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第四十一話 騎士貴族学校③

拙い文章、人物、状況情報などいろいろ欠けていると思いますが、よろしくお願いします!

◇ダンジョン◇

 ダンジョンといっても様々な形態があり、山、森、砂漠、海などの環境から発生される魔力に応じて、ダンジョンが作られる。冒険者が夢見る一攫千金の可能性がある場所。ダンジョンの性質から時に資源になり得ることもある。様々なダンジョンがある中、共通点としては人間サイズ前後でないと立ち入りが出来ず、住み着いている魔物も似たようなものである。


◇◇初心者ダンジョン◇◇


 リュウは卒業試験のため、ジランド王国近くの初心者ダンジョンにいた。


「ではこれよりダンジョンに挑戦してもらう。卒業資格の証を持ってくることがクリア条件となる。」


 ソルが責任者として説明する。その場にはリュウの他にカイルや騎士貴族の子供たちが何人かいた。


「班分けは自由だ。ただし審査兼お目付役がいることを意識してくれ。」


 ソルの説明が終わると騎士貴族の子供たちが「俺と組もう」などと騒ぐ。その中でリュウが一直線にダンジョンの入り口に立つ。


「楽しそうな表情しているな?」


 ソルはリュウを見るなりにそう感じとった。ダンジョンに胸を高鳴らせて目を輝かせていたリュウであった。


「ダンジョンに入るのは初めてだからな。」


「何?初めてなのか?あぁ、冒険者を始めて日が浅いんだったな。・・・一人か?」


 ソルが確認する。


「そのつもりだが?」


「お前の実力は知っているが、ダンジョンが初めてとなると・・・。」


 ソルが顎に手を当て、考え事する。そしてカイルたちを呼ぶ。


「おい。カイル。リュウと組んでやってくれないか?」


 ソルはリュウの経験不足を心配しての配慮のようだ。


「なんで俺が・・・。」


「剣を打ち合った仲だろ。」


「わかったけど、リーダーは俺だ。言うことを聞けよな?」


 カイルは渋々了承した。カイルは背後の二人に声をかける。


「リュウが入ることになったが、いいよな?」


「いいですよ。」


「はーい。」


 カイルが組んでいたメンバーの騎士貴族の子供二人は快諾し、リュウはカイルの他、騎士貴族の子供二人と組むことになった。


 ダンジョン入り口を前にカイルは腰に真剣を携え、黒制服の上に動きやすい革鎧を装備して、入っていった。それに続き、騎士貴族の子供二人も入っていく。最後にリュウが入る。


