草創期 《ボヘミア1》
今回で草創期は終了になるね!次回からは早期になるよ!本格的にユーロピア七王国が始動するね!楽しみだ!
ユーロピア南東部に位置する小国の一つ、ボヘミア公国、後に出現する7王国は全て、3つの源流のいずれかを組んでいる。
一つは五公…ユーロピア帝国時代、巨大な権力を持ち、後に広大な領地と共に独立したゲルマニスク、ヒスパニア、ローマ、ガリアの後継フランク、ブリタニアの後継アルビオンの5ヶ国
二つ目は東ユーロピア帝国…分裂し、崩壊した西と違い、東はギリシア帝国としてその血脈を保ち続けている。その東の超大国の属国であるヤゲロー
三つめはオストマルク皇国(現在のオーストリア)…西ユーロピア帝国は崩壊したが、皇帝の一族は断絶しておらず、今はオストマルク皇国という小国を打ち立て、その血脈を保っている。ボヘミアはそのオストマルク皇国の守護国の一つである。
オストマルクに臣下の礼を取り、守護してる国はボヘミア公国の他には、ハンガリア公爵領、ロマンシュ州同盟(現在のスイス)のみである。
ボヘミア公ボレスラフは現在怯えていた。
臣下から報告される事全部に怯えていた。
西では、ゲルマニスクとフランクが衝突し、はるか西方のアルビオンとスコッチラントの内戦は苛烈になり、ヒスパニアは超大国マグレブに侵攻、ローマでは統一戦争が勃発、東のヤゲローは帝国とてを組み超大国大汗国と全面戦争を行い、消滅させた。
「なななななッ、何で!周辺国はこんなにも戦争してるの!だだだだだたッ、大丈夫なのッ!我が国は!周辺国はその余波で我が国に攻め込んで来ないよねッ!ぼぼぼぼぼぼぼッ、僕は嫌だ!まだ、じにだくないよぉ~ウワーン」
まだ攻められてないのに、みっともなく泣き叫ぶボレスラフ
突如、何者かにビンタされ吹き飛ばされるボレスラフ
「いい加減にしなさい!あなたがそんな態度だと!誰がこの国を引っ張るの!そんなんじゃぁ、誰も助けてくれないわよ!だからッ、シャキッとしなさい!」
とても美しい少女が、大の大人を説教する
「ケッ、けど、リブシェ!僕は怖いんだよ!」
ガチガチ震える情けない男
「お黙りッ!」
「ヒッ」
「罰として特訓よ!」
急に木剣を持ち出すリブシェ
「まっ、待って!話せばわかるから!」
急に焦り出すミジンコ以下のゴミ
「五月蝿い!」
リブジシェはフルスイングして吹き飛ばす
ボヘミアは本日も平穏なり…リブジシェは本来こんな性格ではなく、むしろ内気で、恥じらいを持ち、物凄く静かな性格であるのだが…こんな情けないミジンコ以下の短小野郎に嫁ぎ、生活してるうちにこんな性格になってしまったのだろうか…いや、彼と出会ったときか…
こんな王だと、外患より、むしろ内憂を心配するべきだと思うのだが、
国内の粛清は
もう
終わった
リブシェとボレスラフの出会いは今よりはるか昔だ。今より5年前、ボレスラフ25歳、リブシェ12歳の時に二人は出会った。
ボレスラフは4男として生を受け、公位継承には全く興味がなかった。
二人は先代ボヘミア公の誕生パーティーで初めて出会い、ボレスラフとしては可愛い女の子だなぁ~と話しかけたのだが…当時プラークの真珠と呼ばれた絶世の美貌とボヘミア一の頭脳を持った彼女は、孤立していた。当時の彼女は話しかけてくる人間は、全て何かを企んでいると疑心暗鬼になっていたのだ。実際、彼女に話しかけてくるのはイヤらしい目付きをした男性か、彼女の家の権力に群がろうとする女性しかいなかったのだが…
そんな彼女に一人の紳士が話しかけてきたのだ!しかも、とても親切に、何の企みもなく純粋に彼女の事を思って声をかけてくれたのだ!その時の彼女はいつも通り、酷いことを言って拒絶したのだ。
勿論、彼女は酷く後悔した…最初で最後の友達になるかもしれないチャンスを不意にしてしまったのだから…普段泣かない彼女が泣いてる時、あの紳士が訪ねて来たのだ。彼女はその事を聞いて内心深く大喜びをしたのだが、いざ目の前に立つと、口から出たのは罵倒の嵐だった…自分が嫌になる…
それでも彼は土下座しながら彼女を受け入れた。彼女の罵倒を一語一句聞き取り、直すよう努力していった。
私はそんな彼に恋をした。
私は家の人間を総動員して、ボレスラフを全面的に指示するように扇動した。当時ボヘミア公は病を患っており、まもなくその命を終える段階まで来ているため、熾烈な後継争いが起きていた。
公位継承権は長男、次男、三男の三人が最優先となっていた。
長男は門閥若手軍人をバックにし、次男は門閥若手官僚をバックにし、三男は現在のボヘミア公の側近や寵臣をバックにした勢力で争っている。
リブシェは三勢力を分析し、とるに足らない存在だということを理解した。
長男は一言で言えば脳筋である。本人は今まで一度も決闘に敗北したことがないと豪語してるが、それは相手が権力を恐れ手加減してるからだ。実際は騎士見習いよりも弱いだろう。周囲も似たり寄ったりだ。強兵政策を行うといってるが、妄想の軍隊しか指揮出来ないお前は無理だ。
次は次男、こいつは一言で言えば暗根野郎だ。周囲と毎日政策討論しているが、内容は全て他人の悪口だ。本人の前に言わず、薄暗い部屋に引きこもって実りのない話ばかりしている。何が富国政策だ。妄想の国でも戯れろ!
