第5話 カスピエル襲来
アスモダイオス魔王国の7魔候の1人カスピエルがバシュラール魔王国の王都に入る。カスピエルはバシュラール魔王国に入ってからつわものに出会わないことに嘆いている。
本当に俺の力が必要なのだろうか。弱者などの相手をするために来たのではない。カスピエルの憂鬱な気持ちは魔力が漏れ出し異様な気配に人々を遠ざけている。
カスピエルは王城に向かう。門兵が異様な気配に警戒して言う。
「止まれ。お前の良な奴を城に入れるわけにはいかない。」「我に命令するのか。死にたいようだな。」
カスピエルが門兵を睨むと門兵は失神する。「ふん、腑抜けが」そのまま城に入って行く。
ロックや四天王はカスピエルの気配に気づく。ロックが言う。
「気配を抑えようともしないなんてバカなのか。」
気配に気づかないカールが聞く。
「ロック、どうしたんだ。」「魔族が城に入って来た。」
「非戦闘員を避難させよう。ロックも隠れてください。」「いや、僕は出迎えに行くよ。」
そこに四天王が来る。フールが言う。
「侵入者です。気配を隠そうともしない。戦う気でいますよ。」「そうだね、僕が迎え撃つよ。」
「我々にお任せください。婿殿は見ていてください。」「分かった。任せるよ。」
ロックと四天王が出ていくとカスピエルがゆっくりと歩いてくる。
「やっとつわものが出てきたわい。」「お前は誰だ。ここをどこだと思っている。」
フールが問いただす。
「我はカスピエル。アスモダイオス魔王国7魔候の1人だ。」「これがアスモダイオス魔王国の礼儀か。」
「礼儀、そんなもの知らんわ。魔王ロック勝負しろ。」「婿殿はおまえのような奴と戦ったりはしない。我らが相手だ。」
「アンネリースの四天王かまあいいだろう。」「よし、俺が相手だ。」
グラムが前に出る。そこをパイロウスが止める。
「お前は時間をかけ過ぎる。私がやろう。」「ふん、炎神パイロウスか。そんな貧弱な体で何ができる。」
「カスピエル、場所を変えるぞ。私が戦うと街が消滅する。」「口は達者なようだな。いいだろう。」
「アデリナ、ツェーザル、エリー、本物のファイヤーボールを見せてやろう。」「はっ、ファイヤーボールだと我には効かぬわ。」
「それは、本物のファイヤーボールを知らないからだ。」「お前のファイヤーボール、受けてやろう。」
パイロウスは戦いの場所を王都からかなり離れた荒野の中にする。カスピエルがパイロウスに言う。
「さあ、見せてみろお前のファイヤーボールと言うものを」
パイロウスは右手を上に掲げると直径1メートル位の火球が生じる。火球は大きくならないがどんどん熱量を上げていく、そして太陽のように輝きだす。カスピエルはまずいと考え魔力の障壁を作りだす。
パイロウスはアデリナたちに言う。
「魔力の集中とはこのようにするのだ。」「そんなもの作れませんよ。」
「当たり前だ。この火球は王都を3つ消滅させるエネルギーが詰まっている。そして相手に撃つ時はこうするのだ。」
パイロウスは右手を前にすると火球はバレーボールほどの大きさに圧縮する。そして、カスピエルに向けて撃ち出す。カスピエルは魔力の障壁では防ぐことはできないと考える。
逃げたいがもうそんな余裕はない。カスピエルは全魔力を使って魔力の障壁を3重に張る。火球はカスピエルの目の前で破裂する。
ロックたちは慌てて伏せる。ロックたちの背中を熱を帯びた衝撃波が撫でていく。見るとカスピエルのいたところを中心にマグマの池が広がっている。
カスピエルの気配はない。火球の爆発に巻き込まれて焼け死んだらしい。
パイロウスはアデリナたちに言う。
「ファイヤーボールの基本を見た感想はどうですか。」「こんなの参考になりません。」
「そうですか。残念です。君たちに教える良い機会だと思ったのですが・・・」「あの、戦っていたのではないですか。」
「まあ、些末なことです。」
パイロウスは戦いの勝ち負けはどうでもよかったようだ。ロックは訓練してパイロウスのファイヤーボールを再現してみたいと考える。ロックの魔力はパイロウスに負けていないのだ。
アスモダイオス魔王国では、宰相のグリゴリがカスピエルの帰りを待っていた。グリゴリは7魔候の1人が討ち取られるなどとは夢にも思っていなかった。
サマエル魔王国から各国の王の会見の招待状が届く。アスモダイオスはグリゴリに聞く。
「この招待状、どう思う。」「おそらく魔王サマエルは各国の魔王の考えを知りたいと考えているはずです。」
「我々も情報が足りていないな。参加すべきか。」「7魔候の1人アモンを連れていかれてはどうでしょう。」
「奴なら腕が立つな。そう言えばカスピエルはどうした。バシュラール魔王国に向かったのだろ。」「それが帰って来ません。」
「あやつのことだから戦いを挑んだのであろう。負けたな。」「カスピエルはアモンと双璧をなす武闘派ですが・・・」
「まあ、帰って来ないのなら新たな7魔候を選出するまでだ。」「分かりました。」
アスモダイオスは新たな勇者の召喚もうまくいっていない状況でちょうど良い暇つぶしが出来たと考える。




