第7話 トウヤたちの試合
ヴァルハラ王国の国王タダツグはユキコを伴って、バシュラール魔王国へ行き、ロックと合流しぃようとするがトウヤ、ヒナタ、ケンゴがついて来ようとする。タダツグは彼らに言う。
「招待には、僕とユキコで行くから、ついて来る必要はないよ。自分の仕事を続けてくれ。」「そうはいかない。魔王ロックとの約束があるんだ。」
「何かな。」「ヴァルハラ王国との戦いが終わったらロックの兵と僕たちが試合をする約束をしていたんだ。」
「今さらやるのかい。」「僕たちは状況に流されてしまったけど稽古は怠っていないよ。」
「分かった。バシュラール魔王国までだぞ。」「分かっている。僕たちも強いことを証明するよ。」
タダツグがバシュラール魔王国の王城に到着するとロックたちは歓迎する。ロックはタダツグに言う。
「おそらくバシュラール魔王国とヴァルハラ王国の関係は注目されるから打ち合わせをしよう。」「ロック、約束を忘れていないか。」「約束?」
トウヤがロックに言う。
「戦いが終わったら、僕たちとロックの兵で試合をする約束をしていただろ。」「もちろん覚えているよ。忙しくて機会が無かったんだ。」
ロックはすっかり忘れていた。ロックの配下の者も忘れていた。
「僕たちは稽古を続けてきた。腕は落ちていないよ。」「分かった。ディートハルトの部隊の兵と木剣で試合をしよう。」
「いや、真剣で頼む。」「危険だよ。」
「本気で戦いたいんだ。」「分かった。戦うのはトウヤとユキコ、ヒナタ、ケンゴだね。」
「ああ、サチもやりたがっていたけど魔術師隊は化け物ぞろいだから諦めさせた。」「そうだね。良い判断だ。」
ディートハルトの部隊も化け物ぞろいだがトウヤたちは信じないだろうから黙っておく。ディートハルトの部隊では勇者と戦えると聞いて盛り上がっていた。
兵たちは、自分の得意のポーズをとってディートハルトにアピールする。ディートハルトは筋肉の仕上がりの良い者を4人選ぶ。
中庭で試合が始まる。最初はユキコが出ていく。兵は上半身裸で出てくる。そしてサイドチェストで胸の筋肉の厚みを披露する。ユキコは後ずさる。これならゴブリンの方が戦いやすい。
兵はポージングを変えながらユキコに白い歯を見せて近づいていく。ユキコは涙目で逃げ出す。トウヤはユキコに言う。
「どうしたんだ。」「だって怖いのよ。」
次にトウヤが出ていく。次の兵も上半身裸だ。トウヤは構わず間合いを詰めて上段から切りつける。フロントラットスプレットをしていた兵は素早い動きでかわすすと再びフロントラットスプレットをして広背筋の広がりを見せつける。
トウヤは剣で横なぎにする。しかしかすりもしない。兵は地面に刺していた剣を抜く。次の瞬間、数メートルの距離を縮めたかのようにトウヤの前に迫り上段から打ちこむ。
トウヤは奇跡的に剣で受け止める。トウヤは両手で耐えているが兵は片手で剣を握っている。として剣げきの重みでトウヤの両足が地面にめり込んでいる。
兵は剣を引くと後ろに下がる。ところがいつの間に切られたのかトウヤの胸から血が出る。兵は剣を引いた瞬間トウヤを横なぎにしたのだ。トウヤには見えていなかった。
フールが試合を中断してトウヤをヒールする。ロックがヒナタとケンゴに言う。
「試合続けるか。」「いえ、僕たちの完敗です。」
ヒナタがうなだれながら言う。試合を見ていたタダツグは青くなる。タダツグは魔族を倒してきたが魔族の攻撃などマッチョ兵の斬撃に比べればゆるかった。
もし、トウヤの代わりに戦っても負けていただろう。バシュラール魔王国の兵たちははるかな高みにいることを知る。
ヒールで回復したトウヤがロックに言う。
「僕たちを鍛えてください。」「君たちはもっとやることがあるだろ。ヴァルハラ王国のために尽くしなさい。」
「しかし、悔しいです。勇者なのに弱いなんて。」「大丈夫だよ。僕も戦っていたら勝てなかったよ。」
タダツグがトウヤに言う。
「僕たちは勇者として今はヴァルハラ王国の民を守ることの方が重要だよ。」「ああ、そうだったね。」
トウヤは自分の役割を思い出す。トウヤ、ヒナタ、ケンゴはヴァルハラ王国へ帰って行く。
タダツグはロックと会見に向けて話し合いをする。タダツグがロックに言う。
「基本的に今は、ヴァルハラ王国が安定していないから、バシュラール魔王国の庇護下にあるということだね。」「対外的にはそう言うことにしていこう。」
この会見で一番立場が低いのはヴァルハラ王国である。他国から余計な干渉を受けないためにもバシュラール魔王国の手を借りていることにするのだ。