 初心者ダンジョン内は人の手が入っており、明かりが並ぶように灯されていた。雰囲気としては炭鉱などの坑道に近い。


「自己紹介しようぜ。俺はジャン・イエーガー。槍を使う。卒業後はジランド王国騎士団に入る予定だ。」


 ジャンは男性で兜に全身鎧を装備していた。武器は槍である。


「私はミランダ・ウィザード。魔法使い。卒業後は魔法を極めるために魔法大学に入る予定です。」


 ミランダは女の魔法使いであった。杖を持ち歩いている。


「リュウだ。冒険者活動している。よろしく頼む。」


「Cランク冒険者が一緒だと頼りになるな。」


 二人はリュウのCランク冒険者という肩書きが魅力的に映っているのか、思いの他、好意的であった。


「我らがリーダーのカイルは卒業後、どこに行くんだ?」


「特に決まってないな。」


「カイルなら、進路先は引く手数多だろうに。」


「・・・私語は慎めよ。警戒は怠るな。」


 カイルがこの話題に触れられたくないのか、注意を促すと二人は黙る。


「リュウ、ダンジョンは何回潜った?」


「いや、これが初めてだ。」


 カイルはピタッと足を止める。


「初めて?ぐわぁ、ソル先生、押し付けたのか?!」


 カイルがやられたという表情を出した。


「ということは面倒を見ながらクリアしないといけないわけ?」


 カイルが頭を抱えるとジャンとミランダの先ほどの好意的な表情が一瞬で曇った。


「(なんてひどい言い草だ。)」


 カイルたちの面倒そうな表情に不満を覚えるリュウ。


「初めてじゃ、何か問題でもあるのか?」


「初心者ダンジョンといえども、罠がありますから、気をつけて進まないと・・・。」


「え?」


ポチッ


 ミランダの言葉がフラグとなるかのようにリュウは足元のスイッチを踏んでしまう。


「「「「・・・・。」」」」


 四人が顔を合わせる。どことなくゴゴゴゴッと人を押し潰せるほどの大岩が迫ってきた。


「うぉぉぉぉぉ!走れ、走れぇぇぇ!!」


 カイルの言葉にリュウたちが走り出す。その道中におあつらえむきに横道を発見し、そこに避難すると大岩が通り過ぎる。


「「「「ふぅー。」」」」


 四人が息を整えるのも束の間、「グルル・・・。」と唸り声が聞こえた。


「下っ端ウルフだ!」


 リュウたちは下っ端ウルフと呼ばれる四匹とエンカウントした。どうやら大岩で誘導させ、魔物と出会う二段構えの罠であった。


◇Gランク魔物 下っ端ウルフ◇

 狼系魔物で一番弱い狼である。


「各個撃破!動きをしっかり見れば、怖くないぞ!!」


 リーダーのカイルが指示を出す。その通りに普通にやれば、リュウたちの敵ではない・・・が、リュウは真剣を構えていた。


「(よし、俺の剣を試すいい機会だ!)」


 リュウはカイルと剣を打ち合い、剣が上達した手前、調子に乗って真剣で倒そうとしていたのだ。


「うぉぉぉ。」


 かけ声と共に下っ端ウルフに向かって真剣を振りかぶるが、スカッと避けられる。


「(あれ?)」


 もう一度やってみるが、簡単に避けられる。


「(何故だ?)」


 カイルや騎士貴族たちの子供たちとの対人戦とは違い、相手は四足歩行魔物。四足歩行の動きに適応した剣を学んでいないため、意外と苦戦していた。その一方、カイルやジャン、ミランダはそれぞれの下っ端ウルフを倒していた。


「リュウ、遅いぞ。」


「私たちの足を引っ張らないで欲しいですね。」


 ジャンとミランダがリュウの戦いぶりを観戦していた。


「俺はこんな奴と引き分けたのか・・・。」


 カイルはリュウのへっぽこな剣術に引き分けたのかと恥を感じていたようだ。


「(剣を振るうのも面倒臭くなってきた。)」


 リュウは真剣を鞘にしまい、爪を伸ばす。


「ドラゴンクロー!!」


 いつもの攻撃で呆気なく下っ端ウルフを瞬殺する。


「おぉ、爪が伸びた!!」


 ジャンとミランダが驚く。


「そんなんのがあるなら、最初からやれよ!!」


 カイルが時間の無駄とばかりに両手を広げ、アメリカンポーズをとる。


「悪い。」


「まぁいい。さぁ、慎重に進むぞ。」


 四人は迷路かのように入り組んでいる通路を進む。


「待て。ここで止まれ。」


 カイルの言葉にリュウたちが止まる。カイルの先を見やると何やら横全面に穴だらけの通路が見えた。


「これは先を進むと矢が出てくる仕掛けだな。」


 横全面の穴には矢が詰まっており、通ると串刺しになる仕様である。


「本当に矢が出てくるのか?」


 リュウが一見して、知らないからこそ疑いの言葉を漏らした。


「・・・死にたければ、行けば?」


 カイルがジト目でリュウを見る。


「ふむ?」


「お、おい?」


 リュウが試しにと横全面の穴だらけの通路に足を踏んだ。すると横全面の穴から矢が飛んできた。


「おぉ?」


 その矢が体に刺さるが、リュウは頑丈なため、威力は大したことないようだ。その行為にカイルたちが驚く。


「あぁ、そういや、蜥蜴族と人族のハーフだから頑丈なのか。それじゃ、鎧いらずだな。」


 ジャンが思い出したかのようにポンと手を叩く。その間もリュウは一歩と足を進めると眼前に横切るように矢が飛ぶ。


「こんなに矢が飛んできては煩わしいな。それでここはどうやって通るんだ?」


「様々な方法で強行突破もあるが、迂回しよう。極力怪我は避けたいところだ。」


 カイルは無理に突破しても怪我されては困るし、影にいるであろう審査兼お目付役によって減点対象になるかもしれないとのリーダーとしての判断を下し、迂回することになった。その道中でいくつかの罠が張られており、主にリュウが引っかかってしまう。


