東葛飾復興協会
「一般社団法人(?) 東葛飾復興協会」―― この度、鶏庭太郎が設立した(ことになっている)法人(?)である。
法人(?)とは何ぞや、一般社団法人(?)とはなんぞや、ということは、当の本人(?)もよくわかっていない。
況して、この法人(?)の社員(従業員ではなく法人(?)の構成員)はどうなっているとか、理事は誰なのかとか、監事はどうなっているとかいうような、難しいことなど、庭太郎本人(?)がわかるわけがない。
そういう難しいことは、鶏庭太郎の妻であり、庭子の母親である 鶏庭江が全部担当している。
鶏庭太郎本人(?)は、時々、庭江に「これに署名しておいてホゲ」とか言われたら、言われた通り署名するだけである。
ちなみに、庭江は別の会社に勤めていて、普段、この東葛飾復興協会には居ない。
難しいことは扨措き、鶏庭太郎は、協会長というポストに就いたことにより、大変満足気である。
「えっへん、コケ。『協会長』、なんていい響きだコケ。しかも、俺は頭に立派な王冠が載っているコケ。真にすばらしいコケ。」
とは言え、オフィスには庭太郎本人(?)以外誰もいない。
それで、この法人(?)の目的は、表向きは「東葛飾地域の発展に寄与し・・・」てな感じの「それっぽい」ことが書かれているが、その実、我が東葛地域をどうやって千葉県から独立させるかを画策している。
・・・
「で、さて、まずは何をしようかな、コケ」
机1台と椅子1つだけがある6畳ほどの広さのオフィスで、庭太郎はひとり(?)首を傾げて考えた。
「そうだな、まず、従業員を雇おう、コケ」
・・・
ハローワークに求人(?)を出すと、幸いすぐに応募者があった。
ハローワークの職員によると、これから我がオフィスにやってくるという。
「さて、どんな応募者だろうコケ」
・・・
トントン。ドアを叩く音がする。
ドアを開けると、ずんぐりムックリした鳥が立っている。
「わたしぃ、面接に来た『椋鳥椋子』って言いますジュジュ」
「ま、座ってコケ」
椋鳥椋子は、ドンと椅子に腰掛けた。
さて、俺も座ろうか。
・・・
ドン・・・尻餅を搗いてしまった。
しまった。椅子は1つしかないから、自分は立たないとならない。
「で、志望動機はコケ?」
「一応確認ですが、お給料は出るんですよねジュジュ?」
こっちが訊いているのは、志望動機だ。
それに、いきなり来て「お給料はでるのか」とはかなり失礼な感じだ。
「出る、出る、大丈夫コケ」
「わたしぃ、お菓子とか丼物とか食べることには余念がないんでジュジュ」
要はわかったことは、
この「ずんぐりムクドリ」は、食べることだけが趣味、という女らしい。
食い物のことだけじゃなくて、もうちょっと郷土愛に溢れたマシなやつにしたい。
コイツが帰ったら「貴意には添いかねます。今後のご健闘をお祈り申し上げます」というお祈りメールを送りつけてやろうと思う。




