくる。


「俺は大切な人を守れなかったんだぞ!?それはお前も知っているはずだ!!」


「ちっ、偽物なのに俺の心を突きやがって・・・。」


 Sランク冒険者の凄まじい攻勢に「(この体じゃ、勝てない!!)」と劣勢になるリュウ。


「どうした!?かつてのお前は力を追い求めていたはずだ!!何故、弱くなっているんだ?!」


 人化魔法によって本来の力を抑え込まれていることを知らないSランク冒険者がいきりたつ。



◇◇リーゼたちサイド◇◇


「戦い方も親父そっくりじゃねぇか!!」


 カイルが自らの親であるカインズと瓜二つのSランク冒険者に驚きを見せた。


「えぇ、Sランク冒険者というのは本当のようね。でもそれほどの使い手なら名前が世界中に轟くはず。」


 リーゼもまた同様に驚いていた。


「しかし、リュウを殺す気満々だよな?」


「どんな関係だったのか気になるところよね。」


 リーゼがSランク冒険者の顔を凝視する。


「(しかし、あの顔は・・・初代国王ジランド様に似てなくもないわね?)」


 ジランド王国には初代国王ジランドの肖像画が出回っているが、そのほとんどが老人のため差異が多く、Sランク冒険者に対してそう評したリーゼであった。



◇◇リュウサイド◇◇



「がはぁっ!!」


 Sランク冒険者の攻撃にリュウが吹っ飛びながら転がるように倒れる。


「・・・悪いことは言わねぇ。力が足りないお前は何かを失う。とっとと山奥に引っ込みな。」


「・・・ウルセェ!」


 リュウがその言葉をきっかけに自らの体が少しずつだが、膨らんでいく。それはドラゴンに戻るかのような感覚であった。


「(し、しまった!人化魔法が解けかかっている!!リーゼたちの目の前だ。バレてはいかん!!)」


 どうやら怒りの感情に呼応したかのように人化魔法が解けかかったようだ。


「それが本性だろ。」


「ぐゥゥゥゥッ!!」


 二つの角つきの人間姿のリュウに擬似的なドラゴンの鉤爪と尻尾が生え、歯が鋭く牙が伸び、目の瞳孔も鋭くなる。ドラゴンに戻っていく段階のそれであった。


「どこまで行っても俺たち人間とお前は平行線だ。」


 Sランク冒険者が冷めた目つきでドラゴンに戻っていくリュウを見届けようとする。


「・・・お前は必死に生きあがいた。その結果が今の王国を築いた。」


「(・・・変化が止まった?)」


「俺はお前が羨ましい。そして人間たちは生き足掻くために自分が生きた証を残す。かつて俺と戦った冒険者たちは武功を残し、存在を認められたいがためだった者が多くいた。」


「・・・。」


「俺は・・・俺という存在の意味を探しているのかもしれん。だから、冒険者となり、探し求めている。」


 完全に変化が止まり、人間のリュウにドラゴンの特徴を付け加えた姿になった。あえて名付けるなら竜人化リュウ。


「こんな俺でも足掻いてみたいんだ。例え、結末がどうなろうとも。」


 魔物である覇竜はリュウとなって人間の世界に飛び込んで、冒険者活動の傍ら、存在の意味を探しているようだ。だが、ドラゴンが人間になりすまし、人間の社会に溶け込む先が自身の破滅だとしても。


「・・・そうか。ならば勝負だ!!」


 Sランク冒険者と竜人化リュウはお互い構える。お互いの一撃に決着をつける気のようである。


「(次の一撃で決まる・・・。)」


 リーゼたちが二人の雰囲気に固唾を飲んで見守る。


「最強技・霹靂一閃!!」


「ドラゴンクロー!!」


 二人が一瞬の間にすれ違うかのように攻撃を仕掛けた。


 片や目に止まらぬ一筋の剣戟を。


 片や横一線に振り抜く擬似的な鉤爪。


 そして二人は位置を入れ替えるようにお互いが後ろ向きに立つ。


「・・・冒険者は戦うことが全てではない。それぞれの求める先に辿り着くのが冒険者ってもんだ。」


「・・・・。」


 Sランク冒険者が振り向く。大剣は砕け、全身鎧に貫通する大きな鉤爪の傷があった。本来なら、血が噴き出るところだが、偽物の体のため、グロステクにはなっていないようだ。それに対して竜人化リュウは無傷。