最後の三男、こいつは最低のクズだ。末っ子として今死にかけのジジイにさんざんケツを振り、死にかけのジジイだけでなく、死にかけの大臣を味方に引き入れやがって、よくても無能どもの傀儡になり、周りが死んだら何も出来ないくせに。伝統を守だと、ハッ、死にかけの国とも滅びろ。
「ねっ、ねぇ、リブシェ…どっ、どうしたの…何か怖いよ…」
昔の事を思い出してドス黒いオーラを出すリブシェに怯えるボレスラフ
「黙れ⭐クズは黙ってろ♪」
リブシェはツンデレである。素直ではないのだ。
「ううう…オタカル…リブシェが怖いよ…」
しくしく泣くボレスラフ
「ボレスラフ様は愛されておりますなぁ…幸福者ですぞぉ!」
筆頭将軍がカラカラと笑う。
「黙りッ!オタカル!更迭するわよ!」
何故か顔を真っ赤にさせるリブシェ
はははは、と笑い続けるオタカル
再び回想に戻る
私は色んなパーティーや、講演会、訓練場等を訪れ、今の権力争いに憤りや呆れ、白眼視している人たちを必死に見つけ集めて、第4勢力を作った。その筆頭がオタカルともう一人…
「いやはや、お熱いですな~!二人とも!まるで、昔の私と妻を見てるようだ」
「ヴァツラーフ…貴方も更迭するわよ…」
宰相ヴァツラーフと筆頭将軍オタカル、そして公妃リブシェ、この三人がボレスラフを支える三輪車体制である。
では、何故、ボレスラフがボヘミア公…いや、後のボヘミア王になれたのか…
クーデターである
先代ボヘミア公が死んだと同時に軍部の大半と官僚の大半を掌握していたリブシェは一斉に蜂起し、三人の兄とその取り巻きを逮捕、後日裁判を起こし、官僚達が作りあげた罪を擦り付けて、全員死刑にした。その後、縁座や連座を駆使して、反対勢力やその予備軍を次々と処刑台に送り、その数は3000を越えた。
ボレスラフが公位に着いたときは全てが終わっていたあとだった。
ボレスラフは回想する
あれは僕がいつも通り、川辺でスケッチしていたとき、急に騎士団が現れ、囲まれた。僕はその時、死を覚悟しながら大号泣していたね。
そして、公邸まで連れてこられ、リブシェの前に突き出されたとき、罵倒されるのだなぁ~と思いながら、死を覚悟したんだけど…彼女が
「ボレスラフ!ボヘミア公になりなさい!全く貴方はどんだけ待たせるのよ!この愚図が!」
何故か顔を真っ赤にさせて叫ぶリブシェ
「えっ…ええええええぇ!いやいやいやいやいや!何でぇ!嫌だよ!」
ボレスラフは逃げようとするが、
後ろには騎士団が…
左にはオタカル率いる騎士団が…
右にはヴァツラーフが率いる官僚団が…
正面には、何故か両手を大きく広げて、目をギラギラしているリブシェが…
この中で最も怖いのは…勿論正面だ!
