草創期 《ヤゲロー1》
みなさん久しぶり!最近ゲームにはまったしまったからなかなか書けない!
ユーロピア最東部に位置する国ヤゲロー大公国は、ユーロピアで最も異質な国の一つであると言える。
かつて、ユーロピア帝国は東西に分裂し、西は滅び、東は現在も超大国として君臨している。西にはかつて、五公と呼ばれるブリマニカ公、ガリア公、ヒスパニア公、ローマ公が権力者として君臨し、西ユーロピア帝国を滅ぼしたのだ。つまり、今のユーロピアのほとんどの国は西ユーロピアの流れをくんでいる
だが、ヤゲロー大公国は違う…かの国はかつて東ユーロピア帝国から大公位を授い、ギリシア帝国の属国として今までその血脈を保ってきた。かの国は忠誠心がとても厚く、10年前のビザンティウム包囲戦では、包囲に加わらなかった数少ない国の一つである。
だが、現在は…
「大可汗のお言葉である!しかと聞け!ヤゲロー大公、ヤン公ヤギェウォ・ボレスワフ!直ちに出兵をし、ギリシア帝国を討ち、忠誠を示せ!」
その言葉を一人の男が静かに聞いていた
「わかった。軍は出兵しよう…ご苦労であった。使者殿はゆるりと休まれよ」
大汗国の使者は礼を取らず、ズカズカと退散する
使者がいなくなったあと…
ヤンが机にあったグラスを床に叩きつけ、机を蹴り落とす。
「ふざけるな!蛮族風情がァ!調子にのりやがって!我々は貴様らの属国になった覚えはないぞ!我々は!由緒があるユーロピア帝国の第一家臣なのだぞ!」
10年前、ギリシア帝国が攻められたとき、ヤゲロー大公国は援軍を出し戦った。ギリシア帝国では大勝利したが、その後に大汗国が10万の騎馬軍団を率いて攻め混み、ヤゲロー大公国は屈辱的な講和を結ばされたのだ。毎年莫大な貢物をさしださなければならないのだ。
ヤンは一端息をつき、懐から一通の封書を取り出す。封書には双頭の鷲が描かれていた。
封書には…
今ときぞ、我らがの忠臣であり、友であるヤゲローを救うときぞ!我らに従え!従った暁には貴公には王号を授けようぞ!さぁ、友よ!立ち上がるのだ!
と書かれていた。
「閣下…いかがなさいますか?」
ヤンは封書を蝋燭の火に近づける。封書はメラメラと燃える
「使者を呼べ!」
「御意!」
皆が頭を垂れる
両国の使者がヤンの前に並ぶ
大汗国の使者が泡を喰ったように叫ぶ
「どういうことだ!何故ここに帝国の使者がいる!貴様ら!大可汗の忠誠を忘れたのか!」
「黙れェツ!貴様ら蛮族の話はもう聞き飽きた!こいつを俺の前に連れてこい!」
ヤンは怒鳴り声で連れてこさせる
「なっ、何をする!」
ヤンは剣を抜き、首を刎ねる
「こいつを串刺しにしろ!そして、奴等に引き渡せ!全面戦争だ!」
帝国の使者は臣下の礼を取る
「皇帝がお喜びですぞ!ヤン国王殿!私はこれにて御免!」
帝国の使者は大急ぎで城を飛び出す
「スタニスラフ将軍!いるか!」
ヤンが大声で呼ぶ
「ここに!」
異常なぐらい太った男が現れる
「奴等を…タタールを倒せるか!」
タタールとは、大汗国の蔑称である。
「倒せます!故に、閣下にはお願いを!現在公都に1万各地に2万ございます!3万の追加兵を希望します!」
スタニスラフが要求する
「なんと…我が国の全軍に相当するぞ…」
他の大臣が呟く
「やれるか!」
ヤンが再度問う
「ここで全力出さねば確実にヤゲローは滅びますゆえ、ここで全力出すのも賭けですぞ!」
