第三十三話 魔竜編完結。
拙い文章、人物、状況情報など色々欠けてると思いますが、よろしくお願いします!
ジランド王国とディモール王国との戦争は覇竜と魔竜の介入もあったが、ジランド王国の勝利となった。ディモール王国軍が控えていたが、覇竜と魔竜の二体に早々に降伏していたのだった。
カインズが城下町を見渡せる展望台にいるとセバスチャンが登場した。
「早い到着だったな。」
「先行隊を引き連れて参りました。事後処理はお任せください。」
セバスチャンが連れてきた先行隊にソルたちも含まれていた。
ソルたちが暴れ回った魔竜によって崩落したディモール王国城を見上げる。
「もう終わったのか。」
「四大竜の二体が睨みを効かせているのでディモール王国軍も黙り込んでいますね。」
ソルとシンが覇竜たちを見やる傍らポチがキョロキョロとする。
「メイファは?」
ポチが心配そうに口にするとすぐに見つかる。リーゼたちも同じく崩落したディモール王国城を見上げていた。
「メイファ・・・。」
ポチが声をかけようとするもメイファの沈痛な表情に黙り込む。
「おとっさん・・・仇は取ったニャ・・。」
メイファが天を見上げる。
「アイリン・・・。」
シンもアイリンに声をかけようとするもポチと同様に黙り込む。
「みんな・・・見ている?私たちは勝ったよ・・・。」
アイリンが滅んだエルフの里の同胞に語りかけているようだ。
ディモール王国の人族至上主義によって滅ぼされた異種族である獣人族とエルフ族、その他の種族の胸中に渦巻く感情ははかり知れないものであった。
「・・・メイファ、アイリン。」
リーゼがメイファとアイリンを抱き寄せ、慰めていた。
その様子に声をかけるのをやめるポチとシン。
「・・・俺たちは弱いワン。」
「・・・えぇ。」
異種族のポチとシンが想い人の姿に歯痒い思いを抱いていた。ポチは獣人族の里が滅ぼされた時はまだ子供であった。シンはアイリンと共に戦ったが、エルフの里を滅ぼされ、命からがら逃げてきた。
「ポチ、シン。僕たちは強くならねばな。」
ソルがそんな二人に声をかけた。ソルもまた魔竜と対峙し、自分の弱さを露呈してしまった。それを恥じていた。
そんな傍ら、魔竜が覇竜に話しかける。
『ちょっとぉ〜。あちこち怨念を感じるんだけどぉ〜。』
魔竜が目の見えない気配に気持ち悪さを感じていた。
『どうやら、ディモール王国に恨みを持って死んでいった奴隷たちが怨念となっているようだな。』
覇竜が同様にそう感じとった。
『このままいったら、ゴースト系の魔物が出るわねぇ。』
『昇天させてやるか。』
『ほっといたらぁ?』
『そうはいかんさ。』
覇竜が光魔法を唱える。
「・・・迷いし魂よ。顕現し、昇天せよ。光魔法(極大)・昇天の光!!」
ディモール王国一帯に一斉に幽霊が出る。
メイファの目の前に猫の獣人族の腕っぷしの強そうな男性の幽霊が現れ、「おとっさん!!」と叫んだ。メイファの父は笑顔でメイファを撫でる。
アイリンもまた「みんな・・・。」と顔馴染みのエルフ族の幽霊が数人現れていた。
「げ!親父!?」
ポチの前に怒り顔の狼顔の獣人族が現れていた。どうやらポチの不甲斐なさに怒っているようである。
「長老エダリー様!!」
シンが土下座しながら、顔を上げる。どうやら滅んだエルフの里の長老のようである。杖をつき、朗らかな表情であった。
ソルが「な、なんだ?」と周りを見回すとあちこち異種族の幽霊が現れていた。ディモール王国に恨みを持って死んでいった幽霊たちのようだ。
「こ、これは覇竜様が・・・?」
リーゼが突然の光景に覇竜の仕業だと思い、振り向く。覇竜はにやりと口元を吊り上げていた。