「お前の求めるものを手に入れろよ。」


「あぁ。」


 竜人化リュウもまた振り向く。どうやら決着がつき、リュウに軍配が上がった。


「じゃぁな。」


 Sランク冒険者が透けていく。


「お待ちください!かなりの高名な方とお見受けします!お名前を!それとリュウとはどのような関係なのかも・・・。」


 リーゼが早口にSランク冒険者に質問した。


「(リーゼ!?)」


 リーゼの突飛な行動に虚をつかれた竜人化リュウ。


「・・・。」


 Sランク冒険者がチラッと竜人化リュウを見やる。


「(余計なことは言うな!)」


 竜人化リュウがアイコンタクトを取るとSランク冒険者がニカッと悪どい笑みを浮かべる。


「こいつの親代わりだ。初めて会った時は獣だったんだぞこいつ。」


「おい!」


「だがよぉ、俺の妻が面倒見てくれてな。ちったぁ素直になったか?」


「黙れ!!さっさと消えろ!!」


 Sランク冒険者は竜人化リュウをからかって楽しんでいるようだ。


「ははは、すまねぇが、何かと面倒見てやってくれ。」


 Sランク冒険者はそう言い残し、消えた。同時に卒業の証が出現した。


「・・・あの方は誰だったの?」


 リーゼはSランク冒険者が名前を告げずに消えてしまったことで竜人化リュウに訊いた。


「知らん。」


 竜人化リュウはプイッとする。


「(ジランドめ。死後400年経っているのに俺を子供扱いするな!)」


 Sランク冒険者の正体は初代国王ジランドのようだ。だが、リーゼたちにその名前を口にしたら、ややこしくなるため、ごまかしたようだ。


「ところで、その姿は何かしら?」


 リーゼがドラゴンの特徴が入った姿のリュウを指摘した。


「(いかん!忘れていた!!)」


 竜人化リュウはドラゴンの特徴を引っ込め、元の二つ角つき人間姿に戻った。


「あ、あれ?戻った。さっき尻尾あったよな?」


 ジャンが指摘した。


「ナンノコトヤラ。」


「さっき牙鋭くなりましたよね?」


 次にミランダが指摘した。


「ナンノコトヤラ。」


「手も鉤爪っぽくなっていたよな?ドラゴンみたいに。」


 カイルが駄目押しかのような指摘した。


「ナ、ナ、ナンノコトヤラ。」


 リュウは焦りを見せ、苦しくなっていた。ここは誤魔化しの一手。


「卒業の証を手に入れたし、帰ろう!!」


 逃げを打つかのようにスタスタ歩き出していく。


「あ、待て!」


 カイル、ジャン、ミランダが追っていく。


「・・・。」


 リーゼは試験官としてその場を待機するようだが、リュウの後ろ姿を見ながら、竜人化となったリュウを想像し、首を捻るのであった。


 こうしてリュウは卒業試験を終え、無事に卒業資格を取得し、騎士貴族学校を後にしたのだった。



◇◇ジランド王国城◇◇



 ネクラが二重、三重顎の丸い物体の冒険ギルドマスターと密談していた。


「ネクラ。お前の流布する説に賛同するものはおるか?」


 ネクラがリュウにジランド様国賊説を説いたものである。貴族の集まりや騎士貴族学校にて時折に話しているようだ。


「キヒヒ。芳しくありませんねぇ。やはり証拠が必要ですよ。」


「ならば探せ。なんとしてでもランドルフ王を失脚させたいのだ。」


「キヒヒヒ。素直に王になりたいと言えばいいでしょ。証拠を見つけた暁には末席に加えさせて頂きますよ。」


「考えておこう。ランドルフ王の失脚させるその時まで魔導兵器を量産せねば。」


「金が要りますねぇキヒヒ。」


「冒険ギルドからたびたびくすねているが、開発資金が足らん。だが、目処はついておる。」


「西方面の亡国ルクテシア王国の件ですかね?」


「そうだ。光魔法のリュウを使うのだ。」


「キヒヒヒ。上手くいけば魔導兵器によるクーデターも夢ではありませんねぇ。」


「私が王となるべく道筋を立てねばいかん。そのためには準備が必要だ。」


 冒険ギルドマスターが悪どい笑みを浮かべながら、ネクラと企てるのだった。



◇◇冒険ギルド◇◇



 リュウを含む瞬光の戦乙女チームが冒険ギルドを訪れた。リーゼがAランク冒険者。メイファ、アイリンがBランク冒険者。リュウがCランク冒険者となっている。


「久しぶりに全員が揃ったニャァ。」


 メイファがウキウキになる。リュウ、リーゼ、アイリンが騎士貴族学校に赴いている間、メイファは単独クエストをこなしつつ金を稼いでいたようである。


「どんなクエスト受けるニャ?」


 リュウたちはチーム向けのクエスト掲示板を眺める。


「私がAランク冒険者になったら、挑戦したいクエストがあったのよね。」


 リーゼがクエスト掲示板から依頼書を取る。


「どんなクエスト?」


 アイリンの問いにリーゼが依頼書を皆に見せる。それには・・・


__________________

覇竜討伐 ランク問わず。

報酬

ドラゴンスレイヤーの称号

騎士伯爵貴族の叙爵

白金貨500枚


クエスト失敗時の罰則 なし

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 と書かれていた。


「ニャニャニャーァ!!」


「本気!?」


 メイファとアイリンが驚き、覇竜であるリュウが頭を抱える。


「(俺を討伐だとぉぉぉぉぉ!!)」


 リュウは心の中で叫んだのであった・・・。

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