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ヴァニタスの鳥籠  作者: 鮭のアロワナ、しゃろわな
一章
19/70

19話

因みにあの男は全裸でロープに巻き付けて歓楽街のど真ん中に放置した。


「出席を取るわよ。あら今日は珍しく居るのね」


こっちを見てにっこりと笑う。あんな事があっても気丈な女だ。暫くは休むと思っていたが。


「確かに連理がこの授業受けるなんて珍しい…何かあったの?」


隣に座っている美羽から言われる。


「別に、お前が口うるさいから出てやっただけだ」


「うっそだー。だって最近は言って無かったのに」


「うるせ」


寝るか…。


「もう睡眠?先生少し寂しいわ…」


変な芝居してんじゃねぇよ。



「今日の活動はずばり…アルバイト!叢雲家からの依頼よ」


副会長が言う。


「叢雲家からの依頼となると…相当大事なことだと思うのですが…」


「そんな畏まらなくて良いわ。私の趣味でやっているカフェの経営が悪くて、そのお手伝い」


めっちゃ私用やん。生徒会何も関係ないやん…。


「バイト代は出るんだろうな?」


「勿論。報酬は終わってからのお楽しみ」


なんか胡散臭いんだよなぁ…。


「それと…こちらの制服着替えてくださいね~」


そういって手提げかばんを渡される。


そんな訳で全員着替えて来たわけだが…。


「ってなんでお前らメイド服着てんだよ」


俺の前には二人のメイドが立っていた。俺は普通のウェイトレスの服だが。


「ほ、本当にこれで行くんですか?」


美羽が恥ずかしそうに言う。その顔には羞恥や困惑と言った色が濃く出ている様だ。


「ふふ、似合っていますよ。これでお店も大繁盛間違いなしですね」



「お帰りなさいませご主人様!」


「新しい子?随分若いね~」


メイド姿の美羽が接客をする。恥ずかしがっているのが受けるのか…さっきから指名が多い。


「バイトくん!ぼさっとしてないで配膳!」


「あ、ああ」


「え~お兄さんイケメ~ン。連絡先交換しようよ!」


「生憎携帯は持ってない。俺と連絡が取りたいならあのメイドの連絡先を聞け」


「どういうこと?もしかしてあのメイドちゃんと付き合ってるの?」


「付き合ってねぇよ。あいつの屋敷で住んでるだけだ」


「ちぇーでも別れたら連絡頂戴!お兄さんならいつでもウェルカム!」


全く…なんなんださっきから。


「それよりお兄さんがこのオムライスに魔法かけてくれるの~?頼んじゃおっかな~」


何だこいつ。この店にはオムライスにケチャップを掛ける際に魔法の言葉を唱えるらしい。


それはキャストによって様々だが、ありきたりな所で言うと、モエモエキュン…だそうだ。


まあもとより羞恥心の欠片もない。今さらこんな程度の言葉を唱えて恥ずかしがる訳じゃない、だが、何故かむかつくな。


「あ?じゃあ行くぜ。喪獲喪獲キュン」


「な、なんか怖いけど…まあいいや。そんじゃ連絡待ってるね!」


さっきからこんな奴ばっかだ。今日は妙に女性客が多いらしい。


「え~美羽ちゃん今十五歳なんだ~どう?おじさんと一杯飲みにいかない?」


なぜおじさんが女子高生とお酒が飲めると思っているのだろう。美羽も困惑して言葉に詰まっている。


「それに…発展途上だけど張りの良いおしr…」


「おい、それ以上は止めろ。殺すぞ」


おっさんの手が美羽のお尻に向かうのを阻止する。


「な、なんだお前!客に向かってそんな口の聞き方が許されると思っているのか!?」


注意すれば逆上する。こういう厄介な客はどの時代も一定層いるらしいな。この店はそういうコンセプトなので多いらしいが…ここまで露骨な奴も珍しい。


「女子高生にセクハラして許されると思ってんのか?ちっとは鏡見てこいよ」


「な、なんだとお前!俺がセクハラした証拠でもあんのかよ!」


「当店は叢雲が経営していますので至る所に監視カメラがございます。それこそあなたの真上にも」


フィリアが騒ぎを聞きつけやってくる。此奴はメイド服に着替えたはいい物の…接客も何もせずに見守っているだけだった。こいつが接客した方が客足は伸びると思うがな…。


男は顔面蒼白になりながら会計を済ませ店から出て行った。


「れ、連理ありがとう。でも大丈夫自衛くらい出来るわ」


「そうか、じゃあ俺は戻るぜ」



「ふふ、お疲れ様。これが今日のバイト代よ」


こ、これは…


「なんだこれは」


なにかのチケットのようなものを渡される。


「これって最近できたアミューズメントパークの…良いんですか?結構人気で中々取れないみたいですけど」


「それが今日の報酬だからね。二人で回ると良いのではないでしょうか」


フィリアがそう言うと美羽が顔を赤らめる。


「二人はちょっと…」


「なんでですか、いつも二人で行動しているでしょうに」


「そ、それは何と言うか…従者との関係でしたので…」


「あら、それって連理さんを男として意識していると?烏丸の今後も安泰ですね」


「ふぃ、フィリアさん!冗談言わないで下さい!!」


そこまで否定されるとちょっとショックなんだが…。おれが隣に居る事忘れてんじゃねぇか?


「連理さんも楽しみですよね?なんて言ったって叢雲が投資したパークですよ」


「ま、行きたくないなら俺一人で行くか。色んな経験はしてみてぇしな」


「わ、私も一緒に行く!護衛は必要だから!」


「どっちなんだよ」


さっきから変な奴だな。


「あらあら…仲が良いのか悪いのか…まあ良いのでしょうけど」


「か、勘違いしないで下さいね…そ、そういう関係ではありませんから!!」


「あら、私は別にそこまで言ってないわよ」


なーにしてんだこいつ等。

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