スタニスラフが言う
「やれ!お前に任せたぞ!ピウスツキ!お前は副官だ!」
立派な髭を生やした男が頭を垂れる
「今こそ10年前の屈辱をはらすときぞ!」
ヤンが高らかに叫ぶ
あのときは自分はまだ10と6しか歳を重ねておらぬが…今は10年かけて、奴等の恨みをためた
父上…見てください…
ここは…六神の聖地の一つ、キエフ帝国軍本陣
「よくぞいらした!スタニスラフ将軍…だいぶ太られたようだ…」
帝国軍大将軍の一人である上将軍ガイウスが握手してきた
「ははは…妻たちが作る料理が美味しすぎて…このようなダラシナイ体になってしまった」
スタニスラフは苦笑する
「なるほど…それは幸せですな!現在の妻は何人いるのですかな?確か前回は4人といっておられたのだが…」
ガイウスが苦笑しながら問う
「7人に増えました…毎日7人が作った料理を食べますからなぁ…イヤー、量が多くて多くて」
スタニスラフはでっぷりと出たお腹をさする
ガイウスの隣にいた副官が眉をひそめる
「ああ、ルキウス君…君は信心深かったね。彼はただ淫欲に走ったわけではないぞ。彼は自分が治める領地にいる貧しい未亡人を保護しているのだよ。保護されるうちに何人かの女性が彼に求婚するんだ。ちゃんと彼を愛してる女性だよ…皆は」
オホンと咳をし、
「紹介しよう!年はまだ若いが実力は確かにある下将軍のルキウス君だ」
ルキウスが頭を下げるが顔は嫌そうに歪める
「こらこら!そんな顔をするな!スタニスラフ将軍は我が国の救国の英雄の一人だぞ!ちゃんと陛下から勲章を貰っておる!」
ガイウスが怒ると
ルキウスは慌てたように頭を下げる
「お前は見た目だけで彼を判断したな!彼の戦い方を学べ!…失礼した。そちらの副官は…」
ピウスツキが前に出る
「初めまして、ピウスツキと申します」
「ピウスツキ…君がタタール共からクラクフを守り抜いた名将か…話は聞き及んでいるよ」
ガイウスはにっこりと笑う
ピウスツキは頭を下げる
「では、現状は…」
スタニスラフが地図を覗く
「今我々はキエフ近郊まで来てる。途中に10万の騎兵と当たったが全滅させた。我が軍の損害は5%のみ、現在裏将軍にキエフ各地で暴動を起こさせており、奴等も鎮圧に忙しいだろう」
ガイウスが説明する
「なるほど…では、次はどうします?」
「奴等は本陣を常に移動させており、現在何処にいるかは裏将軍の情報待ちだ」
ガイウスがやれやれと首をふる
スタニスラフがある一点を指差す
「この地かと…」
「ん?ここか?」
ガイウスが首をひねる
そこは、周囲には何も町がない只のだだっ広い草原だった。
「奴等は現在鎮圧に忙しい、しかし鎮圧できずに逃げ出す可能性が高い。逃げ出すルートを絞るとここが唯一の逃げ道となるだろう」
スタニスラフはここを睨む
「報告です」
黒い覆面にマントを背負った男が現れる
ガイウスは手紙を読み、皆に見せる
「裏将軍からの連絡だ。敵は占領していた都市を次々と放棄、撤退に入った。進む進路の予測は…驚いたな!スタニスラフ将軍…お前の言った通りになったぞ!というわけだが…急げ!お前らこの地点まで急ぐぞ!」
「待ってください…ガイウス殿!」
「ん?どうしたスタニスラフ…このまま敵をひねりつぶして…いや、頭を冷やそう。焦る必要はないな…」
ガイウスは苦笑する