ボレスラフは後ろに特攻しようとして…首根っこをグワシッと捕まえられる
「バッ、バッカァ~!何で未来の妻に背を向けるのよ!普通飛び込むでしょう!そんな意気地無しのアンタにはお仕置きよぉ!」
暴君がキレる
ああ、彼女に殴られるなぁ~と思ったボレスラフは潔く目をつむる
チュッ
唇にとても柔らかくて甘い感触が…
「へっ?」
「私の唇を奪ったんだから、責任とりなさいよね!私はボヘミア公しか嫁がないから!」
顔を真っ赤にさせて叫ぶ、とにかく叫ぶ!
「えっ?僕はならないよ?だって、兄達がいるし…めんどくさいし…」
拒否するボレスラフ
「何ですって!私がメンドクサイ女だと思ってるの!」
ブチキレるリブシェ
「違うよ!リブシェはとても美人で可愛いし、魅力的な女性だよ!」
叫び返すボレスラフ
「なななななっ、なに言ってんのよ!バカじゃないの!もう怒ったわ!来なさい!再教育してあげる」
リブシェはボレスラフの手を掴み、グングン、寝室に向けて進む
ほわほわほわ…
広間は何か甘酸っぱい雰囲気が充満していた。
「早速世継ぎをお作りになられたか!がはははははは!」
オタカルが爆笑する
そして真顔になり
「ヴァツラーフ殿、貴殿は何故ボレスラフを指示したのだ?」
「そういう貴殿殿はどうだ」
逆に聞き返すヴァツラーフ
「あやつは本物の弱音を吐いたことはない。確かに日頃から怖がってはいるが…屈したり、逃げ出したことは一度もない!あやつの目はどんな腕力や権力という力を前にしても決して屈しない目をしており、強い意思を持っておる!」
オタカルはニカッと笑う
ヴァツラーフはやれやれと苦笑する
「私は単純ですよ。あれは賢いですからねぇ。他の無能どもと違って…あれはどのようにすれば生き残れるかを計算して、無能を装い、危険な香りがしたら逃げる…いや、避けたりして己の生命を守ってるのですから」
二人はこの国の行く末を共に語り合った。
翌日、リブシェの寝室からは、肌が物凄くツヤツヤしたリブシェが嬉しそうに鼻唄を歌いながら出てきた。
メイドが、部屋の清掃をしようと入ったら、全裸で四肢を縛られたボレスラフが気絶していた。何があったのかは想像に任せるが、顔だけでなく全身げっそり大痩せしていた。
その後、ムラムラしたメイド団からも襲われたのだが…本人は今後死ぬまで同じことが繰り返された
二人は回想を止め、正面を見る
正面には、忠誠心と実力を兼ね備えた優秀な家臣が静かに控えていた
「今の話は本当なのかい…」
ボレスラフは不安そうに問う
皆は頷く。
「ううう…怖いよぉ…」
ボレスラフはメソメソ泣いている
その時、手が温かく包まれる
リブシェが優しく握っていた
優しい眼差しが雄弁に語っていた
大丈夫だと
「ううう…よし!派兵する!我が軍はゲルマニスクに宣戦布告し、宗主国オストマルク皇国を救援に行くぞ!責任は僕の首で払う!」
皆は意気揚々に膝をつき、頭を垂れる
そして…
「やっぱり、ゴわいよぉ~じにだくないよぉ~」
いつも通り泣く…先程までの姿はどこにいったのやら…
そんな彼をじっと見つめるリブシェは密かに笑った
(ボレスラフ…私の旦那様♪あぁ、貴方が側にいてくれるだけで…私は…私の心は満たされる…その代わり、私が守ってあげる…誰にも傷つけさせないわ…例え、相手が誰とであろうとも…私が守ってあげる…だから、もっと惨めに泣いて…貴方のまっすぐで純粋な心をもっと見せて…私だけに見せて…そして、底すら無いような愛情をあげるから…貴方の心から溢れるほどの愛情をあげるから…ダカラ、ミセテ、アナタノココロヲ、ソシテ、チョウダイ、アナタノココロヲ)
後にボヘミア王となり、後世では七王国最弱の王と呼ばれたボレスラフは、いつも怯えていたため、怯王と呼ばれる一方、王としての権力を振りかざすこともなく、贅に費やすこともなく、驕ることもない慎ましい治世を送ったため、倹王と呼ばれ、徳のある王の代名詞となった。
彼は弱いが、国は決して弱くなかった。七王国最小でありながら、残りの国と互角に渡り合える優秀な家臣に恵まれたからだ。
しかし、
それは
偶然にあらず
彼の王が
呼び寄せたのだ
引き付けたのた
汝侮るべからず
しかと注視せよ




