第四十二話 騎士貴族学校④
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けていると思いますが、よろしくお願いします!
◇◇ダンジョン・大広間◇◇
リュウたちが大きな扉をくぐるとボスがいるであろうと思われる大広間に入った。ただ肝心のボスが見当たらず、床に魔法陣が敷いてあるのがわかった。
「これは召喚の魔法陣のようですね。」
魔法の勉強しているミランダが魔法陣の種類を特定する。
「その通りよ。これは心に恐怖心を植え付けた魔物、もしくは人間が現れる召喚の魔法陣よ。最終試験は心を巣食う恐怖心の自分に克つことが勝利条件ね。」
リーゼの話によると一人ずつ召喚の魔法陣の土台に立ち、出現した恐怖心の魔物、もしくは人間と戦闘。極力、一人で克つことが望ましいが、相手によってはチームでの戦闘も許可するとのこと。相手が強力で手に負えなければ、リーゼが助けに入るとのこと。※実体のある偽物が相手となる。
「皆、それぞれの恐怖心の相手に心当たりあるだろう。その相手を想定しよう。その相手次第で順番を決めよう。」
カイルの考えに賛同し、それぞれが恐怖心となる相手を各々が思いを巡らす。まずジャンが何故か気恥ずかしそうにカイルに耳打ちする。
「・・・お前が最初な。それは一人でやってくれ。」
カイルの嘆きに近い声色で図らずも一番目がジャンで決定された。ミランダとリュウがジャンの恐怖心の相手が何かわからず「?」と首を捻る。
「私はEランク魔物の大ナメクジかもしれません。初歩の魔法があまり効かずに泣いてしまった過去がありますので。」
「二番目だ。援護しようか?」
「いえ、大丈夫です。」
二番目はミランダに決まった。残りはカイルとリュウ。
「リュウ、お前は最後だ。もしも魔竜が出てきたら洒落になんねぇから。」
カイルが先の戦争に参加したリュウは魔竜と遭遇しているとの判断から最後に回すようだ。
「魔竜は恐怖心と呼べるほどではないが・・・。」
それどころか魔竜は同族で知り合いだ。
「それでもだ。」
カイルはリュウの過去話によって何かが出てくるのかわからず、警戒を高めているようである。
「そうか。」
リュウたちの準備ができたところでリーゼが「そこに立てば、相手が現れるわ。」と指示する。
◇◇ジャンVS???◇◇
まずはジャンが召喚の魔法陣にアクセスする陣に立つと魔法陣が光り輝く。すると相手が出てきた。何やらフライパンを持った年老いたおばちゃんのような姿が。
「やっぱ母ちゃんだぁぁぁぁぁ!!」
ジャンがいつになく恐怖に体が凍りついていた。
「宿題しろってあれほど言ってんのに!!出世してぇんなら頭も強くなんねぇと!!お前は騎士準男爵貴族の跡取りの長男だからさぁ!!でも準男爵じゃダメなんだよ!!暮らしが厳しいんだよ!!だから出世しろ!!」
ジャンを追いかけ回すフライパンを持った老婆。老婆は精神を追い詰められているのか般若顔である。ジャンの家庭環境が垣間見える瞬間を立ち会ったリュウたちが「(苦労しているんだな・・・。)」と同情を禁じ得なかった。
ジャンはどうにか自分に克てたが、げっそりしていたのであった・・・。
ちなみに恐怖心に克つと卒業の証が出現する仕組みである。
◇◇ミランダVS大ナメクジ◇◇
ミランダが召喚の魔法陣によって出てきたのは大ナメクジ。
◇Eランク魔物 大ナメクジ◇
ナメクジが巨大化した姿で溶解液を放つ魔物である。動きは緩慢でそれほど脅威ではない。
「き、気持ち悪い・・・。」
ミランダが距離を取って魔法を唱える。
「火魔法(下級)・ファイアーボール!!」
火の玉が大ナメクジに命中すると特殊な水分を覆っていることから激しく燃えて死滅した。
「あ、卒業の証が出ました。」
自分に打ち克てた証拠に卒業の証を手に入れるミランダであった。
◇◇カイルVS???◇◇
「お前ら、ちょっと離れてろ。俺の恐怖心のやつは多分、でかいやつだ。」
カイルがリュウたちに距離を取るように注意を促す。
「え?マジで?一人でどうにかなるのか?」
ジャンが驚きの目で見る。
「さぁな。お前らは手を出すなよ。」
カイルが召喚の魔法陣にアクセスする陣に立つと大広間中が明るくなるかのように光り輝いた。そして出てきたのは巨大なムカデ。