「ぐべっ!」


 足元のスイッチを踏むと突如、壁がパンチ形状にリュウの顔にぶつける罠。


「べべラッ!!」


 リュウは宝箱を見つけて、意気揚々に開けると宝箱が変貌するかのように尖った歯を見せ、ガブッと顔を食われた。宝箱に擬態している魔物であった。※無論、退治した。


「ファガッ!!」


 霧状の部屋にて自分の欲望を幻として見せる罠に遭い、リュウは大岩が美味い肉に見えたため、ガブリついた。その拍子に我に返るとカイルたちが「・・・・。」と溜め息ついた。


◇◇◇◇◇


「ここで一旦、休憩しよう。」


 カイルの言葉にそれぞれが座り込む。


「リュウ、お前、そんなんでよく冒険者としてやっていけるな?」


 罠に引っかかりまくるリュウの姿に心配に似た感情を覚えているカイルであった。


「うっ、確かにリーゼたちに助けられている面もある。」


「そうか。ところで、リーゼ姉ちゃんに勝ったのは本当か?」


 Dランク冒険者試験の際にリーゼとの試合のことを訊いているようだ。


「あぁ。」


「リュウを見ているとそう思えないんだよな・・・。」


 ダンジョン内でのリュウのヘマっぷりから、実力に疑問を持っているようである。


「親父もリーゼ姉ちゃんもお前を話題にするしさぁ。」


「なんて?」


「親父の方はリーゼ姉ちゃんにリュウの動向をよく訊いているな。リーゼ姉ちゃんも目が離せないと言っていたな。トラブルを起こして前科者なんだろお前。」


 偽貨幣疑惑事件とスイートルーム宿泊事件がカイルに知れ渡っているようだ。


「(俺の行動が筒抜けじゃねぇか・・・。)」


 後でカインズとリーゼに少しは自由にさせて欲しいと言っておこうと思うリュウであった。


「気にかけられているお前が羨ましいぜ。」


「何故だ?」


「俺なんて剣も魔法も中途半端で強いて言えば、器用貧乏ってやつか。剣で親父にもリーゼ姉ちゃんにも勝ったことがなくてな。ソル先生にもな。」


「・・・・。」


「進路でも迷ってんだよな。騎士伯爵家当主の跡継ぎという道もあるんだが、親父の実力から言って俺には見合ってないしさぁ。リーゼ姉ちゃんに跡を継いで欲しいんだけど、その気がないみたいだし。進路のアドバイスを求めたが、自分の人生は自分で決めろって親父もリーゼ姉ちゃんも言うしさぁ。こっちがいいとか言ってくれれば少しは楽だし。冒険者もいいなと思っているんだけどさぁ、なんでリュウは冒険者になろうと思ったんだ?」


「それを俺に訊いたら進路が決まるものか?」


「参考にだよ。同い年が進路を決めていたら、どうしようかと焦りもする。その点、リュウは冒険者活動し、戦争で活躍して騎士貴族になったじゃないか。」


 迷える若者らしい悩みを吐露し、リュウの人生観を参考にしようというのだろう。


「(カインズ、息子の悩みをもっと聞いてやれよ。ドラゴンの俺に人生相談されても困る。迂闊に返事したら、その者の人生をぶち壊しそうだ。)」


「そうだな・・・。」


 参考程度なら話してもいいだろうと判断し、相談に乗ることにしたリュウである。


「人間になりたいと思ったのは400年前・・・ゲフンゲフン。」


「400年前?」


「なんでもない。」


 リュウは冒険者になった理由を語るつもりが、人間に誤変換されて勘違いしてしまったのである。だが、その拍子にかつてのドラゴン時代を思い出す。


「昔の俺は弱く余裕がなかった。弱肉強食。戦いの連続だった。」


 ジランド王国の外から来たリュウの発言に異種族という設定も相まって説得力があるのか、カイルたちが黙って聞く。


「・・・だが、出会いはあった。その出会いが俺を強くさせてくれた。」


 リュウの脳裏に初代国王ジランドの存在があった。ただ、その影にもう一人の存在が見え隠れする。


「・・・。」


「冒険者を志したのは様々な経験を共有できる仲間と旅して、色々見てみたかったという単純な理由だ。流れで騎士貴族になってしまったが、本質的に変わらない。お前は進路で迷っているようだが、それはカインズやリーゼを倒したら見えてくるかもしれない。」


