28:デートへのお誘い
瑞希はカチコチしながらやっとかっとカウンターに座る。
僕は紅茶を渡した。
「熱いから落ち着いて飲んでね」
「ありがとう」
返事をしつつ、瑞希は飲もうとした!
「瑞希、もう少し冷えてから飲まないとヤケドするぞ」
「はっ!ありがとう蒼……」
「今姉ちゃんは診断中だからもうちょっと待っててね」
透もやや心配そうに瑞希に声を掛けた。
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まもなく、診断が終わった彩さんが出て来た。
スーパーエクストラワイドニートさんがニコニコしていたから、いい結果だったんだろう。お忙しいのか、そのまま軽く挨拶すると帰って行った。
彩さんはというと、瑞希を見つけ、ドスドスこっちにやって来る。開口一番、
「瑞希君、デートしましょう?」
えっ?!彩さんが誘うの!?挨拶も無く直球。
彩さんの表情は緊張している。
「はあッ!?はい、はい!お願いします!」
急なコトで慌てる瑞希。何故か立ち上がった。
そして、固まる2人。
「……行き先の話は?例えば、映画観て、夕食、オシャレなバーに行くとか。どうなの?案ある?」
見かねた透が助け舟を出す。
「あぁ」
「えぇと」
彩さんも瑞希もお互いを見てしどろもどろ。
大丈夫かな?心配になってきた。
2人で出掛けてもこんな感じじゃないだろうか?
お互い緊張し過ぎて話が止まるのでは?
……いや、かえって初々しいのか?
甘酸っぱい、遅れてきた青春……的な?
僕が内で考えている間に、透はヘンに体を揺する。
さては、彩さんと瑞希をみてらんない感じなんだろ。
身内と友達があんな感じだと“あ゙ぁ!”ってなりそ。
だからってデートについて行ったらダメだぞ、透!
「考えがまとまらないのなら、映画観て、夕食、オシャレなバーでいいんじゃないですか?
今決められないなら、電話とかで話し合って決めれば良いのでは?
先ずはいつ行くか決めてもらって」
僕も助け舟を出す。話が進まなさそうだからね。
「……来週のウチの定休日でいい?」
恐い、恐い、彩さんの圧が凄い。顔が強張っているし、緊張し過ぎだよ!
「い、いいです!大丈夫です!」
顔を赤くした瑞希はカクカクしたまま……。
よかった、取り敢えずデートの日付は決まった。
コチラで誘導しなきゃ何も決まらなそうだもんな。
「折角デートに行くんだからホラー映画とかダメだからね。恋愛映画とか、それかせめて今話題の映画とか観て」
透が、彩さんがウッカリ何も考えず、ムードもヘッタクレも無いホラー映画を選ばないように釘を差す。
「まぁ!失礼ね、ちゃんと……それくらい考えてるわよ」
「おっ、聞いたか瑞希?姉ちゃん、ムードを考えて映画選ぶってよ」
「は、い、いいんですか?今やってる、
“ヴィーガン異世界転移!働けるのは食肉加工場のみだと?!〜工場長VSヴィーガン恐怖の戦い”
なんて、彩さん好きそうだなって思っていたんですけど……観なくて大丈夫……?」
み、瑞希!?お前、本当にいいヤツ!相手の好きなモノを考えて提案してくるなんて。
……ただ、その映画、絶対ムード皆無だろうけどね。だけどタイトルから面白そう。1人で観に行こうかな?
「……大丈夫よ、瑞希君。今回はムードをとるからね」
「彩さん!」
おやおや、なんかイイ感じではないかい?
僕はホッとする。
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水野家のリビングに戻ってくると、いつも僕のカワイイペットの面々は出迎えてくれる。
今夜はコーギー犬の亜紗君が一番乗り。
僕の足元にくると、ニカッと見上げる。
カワイイなぁ〜。
僕はしゃがんでワシャワシャ撫でる。
そうすると、もっと撫でて!とコロッと横になってくるのだ。
少し遅れて兎の蒼灰君、猫吉ノワール、オカメインコの紅黄ちゃんがトコトコやって来た。
紅黄ちゃんは誰がの背に乗ってやって来ることもあるけど、今夜は自分の足でトコトコ。
こうなると暫くは撫で撫でタイムになっちゃう。
僕の撫で撫でタイムを見つつ、透と彩さんはさっきの話に。
「姉ちゃん、よくデートに誘ったよね。
瑞希はあんな風だったし、姉ちゃんから誘ってくれてよかったよ」
「うん……」
「それにしても、姉ちゃん緊張し過ぎ!」
「だって!しょうが無いじゃない?」
彩さんは小さくゴニョゴニョ言ってる。
「フフ、何言ってるか聞こえないケド?」
「だって、あんな年下のイケメンだよ?そりゃ、意識しちゃってキョドるでしょ?」
「……デート当日はオトナの余裕をもってガンバれよ」




