妖精息子2の55
佐和子は呆然としていた。
なに?どういうこと?
目の前で争っていたぷーすけと雷の王子は、ぷーすけが起こした強烈な爆発によって消えた。
「そんな!いったいどうなったの!?」
佐和子がさけぶと
大田原教諭のそばにうかぶ水の王子が
「さあ、わからないわね。あのふたりの王子の力は、あたしのおよぶところではない。あなたのほうがわかるのではない?火の王子とのパスがあるだろう?」
わかるなら聞いてないよ。あの子の気配をどこにも感じないの。まるで、ぷつんと線が途切れたみたいで……
「じゃあ、死んだんじゃない?」
水妖の非人間らしい無慈悲な言いぐさに
「こらっ、オンディー。そんなこと、めったに口にするものじゃないの!」
教諭が叱る。
佐和子は
(――そんな。あの子はもう命を外部に預けてないのよ!)
まっさおになる。
「まあ青柳さん、気落ちしないで。まだ亡くなったとはっきり決まったわけじゃないのだから」
デリカシーのありそうでない教諭が、続けて言うと
「……そうですね、決まったわけじゃないですよ」
不意に後ろから声がかかる。
少女らがふりかえった先に立つのは、白衣に金短髪、丸眼鏡に診療鞄をぶらさげた……
「お医者さん!」
アチラの医者のすがただった。
上空を興味ありげに見つめている。
「――ふむ。あなたの息子さんは、ちょっとした核爆発を起こしたんですね。核分裂性物質でもない元素でそんなことするなんて我々の理解を超えてますが、まあ彼の『火』属性の力なんでしょう」
言っている意味はわからない。ただ
「核爆発って!そんなのがあったのに、ぷーすけが生きてるって言うの?」
望みをかけて、たずねると
「そうです。ふつうに核爆発なんてあったら、今頃わたしたちもその衝撃に巻き込まれてこの世にいませんよ。火の王子は、爆発をとても狭い空間範囲にとどめました。おそらくその結果として空間の壁が破れ、彼と雷の王子は、コチラと異なる時空に移行したんだと思います」
「どこそれ?『さかしま』ってところ?」
ついことばが荒くなる佐和子の問いに、
医者は
「いえ。そんな近場ではないでしょう」
「じゃあ、いったい?」
「うーん。おそらくですが、彼らのもといたところじゃないですか?******の国ですよ」
******の国!ぷーすけたちの本来の故郷!
……探しに行かないと!
だって、あたしはあの子の母親なのだから。




