28.水ネックレス、そして離脱。
「あ、どこ行ってたんですかサヤさん!ユズさんも!」
あれから普通に戻ってきて、朝ごはんの準備をしていた。なんとか準備はしてるけど、ナギが来てない。ミユはまぁ朝ごはんは食べないらしいからいいとして、他も集まってるのにナギだけ居ないのはどうなのか。
「ちょっと、俺呼んでくる」
そう言って、サヤはナギの部屋を見に行った。
「なんでナギいないんだ・・・?」
部屋の戸をノックしたが音はしなかった。鍵は空いてて中を申し訳ながらも開けてみても誰もいなかった。
「あれ・・・?いや、どこいったの・・・」
もういいかな、部屋に居ないなら、そのうち来るはず。
「はぁ・・・どこなんだろ」
朝ごはんを食べ終わって、探してみたけど部屋にも相変わらずいなかった。その時、ドアの所に紙があるのをみた。
[プールにいってます。朝ごはんは先に食べててください。]
・・・プールか・・・自殺が海とかでも水怖くないのか・・・?いやまぁいい。でも・・・流石に心配。その時、ふと考えた。
「・・・流石にきつかったのか・・・?」
結論からいうと、自分も水着になっておいた。ラッシュガードなしだからかなり怖かった・・・訳でもないが(身内だけだし)、こうしておけば少しはマシになるかと思った。
「ナギ、大丈夫か?」
「だ、だれ・・・あ、なんだサヤちゃんか」
少しホッとしてるのか、またプールサイドで足を水に付けて黄昏ていた。
「まあ、心配かけてるよね、私なにも出来てないし」
「いやいや?別に俺はなにも思ってないけど」
「うんうん、私は気にしてる、だってさ、私って怖がり・・・だしそれに、それ・・・に・・・」
かなり辛そう。でもなんで急に・・・昨日までは普通にいたはずなのに。
「私、昨日このネックレスと同じ感じのお宝が盗まれたらしくて・・・私のも取られたり・・・」
ネックレスはハートの形を象った水色に光っていて、まさに水のように暖かいものだった。
そういや、たしか、宝石とか前に言ってたっけ・・・?いや、行ってない?どうだっけ?
「私、もう末裔辞めたいよぅ・・・少なくとも私、冒険とか苦手なのに・・・」
怖がり・・・か。確かに最初あった時も話しかけられたりしてたし・・・クールっぽそうだったけどな・・・
「それでさ、ユズくんと私でサヤちゃんのアリス症候群について調べたんだけど・・・私のネックレスが、もしかしたら大切なのかなって」
大切・・・?昨日はずっと楓と買い物とかしてたしたし昨日の事は知らないけど・・・
「あげるから、私の、お母さんのお守りだけど」
「え・・・流石に貰えないって!お母さんのなら尚更!」
「お願い・・・お母さんは優しかったけどなにも覚えてない・・・だけどサヤちゃんは覚えてる!私は・・・迷惑かけてるから!」
・・・アリス症候群のため。それは・・・俺のため。つまり、他のこと・・・親のことも捨てるってことのはず。だったら・・・でも・・・
「お願い!!」
「・・・わかった。でも、必ず返すからな」
そう言って、ナギからネックレスをもらって、首にかけた。
「私、流石にこのギルドはやめないけど、しばらく休ませて・・・」
「・・・わかった」
そう言って、これ以上は辛くなりそうで、プールから出た。
「・・・だから、しばらく休ませてつて、ナギが」
「わかった、それじゃ、ここは休憩所として、聞かせてもらおうかな」
ナギが辛いことになってるのは、全くわかんなかった。だけど、これがナギの決めたことだから。
ナギの心を持って、がんばらないと。