妖精息子2の30
考えたこともない事態に佐和子が胸をつまらせると、
友人は首をふって
「あなたやなおくんは、王子と回路をつなげてる。その回路があるかぎり、擬似的なサカイモノであり続けると思う」
そうか。ちくわやぷーすけが一時的に消滅したとき、あたしと直実くんはアチラの医者のアパートにたどりつけなかったものね。あたしたちは疑似サカイモノなのか……というか
「直実くんは、あなたが魔術つかいだって知ってるの?」
「知らないよ」
「幼なじみなのに?」
いぶかると、
絵里は顔色を変えて
「だって魔能とか言って、なおくんにヘンなやつだと思われたらどうするのよ!あたし、なおくんに嫌われたくない!」
びっくりするぐらい大声でさけぶ。推しの少女のそんな感情的な部分はあまり見たくなかった。
直実がそれぐらいで人をきらいになるとはとても思えない……だって、彼はちくわ……ヘンのかたまりのような息子を溺愛している。でも、それを強く指摘するのはやめておこう。推しの乙女心に喧嘩を売るようなマネはしたくない。
絵里はつづけて
「あたしが魔術つかいであることは、兄さんだって知らない」
あの真吾先輩でも?そうなんだ?
「うちの家では、魔術は女子のみに伝えられることになっているから。あたしの魔能についてはお母さんしか知らない」
そんなことあるんだ?佐和子はふしぎに思ったが、それよりも
「絵里ちゃんがその……魔術使いでよかった!絵里ちゃんがいなかったら、今頃あたしは地の王子に食べられてたところだよ!」
自分が崇拝する存在に颯爽と救われたことに、感動いっぱいだ。
いっぽう絵里は冷静で
「……そうね、あの王子たちはタチが悪い。学園じゅうの生気を吸い上げようとするなんて……こうなると機構も動かざるを得ない……というか、もう動いていると思う」
「機構って、うら?の寄り合いだっけ?」
「ええ。街全体として迎え撃つ態勢を取ったでしょうね。ただ******が相手だから、かなりやっかい。なにせ強力な妖魔だもの。
ちょっと魔能があるからって、あたしたちふつうの魔術師がどうこうできる相手じゃない。それこそ、アーティファクト保有者に出動を要請しないといけない」
あーてぃふぁ……なにそれ?
「いわゆる呪具のなかでも聖遺物レベルにある武器だね。対アチラモノとしてはコチラで用意できる最大の攻撃手段だけど、なにせアーティファクトを使える人間は激レア存在だから。用意するまで大変だと思う……それまでは、あたしたちだけでしのがないといけない」
あたりを見渡して
「なるべく早くここから出たいんだけど」




