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第9話 ディートハルト部隊介入

 団長は、両軍がぶつかり合う最前線の中にいて、アンドレアスだけしかいないように目を見開いている。近衛騎士が団長に向かって行く。だが、団長は気づいていないようにアンドレアスに集中している。

 近衛騎士が団長の間合いに入り突きを繰り出す。団長は魔剣グラムントを左手に持ち少し掲げて、突きの剣筋をずらす。近衛騎士に魔剣グラムントの力が作用して右腕と両目が切り裂かれる。

 両眼を切り裂かれた近衛騎士は視界を奪われ地面に倒れる。団長が言う。

 「ここはハエがうるさいな。」

アンドレアスはまともな剣同士の戦いなら互角に渡り合える自信がある。だが、相手の魔剣と剣を交えてはならないのでかなり不利になる。それでも団長は自分が倒さなければならない。

 放っておけば被害が広がるだけだ。アンドレアスは少しずつ団長との距離を詰める。間合いに入った瞬間、団長が魔剣を横なぎに大振りする。

 アンドレアスは姿勢を低くしてかわすと剣を腰だめにして団長に突っ込む。次の瞬間、アンドレアスは横に飛び団長から離れる。団長の前には魔剣が突き立てられていた。

 そのまま突っ込んでいたら上から魔剣に貫かれていただろう。団長はアンドレアスの動きを読んでいた。アンドレアスは手に汗がにじむ。

 魔剣をかわしながら、隙をつくことは不可能のように思えてくる。

 団長は再び周りにいる兵を敵味方関係なく切り、魔剣グラムントに魂を吸収させる。そして、アンドレアスに向き直る。狂人の顔に笑みが張り付く。

 アンドレアスの指揮の無い右翼の近衛騎士たちは善戦するが組織的に戦えず反乱軍に飲み込まれていく。

 この頃、クリストハルトは、軍勢の前で戦闘が始まったことを知る。クリストハルトは大声を出して聞く。

 「前線はどうなっている。」

答えられるものはいない。クリストハルトは初めて指揮を執る。

 「私に続け、迂回して敵を挟み撃ちにするぞ。」「「「おう」」」

クリストハルトを先頭に後方の兵が走り出す。2000ほどの兵が別動隊になって国軍の背後に回り込もうとする。

 この動きに、タダツグ、トウヤ、アンドレアスは気づけずにいる。クリストハルトの戦術が成功すれば、国軍を殲滅できるだろう。

 別動隊に近づく一軍が現れる。ディートハルトの部隊だ。数は50人にも満たない。ディートハルトたちは別動隊の後ろに着くと別動隊を飲み込み始める。兵たちが叫び声を上げる。

 「マッチョ、マッチョが来る。いやだー、助けてくれー」

ディートハルトのマッチョ兵は仕上がった筋肉を見せつけながら別動隊の兵を倒していく。マッチョ兵は、動きが化け物のように速く並みの兵には対抗できなかった。

 クリストハルトは悪夢のような光景を目にする。2000の兵がマッチョたちに追いかけられて、泣き叫びながら倒れていくのだ。もちろん、クリストハルトにとっても他人事ではない。

 全力で走って逃げる。しかし、マッチョ兵ははるかに速い。クリストハルトは叫ぶ。

 「やめてくれ、降参するから。助けてくれ。」

叫び声はマッチョ兵たちに飲み込まれる。別動隊を全滅させるとディートハルトはマッチョ兵を横列体形にする。そして、反乱軍に突入させる。

 マッチョ兵は反乱軍の左翼に面で衝突する。マッチョ兵がぶつかると敵兵がバラバラになって飛んでいく。敵兵がマッチョ兵に気づいた時には切り刻まれている。

 アンドレアスたちは、反乱軍に飲み込まれて自分たちの位置がわからなくなっている。アンドレアスは団長の攻撃をかわし続けている。持ちこたえているのはこれまでの実戦経験があるためだ。

 団長に向かって反乱軍の兵が飛んでくる、団長はぎりぎりでかわす。飛んできた兵は上半身だけで下半身がなかった。マッチョ兵が近くまで来たのだ。

 団長はアンドレアスに興味が無くなったように兵が飛んできた方向に構える。マッチョ兵が反乱軍の兵を雑草でも刈るように薙ぎ払って団長の前に現れる。

 マッチョ兵は団長を剣で横なぎに切りかかる。団長は魔剣で受け止める。いや、受け止めることはできなかった。マッチョ兵の剣は魔剣グラムントを折り、団長をそのまま横から二つに切る。

 マッチョ兵はアンドレアスに気づいて言う。

 「アンドレアス殿、お久しい。今のうちに兵をまとめられよ。」「助かります。」

マッチョ兵は再び反乱軍の兵を雑草でも刈るように剣を振って真直ぐ進んで行く。

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