「ええ、このままゆっくりと進軍しましょう。今急げば敵の思うつぼです。兵站をおろそかにしてはいけません。じりじりと進み、敵を焦らせましょう。持久戦はこちらが有利です」
帝国軍はスタニスラフの言うとおりにじりじり進んだ。途中、敵は我慢できず、何度も襲撃してきたが、難なく撃退する。途中の襲撃も、歩を進めるたびに回数と兵が減っていく
とある夜、本陣にて…
「今から軍議を始める。敵はどうやら決戦を挑んでいるようだ。裏将軍の連絡によると、この先50㎞先に集結しているようだ。奴らの全部族と未だに解放されてない都市からの徴兵で構成された兵約30万だそうだ」
ルキウスが報告する
ガイウスは広げた地図をにらみ、駒を動かす…何度もシュミレーションしているようだ
「こちらはヤゲロー6万を入れて60万…奴らはほとんどが騎兵だ…スタニスラフ将軍!貴国は一頭の馬を何人も共有することで事実上全員騎兵になれると聞いたが、本当か?」
ガイウスが問う
「そうでございます」
意外にも答えたのはピウスツキだ
「ほう、では、ピウスツキ殿!何頭足りない?全部貴国に渡そう!その代り、明日私の指示に従ってもらうぞ!」
「ハッ」
ピウスツキは膝をつく
「スタニスラフ将軍…今夜は徹夜だ。勝率を少しでも上げるぞ」
日が昇る前…
二人の男は目を充血させ、全身汗をダラダラに垂らし、一枚の紙を残して倒れる
「ルキウスです…入りまッ、ガイウス大将軍!んッ、これは…やったのですね!全軍に報告しますのでお休みください」
ルキウスは猛ダッシュで退出する
限界動員数を100万は優に超える帝国軍はその数の多さから、将軍の上に大将軍という役職を設置している。大将軍は全部で6人おり、序列の高い順から上、中央、左、右、下、裏と名付けられている。彼らは戦時は10万以上の兵を指揮し、普段5万以下の兵を指揮する将軍とは一線をかす。そして、帝国軍は将軍の数もほかの国とは格段に多く、その数は100に上り、明確な序列がつけられている。
今回の北上軍は大将軍3人と将軍40人の編成である。
では、残りの兵はどこにいるのか?
それは、ギリシア帝国、大汗国と肩を並べる三超大国の一つ
サラセン朝日が昇る地を
滅ぼしたところだ
残りはサラセン朝日が落ちる地と大汗国のみだ
とある大平原…
眼前には30万近くの騎兵が並んでいた…ここから見ると壮観である
「全軍配置につけ!20層になれ!」
ルキウスが指令を出すと
横に控えていた太鼓兵と角笛兵が一斉に合図をする
全軍、足並みをそろえて移動し、陣形を保ったまま前進する。あっという間に陣形が完成した
「んん?縦深の陣になったな…側面攻撃を恐れたわけではあるまい…それよりなぜ、我ら騎兵が後ろなのだ」
ピウスツキはため息をつく
「まぁまぁ、ピウスツキ君。これには理由があるんだよ。僕らは切り札なんだ。一番最後に投入しなければならない、いわば最終兵器なんだ。待とうか?その代り、帝国軍が犠牲になってくれるよ」
スタニスラフは皮袋の水筒を持ってきて、中の紅茶をぐびぐび飲む
戦いは急に始まった。敵の10万の騎兵が一斉に突撃したのだ。矢じり…V字型隊形で突撃してきた。
「1層大盾を構えろ!2層から6層は銃を構えろ、一層ずつ一斉射撃のちに交代!6層から12層は弓を一斉射撃のち各自放て!残り20層まではクロスボウを放て!」
ルキウスが大声で叫ぶ!