メイファの父が覇竜の方に振り向く。礼を含め、まるで娘を頼むと言わんばかりの表情で頭を下げた。そしてメイファに手を振って別れ、天に還っていった。
数人のエルフ族の幽霊もまた覇竜に頭を下げ、アイリンと別れ、天に還っていった。
ポチの親父も長老エダリーも同様であった。
ディモール王国に現れた多種多様の種族の幽霊も満足そうに天に還っていく。天を見上げるリーゼたち。
「覇竜様のおかげで散っていった同胞も救われ、ディモール王国にいた様々な種族の奴隷を救えることができたわね。」
三人一様に涙目を浮かべ、笑顔になる。その様子を見ていた覇竜もかすかに口元を緩む。
 ̄ ̄場面転換 ̄ ̄
ディモール王国城の展望台からカインズとセバスチャンが幽霊が天に還っていくのを眺める。
「覇竜様ですね。感謝ばかりしかありません・・・!!」
「あぁ・・・。みんな、あっちで元気にやれや。」
二人は心なしか救われた表情で見上げていた。すべて還るのを見届けたのちにカインズは難しい表情で腕を組む。
「ダークの姿がなかった。まだこの先何か起こるかも知れねぇな・・・。」
「・・・賢者マクスウェルは闇の魔法使いのダークを弟子に取り、様々な研究に付き合わせたと聞いております。」
「隷属の腕輪にクレイジーコメットの最強魔法・・・ブラックスライム。」
カインズは溜め息をついた。
「マクスウェルはなんてやっかいなもんを次々と開発しやがって。オレたちに後始末を押し付けて逝くなっつーの。」
カインズは恨み節を残し、セバスチャンと共に事後処理に走るのだった。
 ̄ ̄場面転換 ̄ ̄
異種族の幽霊たちがすべて天に還るのを見届けたリーゼたちは事後処理に奔走すべく足を向けようとしたが、思い出したかのように覇竜に駆け寄る。
「リュウは・・・あ、魔竜の攻撃で飛ばされた方なんですけど・・・。覇竜様のお力で場所を探り当てられますか?」
「(む・・・。これはまずいな。早く人間に戻らねば。)」
覇竜はディモール王国城近くの森林にいると答えた。
「リュウを迎えに行くニャー!!」
「リュウ・・・!!」
メイファとアイリンが駆け出そうとするが、リーゼが手で制止する。
「そうしたいのは山々なんだけれど・・・。」
リーゼが事後処理のことを気にしていた。リーゼは冒険者でもあり、騎士伯爵貴族の立場でもある。ましてかの最強騎士カインズの娘。
メイファが「えー。」とブーイングの声を上げるが、ソルたちが「行ってこい。」と声をかけた。
「いいの?」
「リュウが生きているのは驚きだが、動けないかもしれんからな。事後処理は僕たちに任せるといい。なぁに。君たちは魔竜と戦ったんだ。文句言う者はいないだろうよ。」
「・・・ありがとう。それじゃ、行ってくるわ。」
タイミングを見計らったように覇竜は魔竜と小型炎竜に目配せする。
「さて、私たちも帰るとしよう。」
「何から何まで本当にありがとうございます!!」
リーゼたちもソルたちも頭を下げる。それどころか周辺にいた先行隊の騎士たちも冒険者有志たちも頭を下げた。
「いずれ瞬光の戦乙女チームで覇竜様とお手合わせすることを望んでいます!!お慕いしています!!」
リーゼが謝辞を述べるとくすぐったいのか覇竜は「ふふ・・・。」と笑う。その背後に様子を見ていた魔竜と小型炎竜の姿があった。
覇竜たちが飛び去っていくのを見届けたリーゼたちはリュウを迎えに行くため、近くの森林に入っていく。
 ̄ ̄ディモール王国近くの森林 ̄ ̄
覇竜は銀色輝く巨体に似合わずこそこそと挙動不審に周りを見回す。
「よし、誰もいないな・・・。人化魔法・人間変化!!」
