第14話 イクブスとキーシリング
イクブス魔王国から魔王イクブス・アンドラスがやって来る。弟で宰相であるインクブス・アンドラスは国を離れられないので、配下の魔族ニーズが同行する。
イクブスはサマエルに挨拶をするとサマエルはロックたちにイクブスを紹介する。タダツグがロックに言う。
「魔王イクブスはどう見ても女子中学生にしか見えないのだけど。」「人間ではないよ。魔力も強力だ。」
ロックは答えるがタダツグの言うことはもっともだと思う。イクブスは、黒髪ロングで10代の日本人少女に見えるのだ。ニーズは一つ目の巨人なので見なかったことにする。
イクブスがタダツグに言う。
「女子中学生とはなんなのだ。」「私のいた国の女学生のことです。」
「女学生?」「学校に通って教育を受ける女子のことです。」
「そうか、私が幼く見えたか。」「容姿が私の国にいた女性と似ていたのです。」
「バカにしたのでは無ければ構わないわ。」「ありがとうございます。」
「ちょうどよい、タダツグ、そちに私の話し相手をして欲しい。」「構いませんが、どうして僕なのですか。」
「まだ来ていないが、キーシリングと言うやつは私をやらしい目で見るのだ。近づけたくないから、私の相手をしておくれ。」「わかりました。」
タダツグはキーシリングがロリコンだと思う。イクブスはタダツグに近づき、ちゃっかり横に座る。ユキコのタダツグを見る目が厳しくなる。
タダツグが部屋に戻るとユキコが入って来る。
「タダツグ、浮気したりしないでしょうね。」「えっ。誰と?」
「イクブス様よ。見た目はかわいい女の子じゃない。」「彼女は魔王だよ。」
「私はセリア様からタダツグを守るように頼まれているのだからね。」「僕もセリアが大事だから大丈夫だよ。」
タダツグはユキコから意外なことを言われて、少し焦る。確かにイクブスに頼りにされて良い気分だったのは確かだったからだ。
ロックにリースが話しかける。
「お前様、タダツグは大丈夫であろうな。」「どういうこと。」
「イクブスはタダツグに言い寄っていたでしょ。」「それは、キーシリングを避けるためでしょ。」
「それだけなら良くはないか、タダツグがキーシリングに睨まれるかもそれないわ。」「その時は僕が何とかするよ。」
「キーシリングは自分をコール神として偽り、国を動かしている魔王じゃぞ。」「誰かに似ているな。僕、そいつ苦手かもしれない。」
「タダツグのために頑張るのであろう。」「あ~、うん、何とかしてみるよ。」
「それから、イクブスがタダツグに惚れたらどうする。」「それは、僕には無理な話だよ。」
「お前様は相変わらずそちらはだめみたいじゃのう。仕方ない我が動くか。」「お願いします。」
ロックにはイクブスがタダツグに惚れるということはピンとこなかった。しかし、リースとユキコは警戒していた。ここでタダツグが浮気をしたらシャレにならないからだ。
イクブスから数日遅れてコール神教国からコール神、魔王キーシリングが配下のイフリートを伴ってサマエル魔王国に来る。
キーシリングはサマエルに挨拶をして次にイクブスに声をかけようとする。しかし、イクブスはタダツグにべったりくっついて話をしている。
「タダツグ様、私も制服と言うものを着てみたいですわ。」「そうだね、きっと似合うよ。」「うれしいわ。」
キーシリングはタダツグを睨みつける。そして代わりにロックに挨拶をする。
「魔王ロック殿、キーシリングです。ヴァルハラ王国を倒すのは構いませんが、国王にはちゃんと首輪をつけておいて欲しいですな。」
わーこれ、八つ当たりだ。冗談じゃないぞ。
「ヴァルハラ王国の王にはふさわしい者を選んでいます。」「ほう、あそこでいちゃついている者が王にふさわしいというのですな。」
リースが助けに入る。
「魔王イクブス、魔王キーシリングが挨拶をしたいようですよ。」「あら、そうでしたか。話がはずんで気がつきませんでしたわ。」
「イクブス様、お久しぶりです。あなたは変わりなく美しいですな。」「キーシリング様、ありがとうございます。」
「後で部屋に花をお届けしましょう。」「結構ですわ。花が届いたら、私とタダツグ様がいる場所が無くなってしまいます。」
「イクブス、言い過ぎだよ。」
タダツグの言葉にキーシリングは切れそうになる。
「タダツグ様、イクブス様を呼び捨てとは、少々失礼ではありませんか。」「そうですね。失言でした。」
キーシリングは怒りに震える。サタナキアがキーシリングに言う。
「キーシリング、男だったら、ここは決闘するところだよな。」「そーですね。タダツグ様、決闘を受けてくれますね。」
決闘と聞いてサマエルが反応する。
「我が国で決闘は許さん。ここは話し合いの場だ。魔王キーシリング、魔王イクブスに懸想するのは構わんが場をわきまえてくれ。」「私が懸想などと、まあいいでしょう。」
キーシリングはぐっとこらえて自分の部屋へリリムに案内されていく。