「後方!連弩式バリスタ!平衡錘投石機、投石器全弾打ちまくれ!敵は集中してるぞ!奴らを近づけるな!」
太鼓と角笛が合図を出す
全ての弓が放たれる姿は壮観だった。総勢20万を超える弓が敵の頭上に降り注ぎ、多数の鉄球が降り注ぐ。
だが、先鋒の10万も帝国軍の発射と同時に散開し、一斉騎射をする。その後は狙いなど関係なしに速射をし、矢によってバタバタ倒れ、鉄球によってミンチにされる
両陣営多くの人が倒れるが、大汗国軍は布や皮鎧を着ていたため、多数の兵が死亡するが、帝国軍は鉄の鎧を着ていたため死亡者はそこまで多くはない。
敵が動いた。
生き残った先鋒隊は中心に向かって一心不乱に騎射しながら駆け、後方の10万が斜陣で一斉に突撃をし、左右は5万に分かれ、側面を攻撃する。
息の合った三方同時攻撃に射撃部隊は狙いが定まらず、精密度が下がり混乱する。敵は一気に速度を上げ、陣を突き破ろうとするが
ガイウスがせせら笑う
「撃て!」
後方に控えていた大型固定砲100門と野戦砲500門が火を噴く。
それだけでなく、帝国軍両翼を攻撃しようとしていた敵両翼軍の後方が爆ぜる
「フフフフ、さすがは裏将軍だ!もう敵の後方についてるとは!」
敵の後方にある小高い丘から野戦砲100門を撃つ、特別遊撃独立部隊…通称”蜥蜴部隊”10万が陣を敷いていた。
「戦車!奴らは混乱してるぞ!遠方からバリスタの矢をお見舞いしろ!大砲に巻き込まれるなよ!」
ルキウスが自ら戦車に乗り、声をかける
戦いはわずか三日半で終了した
敵騎兵は帝国本陣に突っ込み、深く侵入したが、20層ぶち破ることがかなわず取り殺され、突撃しなかった騎兵は戦車の連射式バリスタの餌食になり、その場にいても、大砲などの鉄球や矢に殺されるのを待つのみだ。
三日後、ついに敵は潰走し、ここでヤゲロー6万と帝国軍4万の計10万の騎兵が追撃し、次々と打ち取る。
それだけでなく、裏将軍も援護し、徹底的に追撃する。そして彼らの部族をウラル山脈以東まで追い出した。
一か月後、ギリシア帝国首都ビザンティウム
聖宮殿の大広場
そこには六人の大将軍、百人の将軍、そのほか多くの軍人や大臣を含む高級官僚が所狭しと詰め込んでいた。
「皇帝ユスティニア陛下の御前である!頭が高い!平伏せよ!」
重臣があらん限りの声で叫ぶ
全員が一斉に頭を下げる
ユスティニアは玉座に座らず、最前列にいたヤゲロー大公ヤンに近寄り、手を取り立たせ、抱きつく
「ありがとう!わが友よ!貴殿のおかげであの憎きタタールの民を一掃し、聖地の一つであるキエフを奪還できたぞ!おい!王冠を持て!急げ!」
ユスティニアは興奮したようにまくしたてる
奥から宦官が贅を凝らした王冠を持ってくるとユスティニアはヒョイと持ち上げ
「今より!ヤゲロー王の戴冠式を行う!ヤゲロー王ヤギェウォ・ボレスワフ!貴殿と貴国はユーロピア帝国の第一の家臣として長い間よく仕えてくれた。貴殿と貴国にはその礼として王号を称することを認め、今後の友好のあかしとしてこれを与える」
ヤンにかぶせる
「ありがたき幸せです」
ヤンは涙を流す
この瞬間、後世に堅王と呼ばれる堅物の王が誕生した。彼は死ぬまで己の理想に燃え、壁にぶつかっても決して諦めず、立ち向かった王である。また、忌み名として使われたキョウ王の中で、唯一良い意味を持つ侠王と名付けられた。彼は受けた恩は一生忘れなかったという。
ここに七王国の中で最も異質な国が産声を上げ、翼を広げ始めた。時代の風に乗り、高く飛翔するこの国はさらなる高みを目指す
有象無象ども
貴様らは
ユーロピア帝国復活と統一の礎となってもらおう
それまで、せいぜいあがけ
今6国出ましたね。7国ですから次が最後になりますね。次はボヘミアです。今のチェコスロバキアですね。さてどんな王がでるのでしょう?ボヘミア王が終わったら最後の王様は諸事情により、だいぶ後に出るよ。楽しみにしてね♪