「・・・俺が?」


 カインズやリーゼを倒すビジョンが思い浮かばないカイルが鈍い反応を返す。


「お前はカインズやリーゼに遅れを取っているかもしれないが、それは死線を潜り抜け、積み重ねた実力だ。年季が違う。」


「年季の差って言うならいつまでも経っても追いつけないだろ。」


「そうでもないさ。お前に出来て、カインズやリーゼ、ソルに出来ないのは魔法だ。」


「・・・魔法か。」


「俺は戦いの連続で様々な人間を見てきた。魔法剣士というのもいた。あれはなかなか曲者だった。」


 ドラゴン時代の経験から思いを馳せながら、アドバイスする。剣と魔法は戦術に組み込むのが難しいが、極めれば短中長距離の間合いに臨機応変に対応が出来るオールマイティな魔法剣士。


「俺に出来るのか?」


「カインズなら出来る出来ないじゃない、やるんだ!と言わないか?」


「親父ならそう言うな。意外と親父のことを知ってんだな?」


「ははは・・・。」


 カインズとは昔からの知り合いだとしても15歳という年齢に齟齬があり、乾いた笑みを浮かべるのだった。


「コホン。人間は知恵、工夫、技術など色々駆使し、いずれは四大竜を打倒しえるかもしれないとな。それくらい無限の可能性を秘めている。」


 リュウは遠い目しながら世界最強と恐れられている四大竜が人間たちにやられる未来が来るかもしれないと考えているようだ。その時は自分も死ぬだろう。その雰囲気にカイルたちが呑まれたかのように言葉を失っていた。


「・・・どうした?みんな?」


「・・・本当に15歳だよな?俺と同じ年だよな?」


「・・・ハイ、ソウデス。」


 リュウは誤魔化すように目を泳ぎながら、返事した。


「そ、それにしちゃ、雰囲気が半端なかった。」


「そ、そうです。」


 ジャンもミランダも戸惑っていた。どうやらカイルたちはリュウの得体知れない雰囲気を感じ取ったようだ。


「と、とにかく十分休憩したろう?行こう。」


 カイルの声かけによりダンジョン攻略に進むのであった。


◇◇◇◇◇



 リュウたちは時折に出る魔物たちを倒しながら進むと行き止まりに当たる。


「行き止まり・・・か?」


「さっきの分かれ道に引き返すか?」


「そうですね・・・。」


 カイルとジャンとミランダがキョロキョロとする。そんな中、リュウが壁にみよがしにスイッチを発見する。


「(これを押せばいいんじゃないのか?)」


 リュウがポチッとスイッチを押す。カイルとジャンとミランダが一斉にリュウを振り返る。


「今、何を押した!?」


 当のリュウは手をついた壁から離すとスイッチが露見される。


「そ、それはぁぁぁぁぁ!」


パコッ


「え?」


 リュウの間抜けな声と共に足元の地面が開き、四人は落ちる。落とし穴であった。


「馬鹿野郎おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 カイルの叫びがこだまとなって響いて、四人は落ちていった。


ドッシーン


 頑丈なリュウが一番に地面に落ちた。


「いたたた・・・。」


 這いつくばっているリュウの上にカイル、ジャン、ミランダが次々と降ってきた。


「ぐぇぐぇぐぇ・・・。」


 リュウは降ってきた三人に押し潰されるように下敷きになった。


「ここは・・・。」


 三人が顔を上げると続いてリュウも顔を上げると大きな扉が目の前にあった。


「まさかそんな登場の仕方をするとは思わなかったわよ。」


 目の前にリーゼがいた。


「リーゼ姉ちゃん?」


 リュウたちが立ち上がる。


「ここがゴールよ。ただし卒業の証はこの扉の先にあるわよ。」


 どうやらリーゼは試験官として務めるようだ。リーゼの話から、リュウたちはダンジョン最深部に辿り着いたようだ。だが、辿り着いただけで卒業の証は貰えないようだ。


「この先にボスがいるってことか?」


 大きな扉を前にカイルがリーゼに訊く。


「さてね。最終試験であることは確かよ。この先は自分の目で見てちょうだい。」


 カイルはリーダーとして色々想定をリュウたちに共有し、準備する。


「準備は出来たようね。」


 リュウたちは大きな扉の先に何がいるのか心構えしながら開くのであった・・・。

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