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28:デートへのお誘い

瑞希はカチコチしながらやっとかっとカウンターに座る。

僕は紅茶を渡した。

「熱いから落ち着いて飲んでね」

「ありがとう」

返事をしつつ、瑞希は飲もうとした!

「瑞希、もう少し冷えてから飲まないとヤケドするぞ」

「はっ!ありがとう蒼……」

「今姉ちゃんは診断中だからもうちょっと待っててね」

透もやや心配そうに瑞希に声を掛けた。


✢✢✢✢✢✢✢


まもなく、診断が終わった彩さんが出て来た。

スーパーエクストラワイドニートさんがニコニコしていたから、いい結果だったんだろう。お忙しいのか、そのまま軽く挨拶すると帰って行った。

 

彩さんはというと、瑞希を見つけ、ドスドスこっちにやって来る。開口一番、

「瑞希君、デートしましょう?」

えっ?!彩さんが誘うの!?挨拶も無く直球。

彩さんの表情は緊張している。

「はあッ!?はい、はい!お願いします!」

急なコトで慌てる瑞希。何故か立ち上がった。


そして、固まる2人。

「……行き先の話は?例えば、映画観て、夕食、オシャレなバーに行くとか。どうなの?案ある?」

見かねた透が助け舟を出す。


「あぁ」

「えぇと」

彩さんも瑞希もお互いを見てしどろもどろ。

大丈夫かな?心配になってきた。

2人で出掛けてもこんな感じじゃないだろうか?

お互い緊張し過ぎて話が止まるのでは?

……いや、かえって初々しいのか?

甘酸っぱい、遅れてきた青春……的な?


僕が内で考えている間に、透はヘンに体を揺する。

さては、彩さんと瑞希をみてらんない感じなんだろ。

身内と友達があんな感じだと“あ゙ぁ!”ってなりそ。

だからってデートについて行ったらダメだぞ、透!


「考えがまとまらないのなら、映画観て、夕食、オシャレなバーでいいんじゃないですか?

今決められないなら、電話とかで話し合って決めれば良いのでは?

先ずはいつ行くか決めてもらって」

僕も助け舟を出す。話が進まなさそうだからね。


「……来週のウチの定休日でいい?」

恐い、恐い、彩さんの圧が凄い。顔が強張っているし、緊張し過ぎだよ!

「い、いいです!大丈夫です!」

顔を赤くした瑞希はカクカクしたまま……。   

よかった、取り敢えずデートの日付は決まった。

コチラで誘導しなきゃ何も決まらなそうだもんな。


「折角デートに行くんだからホラー映画とかダメだからね。恋愛映画とか、それかせめて今話題の映画とか観て」

透が、彩さんがウッカリ何も考えず、ムードもヘッタクレも無いホラー映画を選ばないように釘を差す。

「まぁ!失礼ね、ちゃんと……それくらい考えてるわよ」

「おっ、聞いたか瑞希?姉ちゃん、ムードを考えて映画選ぶってよ」

「は、い、いいんですか?今やってる、

“ヴィーガン異世界転移!働けるのは食肉加工場のみだと?!〜工場長VSヴィーガン恐怖の戦い”

なんて、彩さん好きそうだなって思っていたんですけど……観なくて大丈夫……?」

み、瑞希!?お前、本当にいいヤツ!相手の好きなモノを考えて提案してくるなんて。

……ただ、その映画、絶対ムード皆無だろうけどね。だけどタイトルから面白そう。1人で観に行こうかな? 


「……大丈夫よ、瑞希君。今回はムードをとるからね」

「彩さん!」

おやおや、なんかイイ感じではないかい?

僕はホッとする。 


✢✢✢✢✢✢✢


水野家のリビングに戻ってくると、いつも僕のカワイイペットの面々は出迎えてくれる。

 

今夜はコーギー犬の亜紗君が一番乗り。

僕の足元にくると、ニカッと見上げる。

カワイイなぁ〜。

僕はしゃがんでワシャワシャ撫でる。

そうすると、もっと撫でて!とコロッと横になってくるのだ。


少し遅れて兎の蒼灰君、猫吉ノワール、オカメインコの紅黄ちゃんがトコトコやって来た。

紅黄ちゃんは誰がの背に乗ってやって来ることもあるけど、今夜は自分の足でトコトコ。

こうなると暫くは撫で撫でタイムになっちゃう。


僕の撫で撫でタイムを見つつ、透と彩さんはさっきの話に。

「姉ちゃん、よくデートに誘ったよね。

瑞希はあんな風だったし、姉ちゃんから誘ってくれてよかったよ」

「うん……」

「それにしても、姉ちゃん緊張し過ぎ!」

「だって!しょうが無いじゃない?」

彩さんは小さくゴニョゴニョ言ってる。

「フフ、何言ってるか聞こえないケド?」

「だって、あんな年下のイケメンだよ?そりゃ、意識しちゃってキョドるでしょ?」

「……デート当日はオトナの余裕をもってガンバれよ」

 

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