「Bランク魔物の長老ムカデ!?」
リーゼが驚きの目で見上げる。
「やはりお前かよ。」
「カイル!これは一体どこで?!」
Bランク魔物の長老ムカデは森林奥深くに生息する。冒険者でもない限り、そうそう出会うことはない魔物である。リーゼは学生のカイルが何故、長老ムカデと出会ったことがあるのか?という意味を込めて訊いた。
「以前に親父のスパルタ教育で連れられて、出会ったことがあるんだよ。剣が通じなくてみっともなく漏らしたよ。その時は親父が倒してくれた。」
どうやら親父であるカインズのスパルタ教育によって出会ったことがあるようだ。
◇Bランク魔物 長老ムカデ◇
ムカデが巨大化した魔物。攻守と共に高いレベルを誇り、剣や魔法の耐性が高い。5Mの細長い外骨格からなる体で多足が無数かのように並ぶ。
「ギギッ」
長老ムカデはカイルを認識すると攻撃を仕掛ける。
「千手パンチ!!」
多足が連続でカイルを襲う。
「剣技・受け流し!!」
カイルは長老ムカデの多足を剣で防ぐかのようにかわしながら、長老ムカデの背中を大振りで剣を振るう。
「剣技・一刀両断!」
だが、長老ムカデの固い外骨格により阻まれてしまう。
「今の俺でもダメなのか!」
長老ムカデに対してカインズは余裕で斬ったが、カイルはまだ力が足りないようである。
「ギギッ!」
カイルに目掛けて刺々しい口を開きながら突進する。
「刺々突進!!」
「くっ!」
カイルは長老ムカデの突進をかろうじてかわす。長老ムカデは勢い余ってドゴーンと壁に激突する。その隙に距離を取って、少々時間をかけて魔法を繰り出す。
「水魔法(中級)・アクアショット!」
貫通力の高い魔法をチョイスするが、固い外骨格に阻まれて効かない。長老ムカデがくるりとカイルに目掛けて再び突進する。
「刺々突進!!」
「ちぃっ!!」
カイルが転がるように避ける。その戦いからわかるように劣勢となっていた。
◇リュウたちサイド◇
「お、おい。まずいんじゃねぇ。助けに入った方が・・・。」
ジャンがオロオロする。
「でも私たちじゃ、無理ですよ。」
ミランダが青ざめながら、カイルの戦いを見守るしかできなかった。
「・・・仕方がないわね。」
リーゼが助けに入ろうとする。
「少し待ってくれ。」
リュウがリーゼに待ったをかけた。
「リュウ?」
「カイルは恐怖心に打ち克つため頑張っているんだろ?」
「でもBランク魔物が相手じゃ、厳しいわよ?」
「大丈夫さ。」
リュウがカイルに対して長老ムカデを倒せるはずだと信頼を寄せているようだ。
「・・・私の弟だしね。信じてあげなくちゃ。」
リーゼは弟の心配な感情を打ち消し、改めてカイルの戦闘を見守るリュウたち。
◇カイルサイド◇
長老ムカデの素早い動きでカイルの身体に巻きつく。
「しまった・・・!」
「ギギギッ!」
巻きつかれて動けなくなったカイルの眼前には長老ムカデの刺々しい口があった。間違いなく喰われる寸前の瞬間である。
「(やっぱ俺は弱いのか・・・。)」
カイルは諦めの感情が湧き上がってくる。だが、ふとリーゼとリュウの姿が目に入る。リーゼのその目は明らかに諦めるな!というサインであった。リュウは何やら頭をコツンコツンと指を差している。頭を使えというサインのようだ。
「(リュウ、罠に引っかかっているお前が言うなよ!!)」
カイルは内心、苛立ちを覚えながら、頭を使う。
「(剣が通用しない。親父やリーゼ姉ちゃんは出来るんだろうが、俺には出来ない。なら魔法。親父やリーゼ姉ちゃんは魔法が出来ない。その点、俺は魔法が出来る。でも通用しなかった。俺は弱い。弱いなりに工夫しろって話なんだろ。)」
考える間も長老ムカデの刺々しい口が迫ってくる。
「ちょっと考えさせろよ!!」
カイルが刺々しい口の中に剣を突っ込む。
「いてててて!!」
刺々しい口の中に剣を突っ込んだ腕が擦り傷状になる。だが、長老ムカデが怯んだ。それにより好機が見えることとなった。
「(今なら、魔法で倒せるかもしれねぇが、自爆覚悟になる・・・。)」
ここで躊躇していたら、いつまで経ってもカインズやリーゼに追いつけないと感じたカイルは腕に突っ込んだまま魔法を唱える。
「火魔法(中級)・ファイアショット!!」
ドッカーン!!