覇竜は白い煙を盛大に吹き出し、二つの角つきの人間で冒険者姿のリュウに変身した。だが、陰ながら見ていた物体が二体。
『あ~ら~。見ちゃった。』
リュウがビクッと振り向くと魔竜と小型炎竜がいた。
『魔竜・・・何の用だ?』
『いやね~。私も人間になりたくてねぇ』
『・・・は?』
予想だしない言葉にリュウが間抜けな声を出す。
『覇竜と人間との関係を見てたらねぇ~。人間になるのもいいかなと思ってねぇ~。』
『お姉様が人間になるのなら私も人間になりまーす!!』
魔竜に追従する小型炎竜が元気一杯に声を出した。
リュウは「・・・ふぅ。」と一息入れた。その表情は反対でもなかった。むしろ仲間が増えることに喜びを垣間見せるような雰囲気であった。
『人間になるのはいいが、人族の言語を覚えなきゃいけないんだぞ?』
『私は750年生きてるわ。なんとなく理解してるから、いけるわ。』
『が・・・がんばります!!』
魔竜と小型炎竜の答えにリュウは頷き、リュウの口から魔法陣を出す。魔竜たちに「人化魔法・人間変化」をかけた。白い煙が盛大に吹き出し、影ながら縮んでいく。そしてドラゴン二体が人間の二人になった。
魔竜はウェーブのかかった黒髪ロングヘアーで巨乳グラマーな女性に変身した。頭に二つの角つきで肌が色黒であった。
小型炎竜はピンクのツインテールのロリ美少女に変身した。頭に二つの角つきで肌は色白。
こうしてみると片や美貌溢れた魔性な女性。片や元気一杯ロリ美少女。ジランド王国に行けば十人が十人振り向くだろうと思われるほどである。メイファの色仕掛けが効かなかったリュウでさえ不覚にも照れてしまい、そっぽ向いた。何故なら二人は裸であった。※リュウはドラゴンが相手だと欲情します。
『人である俺はリュウだ。だから魔竜も炎竜も名乗る名前を考えてくれ。』
『あら~。じゃ、クレアと呼んで~。』
『私はエンカにします!!』
名前が決まったところで魔竜ことクレアが『ところで~。なんでそっぽ向いてるの?』とリュウにしがみつく。巨乳を押し付けられ戸惑うリュウ。ロリ少女のエンカが『私も!』とぺったんこの胸を押し付ける。
『私ね。つがいが欲しいの。リュウならいいかなと思ってるよねぇ~。』
『私も大きくなったら、つがいに立候補します!!』
ドラゴンである二人の誘惑に押されるリュウ。
『い、いや・・・それよりも・・リーゼたちが来るとまずいから服をだな・・・。』
リュウがドギマギしているとタイミング悪くリーゼたちがやってくる。
「木の倒れた方向にリュウがいるはずよ。」
リュウは魔竜のドラゴンブレスによって飛ばされた際に木々をへし倒しながら、落下した。リーゼたちはその木々を辿りながら、やってきたようである。
「あ・・・。」
リーゼたちにとって見知らぬ女性二人とべったりしてるリュウを目撃した。メイファが「ニャニャー!!」とフシャーッしながら、見知らぬ女性たちを引き離しにかかる。
「リュウが生きてたのは嬉しいけど・・・新たなライバル・・・。」
アイリンが冷静ながらも闘志をむき出しにしていた。
「・・・。」
リーゼは無言でゴゴゴゴ・・・怖いオーラを放ち、オリハルコンの剣を手にリュウに向ける。
「待て・・・ち、違うんだ!!」
リュウが慌てて手で制しようとした。
「私たちが必死になって戦ってたというのにリュウはここで何してるのよー!!」
オリハルコンの剣を振り回すリーゼから逃げるリュウ。
「俺も(覇竜になって)頑張ったのに報われないなんてあんまりだぁぁぁぁぁー!!」
リュウの叫びが天にまで響いたのだった・・・。
第一章 魔竜編完結。
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