密閉近い口の中ということもあり、激しい暴発を起こすことになった。
「ギャァァァァッ!!」
「いてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
カイルは長老ムカデから暴発の反動で吹っ飛んで地面に転がる。長老ムカデはのたち回る。
「(スッゲェいてぇ!!だけど手応えはあっただろ!!)」
カイルが見上げると長老ムカデは手負いを負いながらも迫ってきた。
「嘘だろ!?」
カイルはBランク魔物のしぶとさに愕然とした。そして暴発の影響で腕がボロボロになり、動けずにいた。
「よくやったわね。」
その前に立ちはだかるリーゼが筋力アップスキル「剛腕」を用い、剣を構える。
「剛腕・一刀両断!!」
一直線に向かってくる長老ムカデを真っ二つにした。自分とリーゼとの太刀筋との違いにカイルが乾いた笑みを浮かべる。
「リーゼ姉ちゃんすげぇや・・・。」
長老ムカデを倒したら、ポッと卒業の証が出た。
「カイルがダメージを負わせたから楽に倒したように見えるだけよ。はい。卒業の証よ。」
リーゼから卒業の証を受け取るが、カイルは戸惑っていた。
「俺、倒してないのに?」
「自分に克ったとみなされれば出るのよ。良かったわね。」
「・・・受け取れねぇよ。」
カイルはリーゼに卒業の証を突き返す。
「俺、決めた。卒業式まで時間がある。その間、リーゼ姉ちゃんから一本取ったら、卒業の証を受け取る。いいだろ?」
「いいけれど・・・進路はどうするの?」
「親父の跡を引き継ぐ。そんで魔法剣士を極めて、ジランド王国最強の親父を倒す。」
カイルは自分に克ったことで進路が定まったようだ。
「ふふっ。お父様も喜ぶわよ?」
「どーだかなぁ。目の黒いうちは譲らんとか言いそうだぞ。」
「それよりも・・・腕痛くないの?」
リーゼの指摘にカイルがボロボロの腕を見やる。
「・・・すっげぇいてぇぇぇぇぇぇ!!」
リーゼの長老ムカデ一撃必殺の光景にアドレナリンが大量分泌され、痛みを忘れていたようだ。
「よくやったな。」
リュウがわざとカイルのボロボロの腕をコツンと当てる。
「ギャァァァァァァァ!!この野郎!!」
「俺を足蹴にした仕返しだ。とはいえ、回復させてやらんと使い物にならなくなるな。」
リュウが口から魔法陣が出る。
「回復魔法(中級)(弱体化)・エクスヒール。」
「お、おぉ・・・。」
カイルの腕がみるみる治っていく。
「この回復の速度・・・。アイリンにも引けを取らないわね。」
リーゼが感心したようにふむふむと頷く。先の戦争で覇竜が披露した「エクスヒール」とは違い、弱体化しているが、問題ないようだ。
「カイル。お前が強くなるのを楽しみにしているぞ。」
近い将来、覇竜としてカイルと対峙している。そんな未来を心待ちにしているようだ。
「・・・剣術試合で引き分けたのに上目線だな。回復魔法ありがとよ。」
だが、リュウの正体に気付かないカイルが皮肉じみた言い方をしながらも、感謝する。
「リュウが最後ね。」
リュウに出番を促すリーゼ。
「(魔竜が恐怖心でなければ何が出るのかしら?見たいような見たくないようなそんな胸騒ぎさえ覚えてしまうわ。)」
リーゼがリュウの恐怖心の相手になんともいえない胸騒ぎを覚えてしまう。そんなリーゼをよそにリュウが召喚の魔法陣にアクセスする陣に立つ。カイルたちと同じように魔法陣が光り輝く。
「(とはいえ、俺には何が出るんだろう・・・?)」
世界最強に上り詰めた覇竜に敵など存在しなかったが故に相手が想像できなかったのである。そして召喚の魔法陣が光り輝く中から出てきたのは一人の人間。40代前後の男性で黒い獅子髪に金属鎧を装備し、大剣を帯同していた。
「親父!?」
外見がカインズそっくりで驚きのあまりにカイルが叫んだ。
「いえ、黒髪よ。それに装備がかなり古いわ。」
リーゼがすぐに他人の空似と見抜いた。※カインズは金髪です。
「・・・お前か。あぁ、確かに俺の恐怖心の相手だ。」
リュウの恐怖心の相手に納得したかのような表情していた。
「リュウ、そいつは誰なんだよ?!」
カインズと瓜二つの男にカイルが戸惑いながら、訊いた。
「・・・当時、Sランク冒険者で二度敗北を喫した相手だ。」
リュウの紹介にSランク冒険者が不敵に笑みを浮かべるのだった・・・。
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